表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

78/191

78話 魔法騎士団

 魔法騎士団というのは、その名前の通り、魔法を武器として戦う騎士団のことだ。


 基本、魔法を使える者は少ない。

 剣を扱うのに比べると、魔力のコントロールする方が10倍も難しいと言われている。


 故に、魔法使いは少ない。。

 魔法使いのみで構成された魔法騎士団は、他の騎士団よりも強力な力を持つけれど、一部隊しか存在していない。


 小規模ではあるものの、少数精鋭のエリート部隊という認識が正しい。


 そんな魔法騎士団が……しかも団長が、俺を食事に……?

 意味がわからない。

 突然の展開に頭がついていけず、呆然としてしまう。


 騎士が不思議そうに首を傾げた。


「ガイ殿?」

「あ、いや……失礼しました。突然のことに驚いて……」

「こちらこそ、突然の話、失礼しました。自分も驚いていまして……グルヴェイグ殿は、団長のお知り合いなのですか?」

「いえ、そのようなことは……団長のお名前は?」

「プレシア・ソークェイドです」


 ……知らない名前だな。

 少なくとも、知り合いにそんな名前の人はいない。


 名前を知らない、簡単な知り合いなら他にもいるのだけど……

 そんな相手が、わざわざ食事に招待するだろうか?

 さほど親しくないのに?


 謎だ。


「いかがでしょうか? 応じていただけませんか?」

「……二つ、確認したいのですが」

「はい、どうぞ」

「それは、今すぐなんですか?」

「いえ。自分がグルヴェイグ殿の都合のいい日時を聞いて、そこから調整する形になります」

「ここにいるアルティナとノドカは俺の弟子なのだけど、二人を同席させても?」

「ええ、問題ありません。団長からは、グルヴェイグ殿のご友人がいるのなら、一緒に……と言われていますので」

「ふむ」


 招待の理由は謎だけど、理不尽な内容ではない。

 こちらのことをきちんと考えてくれている。


 特に拒む理由はないし……


「わかりました、受けましょう」

「おぉ、そうですか。ありがたい」


 騎士は笑顔になる。

 うまくいくかどうか不安だったのだろう。


「では、都合のいい日をお聞かせいただければ」

「えっと……」


 アルティナとノドカを見る。

 二人は、俺に任せる、という感じでそれぞれ頷いた。


「明日以降であれば、基本、いつでも問題ありません。事前に連絡をいただけるのなら、調整しますから」

「ありがとうございます! では、そのように団長にお伝えさせていただきます。失礼いたします」


 騎士は何度も頭を下げて去っていった。


 そのタイミングで、アルティナとノドカが口を開く。


「師匠、すごいじゃない!」

「ガイ師匠、すごいであります!」

「ど、どうしたんだ、二人共? そんなに興奮して……」

「だって、あの魔法騎士団の団長と会食よ? こんなに名誉なことはないわ!」

「王国の切り札と呼ばれている存在でありますからね。挨拶をしてもらっただけでも幸せが訪れると言われているのに、会食とは……」


 ふむ?


 困った。

 世情に疎いせいで、どれほどすごいことなのか、いまいちわからない。


 魔法騎士団が少数精鋭のエリート部隊、というのは知っているのだけど……

 それだけではなくて、人々から称賛と憧れを受けているみたいだ。


 そのトップである団長と会食となると……ふむ。

 少し緊張してきたな。


 ドレスコードは必要なのだろうか?

 食事のマナーは厳しいのだろうか?


 あいにく、その辺りはさっぱりだ。

 どうするべきか……


「ふっふっふ……師匠、あたし達のことを忘れた?」


 懸念を口にすると、アルティナがドヤ顔をした。


「あたし、剣聖だから、そういう場に出たことがあるわ。完璧、っていうわけじゃないけど、服の選び方を教えてあげる」

「自分は、食事のマナーについては厳しく教え込まれたのであります! なので、その辺りでお力になれるかと」

「助かるよ」

「それじゃあ、ごはんを食べたら、さっそく服屋に行きましょう!」

「え、今からかい?」

「会食は明日です、ってなったら困るでしょう? 膳は急げ、よ」

「拙者達も服を選ばないといけませんね」

「そうね。ふふ、どんなドレスにしようかしら?」

「拙者は、ドレスを着たことがないのですが、とても強い興味があるのであります!」

「オッケー。なら、ノドカのもあたしが見繕ってあげる」

「感謝いたします!」


 二人は楽しそうに話をする。


 服の話で盛り上がるところを見ると、アルティナもノドカも、やっぱり女の子なんだなぁ、と思った。


「服やマナーのことはわからないから、頼むよ」

「任せてちょうだい!」

「はい!」

「で、予算はこれくらいで」

「えっ、こんなに!?」

「大丈夫なのでありますか?」

「問題ないさ」


 ここしばらく、色々な依頼をこなしていたからな。

 わりと貯蓄はある。


 全部、使い切るわけにはいかないが……

 後生大事に取っておくよりは、こういう機会に使った方がいいだろう。


 なんだかんだ、アルティナとノドカはおしゃれをしたいだろうし……

 そのために、師匠としてできる限りのことはしてあげたい。


「よーし、燃えてきたわ! 最高のコーデを見せてあげる!」

「自分も、最強のマナーを教えてさしあげるのです!」

「はは、お手柔らかに頼むよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』

――口の悪さで追放されたヒーラー。
でも実は、拳ひとつで魔物を吹き飛ばす最強だった!?

ざまぁ・スカッと・無双好きの方にオススメです!

https://ncode.syosetu.com/n8290ko/

GAノベル様から書籍1巻、発売中です! コミカライズ企画も進行中! こちらもよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ