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47 過去編 能力否定の執行者6 危険なマッスルネズミ


「スィードマンモス丸々一頭か……! こいつは豪勢なパーティーになりそうだぜっ」



 パンパンとマンモスの体を叩きながら嬉しそうにするリーシャ。



「あとは……なんとかネズミを捕獲すればいいのよね~ん?」



「マッスルネズミだ。たしかにそうだが、おまえたちに捕獲して欲しいのはただのマッスルネズミじゃあない、やつらの女王だ」



「女王ですか?」



「ああ、金の冠をかぶっている個体だから、すぐに見分けが付くはずだ」



「あと、注意点が二つ三つほどある」



「いいか? マッスルネズミには絶対に水魔法を使うんじゃねえぞ?」



「使うとどうなるんですか?」



「やつらは水がかかると増殖する」



「ふむ……! やっかいじゃのう」



「しかも増殖した個体は狂暴度合が増している。もし増えた場合、AランクからSランク相当にクエスト難易度が上がると見ていい。俺でもギルドに依頼するレベルだな」



「あいつらは女王ネズミを頂点とした群生複合体だ、女王以外の働きネズミは全てメスで鳴かない。


 その集団の中に体がひときわ大きくオーバーオールを着た個体がいる。


 そいつが女王を守るオスだ。

 低い声で『チュウ↑モン↓』と聞こえたら変身の合図だ。パワー、スピード、テクニック、全てが飛躍的に上がり発狂してくるぞ」



 発狂と聞いてとても嫌そうな顔をするレティア。



「発狂……うげ……」



「マッスルネズミはこの古代の森に生息している。辺りを探せばすぐ見つかるはずだ」



「わかりました。さあ行こうか皆」



「待て、これを持って……イケっ!」



 ブン! と大きな子供くらいある空き瓶をイールミに放り投げるリーシャ。



「おわっ! 重っ!」



 予想以上に重量があったのかゴトン! と床にビンが落ちる。



「そのビンに女王を入れて持って帰って来てくれ、生死は問わねぇ」



 少し考えてイールミはウィディアに声をかける。



「わかりました。君の亜空間にこのビンをしまっといてくれないか?」



「まったくしょうがないのぉ~」



 自身の目の前でパン!と両手を叩くと、ブゥンと黒い空間が出現しビンが吸い込まれていく。収納し終わると魔女の家を後にする一行。その背中を見守りながらリーシャは一人物思いにふける。



「がんばれよ執行者エグゼクター……む、空気がしけってきやがったな……これは一雨きそうだな」



 草の影から様子を見るイールミたち。マッスルネズミはまだこちらに気付いていないようだ。



「あれがマッスルネズミか……でかいな」



「デカいわね」



 体長1メートルはある働きマッスルネズミたちがいそいそと餌を女王の元へ運んでいく。奥には金の王冠を付け、働きネズミよりも体が少し大きなマッスルネズミの女王が、運ばれている餌をガツガツと貪り食っていた。



「チュウ! チュウチュウ!」



「金の王冠! あれが女王……!」



 そして、女王の側に身長180センチはありそうな、身体に無数の血管が浮き出た筋肉質のマッスルネズミが二体、鎮座していた。



「あれがリーシャの言っていたオスの個体か」



「なんじゃあのネズミは……デカくてめっちゃマッチョじゃな」



「じゅるり……おいしそう」



「や~っとあたしの魔法の出番ね! 待ちくたびれたわぁ~ん」



「待てメイティア! 何か様子がおかしい!」



 ガツガツと食らいついていた女王の手が止まり、こちらの上空をゆっくりと指差し何か奇声を上げている。するとオスのマッスルネズミたちがすっくと立ちあがり鼻をすんすんヒクヒクとさせる。



「チュウ↑……」



「まずい! 気づかれたか?!」



「モン↓……!」



 低い声が聞こえるとゴキゴキと全身の筋肉が盛り上がり体系が変化していくオスのマッスルネズミ。顔には無数の血管が浮き出ており、目は真っ赤に光って歯を食いしばりフシュフシュと口から湯気が出ている。身に着けているオーバーオールがピチピチになり今にも張り裂けそうだ。



「左のオスはワシとメイティアじゃ……右のオスはレティア、任せるぞい」



「じゅる……わかった」



「はぁい……上等♪」




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活動報告に全体のストーリーラインを上げてますので、良ければ見ていってね~! 小説家になろう 勝手にランキング
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