狭間の世界のレティア姫5 継承
激闘の末、なんとか試練は乗り越えた鋼鉄。
ドラゴニック・セイグラムの継承の儀が終了すると、謎の機械生命体が次元の狭間から出現してきた。
「じゃあこれから……継承の儀……執り行う……ね」
数時間にも及ぶ激闘の末、なんとか試練に合格した鋼鉄。試練中に鋼鉄と相対していたころとは別人のような変わりようを見せるレティアの様子が、けだるそうな喋り方に現れていた。
「私の両手……にぎって?」
「……うむ」
いよいよドラゴニック・セイグラム継承の儀が始まろうとしていた。鋼鉄がレティアの両手を握ると、空気が変わり、重々しいものになっていく。準備ができたことをレティアが確認すると、継承の呪文を唱え始めた。
「我竜転生!! 我が竜のチカラを!! 彼の者に分け与える!!! ドラゴニック・シェアリング!!!!」
赤い竜が鋼鉄の頭上に姿を現し、自身の中にすうっと入りこんでゆく。鋼鉄の額と両手の甲に赤い竜の紋章が浮かび上がってくる。周囲には朱いオーラが鋼鉄を包み込み、全身にチカラがみなぎってくる。どうやら継承の儀は安全に終わったようだ。
「これで継承は終了よ……どう? チカラがみなぎってくるでしょ」
「こ、これがドラゴニック・セイグラム……すさまじいパワーだ…………」
「それを使う上で……二つ注意点があるわ」
「リスクを伴うのは承知の上だ」
「一つは、私が使う純正のドラゴニック・セイグラムじゃないこと」
「?!」
「私が使う竜紋は紫の紋章で蒼と翠のオーラ、あなたが使う竜紋は赤の紋章で朱のオーラが出るわ」
「純正の竜紋は神の血が入ってなければ使えないの。出現した竜紋が赤だったということはあなたは神の血は入っていないということね」
「……確かに。」
「あら……地球人なの。すごいわね…………地球人でディフュージョンスーツをここまで操れるなんて」
「初めはピーキーすぎて使いこなせなかったが、内部に機械を入れ私専用にチューンナップした。鎧の内側に彫りこんだ時空間魔法も時空間制御としてシステム化している」
「そう……それであの強さを手に入れたのね……納得」
「この鎧が無ければ、あなたと互角に戦えなかった」
「互角? ……私はまだ……本気出してないわよ」
「?!!」
「まだ上があるというのか……それより、二つ目の注意点を聞かせて欲しい」
「二つ目は、純正でない竜紋は時間制限があることと、出力が純正の75%しか出せないこと」
「むうぅ……75%か……了承しました。気を付けて使います」
「あと、生身の体では絶対使わないで? スーツを来た状態で使用すること。きっと地球人では耐え切れず瓦解してしまうわ。約束して」
「わかりました。約束します」
二人が竜紋について話していると、少し後ろの方から次元が歪む音が聞こえる。その空間から出て来たのは身綺麗な恰好をした一人の機械生命体だった。
「もうよろしいでしょうか? マスター」
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