眠りの拳士 リー・メイリャン編5 黒鉄の機体
イグニッションスター射出のタイミングで再起動に入るディフュージョンスーツ。
クレイジー・ムーンの特大ビームサイスが鋼鉄に振り下ろされる時、黒き鋼が、戦場に舞い降りる。
「くそっ……!! このタイミングで再起動か!」
クレイジー・ムーンの特大ビームサイスが、片膝を付き再起動の体勢になっている鋼鉄に向かって振り下ろされる。当たる寸前のところでレインが斥力反射フィールドを張りながら鋼鉄の前に出てくる。
「マスター、危険です」
横に逸れるサイス。その時、何やら空中からキィイイイイインとジェット音がしてきた。
「イグニッション・スター着地まであと、3…2…1…」
黄色のラインが入ったメタリックブラックな黒鉄の機体が、戦場に舞い降りた。辺りには暴風が吹きすさぶ!
『黒鉄機甲 イグニッション・スター』
※鋼鉄が幼き頃に作り上げた機甲であり、唯一無二の相棒。昔は小さな機体だったが、チューンナップを繰り返すごとに、今の大きさになっていった。
「ご主人サマ! システムはデフォルト、装備はバランスパック、言われた通りに持ってきたプロよ!」
イグニッション・スターの中からスピーカーで大きな声が聞こえて来た。戦闘補助AI、プロティンが元気そうに鋼鉄に話しかける。
「でかしたプロティン! 二人ともコックピットへ転送してくれ!」
「はーい! 二名様ご案内プロ~!」
複座式のコックピットへと転送される二人。上のシートにはレインが、下のシートには鋼鉄がそれぞれ座っている。レインは各配線を首に繋ぎ、相手の情報を前面のモニターへと映し出す。熱量、スピード、相手の残エネルギーなどが表示される。
「まずは武装を剥がす! 名刀卍政宗!」
「了解、名刀卍政宗、装備」
背中から身の丈ほどの大刀を抜き構えを取る。すると相手は薄く赤いオーラを纏い始める。どうやらハイブーストを発動したようだ。
「相手はハイブーストを使ってくる……ならばこちらも使って後の先を取りにいくまで! らぁっ!」
「ブースト自動調整! ハイ(機体加速)ロウ(空間鈍化)ダブル(二重加速)調整をレインに!」
※使用システム「ハイブースト」「ロウブースト」「ダブルブースト」「幻のトリプルブースト」ハイとロウは同負荷。ダブル、トリプルと負荷が上がっていく仕様。ハイは機体加速、ロウは空間鈍化、ダブルは両方を一度に発動。トリプルは不完全な時止め(徐々に時間が進む)いずれも時空間魔法(時空間制御)
「かしこまりました、マスター」
「プロティンはエネルギー管理! しっかり頼むぞ!!」
「お任せくださいプロよ!」
「zzz……(朝はやっぱり目玉焼きアルね~!)」
目にも止まらぬ斬撃の応酬!ブースト同士の熱い火花が散っていく。サイスをいなし、懐に入るイグニス。なんとかビームサイスを手から離すことに成功、だがいきなりクレイジー・ムーンがモニターから消える。極限まで腰を落とし捻る体勢を取る。
「しまった!! この体勢はまずっ……!!!」
「zzz……(爆睡拳……真・黒鉄山靠!!)」
隙を突かれた鋼鉄はメイリャンの奥義、真・黒鉄山靠をくらってしまう。
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