48 過去編 能力否定の執行者7 もっと危険なマッスルネズミ
オスのマッスルネズミは奇声を上げながらイールミたちに突進してくる!
「ヂュウウウウウウウ!」
「ブラックミスト!!」
「エニヒレーション・ノヴァ!!」
ウィデアがブラックミストで視界を遮り、メイティアがエニヒレーション・ノヴァで相手の動きを抑える。
「ヂュウッ!」
しかし、その攻撃にひるむ様子はなく、腕の一振りで黒い霧を打ち消し、炎の渦を突き抜ける。
「ウソでしょ?!」
オスネズミは眼前に迫っていた。咄嗟にメイティアが杖を横に振る。
「デストラクション・ノヴァ!!」
オスネズミの目の前で爆発が起こりその巨体が後ろにのけぞる! しかし、すぐに体制を整え再び突進してきた!その勢いに押されメイティアは地面に倒れてしまう。
「きゃっ!」
「くっ……! ブリザード・パレード!」
メイティアの放った氷の魔法がオスネズミの体に刺さり、その体を凍らせていく。しかし、一瞬動きが鈍ったもののすぐに動き出してしまう。
「そんな……私の魔法が効かないなんて……」
黒い霧を振り切り、突進してきた一体がメイティアの鳩尾に拳を叩き込む!
「かはっ……!」
鈍い音を立てメイティアの体が宙に浮く。そのまま地面に倒れこんだ。
「メイティア!」
「う……」
ウィデアは急いでメイティアに駆け寄り、抱きかかえる。しかし、メイティアは口から血を流し目は虚ろで意識が朦朧としていた。
「しっかりするのじゃ! 今回復するぞい!」
『生命のオーロラ!』
ウィデアの掌から出た緑の優しいオーラが、メイティアをみるみるうちに癒していく!次第に意識がはっきりしていくメイティア。
「はっ……! まったく……できない手加減なんてするもんじゃないわね……!」
「ワシがもう一度ブラックミストで攪乱するぞい! その隙に大魔法じゃっ!」
ウィデアが黒い霧でオスネズミの視界を奪う。その隙にメイティアは立ち上がり杖を構える。
「チッ……こんなやつに大魔法なんてほんとは使いたくないけど、仕方ないわねっ!」
両手を天へと掲げ意識を自身の魔力源である太陽に集中する。
『熱狂たる火球の戦場 フレイズガンズ・パトリオット!』
召喚された小さな太陽から無数の火球がオスネズミに降り注ぐ!火球は全て体へ直撃しオスネズミは悲鳴を上げる。
「ヂュウウウ! ガアアア!」
巻きあがった煙が晴れると、ヨロヨロとしながらもかろうじて立ち上がっているオスネズミがいた。
「ヂュウッ!」
「まだ倒れない……どうすれば……」
「むぅ……しぶといのう」
オスネズミの体から流れ出た血が全身を巡り、さらに筋肉が肥大化する。
「ん? おおおお!? いやはやなんともはや……これはマズイのう」
「お姉サマ……ドーピング魔法をあたしにかけて!」
「何をするつもりじゃ?!」
「あれをやるわ……」
「あれか……おぬしも負けず嫌いじゃな」
「レティア姉さまに負けていられないものっ!」
「仕方ないのうっ! 強化増幅! ドーピング!」
両手をパン!と叩くとメイティアの体が虹色に光り出し、身体中から力が湧きだしてくる。メイティアのパワー、スピード、テクニックが大幅に上がった!!
「持続時間は5分じゃっ! それまでにケリをつけい!」
「充分よっ! ハアアアア!」
「右手にエニヒレーション・ノヴァ……」
「左手にデストラクション・ノヴァ……」
左右の手に別々の大魔法を込めていく。ググググと両手を引き合わせ、左右の魔法を合体させていき、尋常ではない量の魔力が周りに溢れていく!
『魔崩拳 カタストロフィ・ノヴァ』
「天国へイカせてあげるわっ……!」




