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44 過去編 能力否定の執行者3 聖剣の名が持つチカラ


「ええいっこのままじゃ話がっ……進まねぇ! わかったよ! 剣匠魔女リーシャの渾身の一振り、打ってやる!!」



 ぐいぐいと必死にメイティア神を押しのけながら返事をするリーシャ。



「本当ですか?! ありがとうございま……」



 イールミの言葉に被せるようにしてリーシャが興奮する女神を剥がしながらちょっと待ったという態勢で口を開く。



「たぁだし! 俺が出すクエストをクリアしてきたら……なっ」



「あぁん! もうっ……恥ずかしがり屋さんっ」



「クエストですか?」



「ああ、俺は武器を打つ前にかならず豪勢な腹ごしらえをキメるんだ。しかもかなり栄養価の高い食材、できれば油を多く含んだもの…そうだな、北の山に住んでいるスィードマンモスの肉ならいいだろう。その肉を可能な限り大量に持ってきてくれ」



「じゅるり……おいしそう」


 口から今にも零れそうな涎を抑えながらフフフとほほ笑むレティア。



「お、そういえば自己紹介がまだだったな。俺はリーシャ。この宇宙では『神の如き鎚』で通ってる。ヨロシクな」



執行者エグゼクターのイール・ミーヤです。イールミと呼んでください。よろしく」



 右手でがっしりと握手する二人。すると手を通して何かを感じ取ったのか、リーシャが驚き、少し嬉しそうにしながらイールミに問いかける。



「む……お前さん地球人だな? そうだろ?」



 リーシャの長い耳がピコピコと上下する。口角が吊り上がりニンマリとした笑顔になり握手している手をぶんぶんと振り回す。



「わわっ……すごいですね! 何でわかったんですか?」



「俺は触ったものの種別や属性がわかっちまうんだ。見た目がニンゲン種だからまさかとは思っていたが、やはり当たっていたな」



 目を閉じて腕を組み、むふ~と自慢げにするリーシャ。イールミが地球人だとわかった途端、急に機嫌が良くなる。



「今日はもう遅いから、ここに一晩泊っていけ。メシも用意してやる」



「やった……ごはん」



「ほほっ♪ 楽しみじゃのう」



「できあがるまで隣の居間で待っといてくれ。ああそれと、聖剣なんだがー俺は打つ物にはかならず名前を付けることにしているんだ。その名からイメージして剣の形を決めるんでな。ざっくりでいいから考えてくれねぇか?」



「名前ならもう決めてあります」



「ほう? どんな名前だ?」



『聖剣 ブライトホープ』



「聞きなれない言葉だな……地球の言語か?」



「ええ……地球の英語という言語です」



「意味は?」



「明るい……希望」



「ほお……いい言葉だな。俺は剣を打つ時、魔力と一緒に想いも込めて打つ。他の剣と打ち合った時に決して折れないようにな。言葉は願いになり、思いはチカラとなる。こいつぁすごい剣になるぜ……間違いなく……!」



「ほらあとで呼んでやるから散った散った! とびきりうまい料理を作ってやるからよ……!」



 リーシャはそう言うとイールミたちをぐいぐいと居間に押し込んでいく。一人きりになったのを見計らうと、部屋の隅の虚空に声をかける。



「ヌヴィ、いるか?」



 すぅっと徐々に姿を現したのはメタリックで黒い色をした50センチほどの大きな機械蜘蛛だった。



「自立AIヌヴィ・エンデ。ここに……」



 高音でも低音でもない機械的な音声で喋りだす。



「おまえはどう思う? あいつらは信用できそうか?」



「はい。青年の言っていた、さる御方というのが気になりましたが、概ね本当のことを言っていると思われます。執行者エグゼクターというのも本心でしょう」



「そうか、なら北の山に行くあいつらに付いていってくれ。動向が気になる。姿を消して荷物に紛れ込んでな」



「仰せのままに……」



 返事をするとすぅっと姿を消す機械蜘蛛。



「さて……メシの準備をすっか!」



 腕をまくり気合を入れるリーシャ。数分後には、なんとも言えない良い匂いが魔女の家全体を包み込んでいた。 




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活動報告に全体のストーリーラインを上げてますので、良ければ見ていってね~! 小説家になろう 勝手にランキング
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