幼き勇者 トロン編1 小さな勇者
龍の扉から戻ってきた鋼鉄たちは、新たな依頼を受ける。
なんとその依頼は、想像を絶するものだった!!
「どうじゃ? レティアは元気じゃったか?」
「ええ。おいしそうに牛丼を頬張ってましたよ」
「お~そうかそうか! 頑張って『ねっとちゅうもん』しか甲斐があったというものよ!」
「して、鋼鉄とレインよ。早速じゃが、おぬしらに新たな任務を頼みたいのじゃ」
「今回は、扉の世界ではないんじゃ。ワシが転生させた者を鍛えて欲しいのじゃ」
「鍛えるとは、具体的にはどれくらいまでです?」
「なーに! さくっと魔王を倒せるレベルまでじゃっ!」
「ま、魔王ですか?! また大きくでましたね……できないことはないでしょうが、まずは装備の確認、パーティーの有無、これくらいは把握しておきたい」
「パーティーはおらん! たぶんソロじゃっ! 装備は転生時に渡した聖剣が一本だけじゃの」
「聖剣! ウィディア神……その子はもしや!!」
「そうじゃっ!! 勇者じゃ!」
「やはりか……」
右手で顔を押さえやれやれと言った様子の鋼鉄。またどうしようもない依頼を舞い込んで来たようだ。
「その子の容姿を確認できますか? ウィディア神」
「ちょっと待っておれ! むむむむ! ほいっとな!」
両手をぐぐぐと握り込み胸の前に出す。次元が歪みその子の映像が出てくる。
「この子じゃよ。名前はトロン。まだ10才じゃ」
「わ、若すぎる! この年で一人で魔王退治など無茶すぎる!!」
「そうじゃ? だからおぬしを呼んだのじゃ。鋼鉄よ」
「むう……わかりました。ですが一つ条件があります」
「なんじゃ?」
「スキルと装備制限を全て解除していただきたい」
「ダメじゃ!」
珍しく語気を強めるウィディア神。何か理由があるようだ。
「ワタシもウィディア神に賛成です。マスター」
「しかし……! 今のままでは!」
「全て解除すればおぬしはすぐにオーバードライブを使うじゃろう? あれは寿命を縮める。だから全てはダメじゃ」
「…………」
鋼鉄、無言の抵抗であった。
「ええい! わかった! でも全部はダメじゃ! オーバードライブ以外一時的に解除する! これが約束じゃ!」
「ウィディア神……!!」
「ふ、ふんっ! 特別じゃぞ! は、早くその世界に向かうのじゃ! そこの冒険者ギルドに次元を繋げてあるからのう!」
珍しく照れているウィディアだった。鋼鉄たちは早々と次元の歪みに向かう。
「恩に着ます! ウィディア神! さあ行くぞ! レイン!!」
「お待ちください、マスター」
次元の歪みが二人を飲み込み転送される。これから二人はどうなっていくのだろうか?!
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