表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/190

42話 困難を乗り越えて

 予定とは色々と違ったものの……

 スタンピードの核となっていた変異体を討伐することに成功した。


 これにより、スタンピードは収束に向かう。


 すでに街にやってきた魔物はどうすることもできないが、移動中の魔物は足を止めて、そのままそれぞれの住処に引き返していく。

 あとは街に残った魔物を掃討するだけ。


 万全の準備をしていたため、それはさほど難しいことではなくて……

 俺達が戻る頃には掃討が完了していた。


 こうして、エストランテは最大の危機を乗り切ることができた。




――――――――――




 結界のおかげで街の被害はほとんどない。

 冒険者や騎士、有志の人々のおかげだ。


 ただ、人的な被害はどうしても出てしまう。

 重軽傷者。

 そして……死者。


 人々は悲しみ、死者を悼んだ。


 二度とこのようなことが起きないようにと願い。

 死者の魂に安らぎが訪れるように祈る。


 3日、街は追悼のために祈りを捧げた。


 そして……




――――――――――




「「「かんぱーーーーーいっ!!!!!」」」


 死者を悼み、祈りを捧げた後。

 いつまでも悲しみに囚われていてはいけないと、街全体で宴が開かれることに。


 広場にたくさんのテーブルと料理、酒が用意されている。

 街の人々は、美味しい料理で笑顔になり。

 あるいは、酒を飲んで楽しく歌う。


 こういう宴は二度目だけど、やっぱり、いいな。


 亡くなった人のことは忘れてはいけない。

 でも、囚われてもいけない。

 大事な人に心配をかけないためにも、笑顔でいることは大事だ。


「やっほー、師匠! 飲んでるぅ!?」


 にっこり笑顔のアルティナがやってきた。


 右手に酒。

 左手にも酒。

 ……料理はどうした?


「ほどほどに飲んでいるよ」

「ダメよー、師匠は今回の立役者なんだから! いっぱい、いーーーっぱい飲まないと!!!」

「俺は、そこまで酒に強くないからな……」

「ならぁ、たくさん飲んで強くならないと! 1日10000杯よ!」


 普通に死んでしまう。


「あまり飲みすぎないように注意しろよ? 先日のミス、忘れたわけじゃないだろう?」

「ミス? なんだっけ?」


 まずい。

 弟子の記憶が酒で飛んでいる。


 このままだと、また大変なことになりそうだが……


「ほら、みんなも飲みなさい! あたしの奢りよ!」

「「「やったーっ!!!」」」

「酒は正義! 飲みは自由! いくらでも飲めるわ!」


 ……止められそうにないな。


 どうしようもないので、放置しよう。

 身を以て学ぶことも、時に大事だ。


「ガイ様」


 聞き覚えのある声に振り向くと、セリスの姿があった。


「これは、どうも。久しぶりですね」

「なぜ、そのような口調なのですか? 以前と変わらずに接してくださいませ」

「しかし……」


 あの後、改めてアルスティーナ家について調べたのだけど……

 かなりの大貴族だった。


 簡単に言うと、領主。

 街の治世と司るトップだ。

 それだけではなくて、国全体で見てもかなりの力を持つ。


 今まで軽い口調で話していたが、大丈夫だろうか?

 不敬罪が適用されるのでは?

 ……と、少し顔を青くしたものだ。


「再び、エストランテはガイ様のおかげで救われました。英雄様に跪かれては、わたくしの方が非難されてしまいますわ」

「……では、お言葉に甘えて」

「はい♪」


 とても嬉しそうな笑顔。

 わりと気さくな性格をしているんだよな、この子。


 良い意味で貴族らしくない。

 民の視線で物事を考えてくれそうだ。

 セリスが領主だったのなら、エストランテはさらに発展しそうだ。


「本当はもう少しお話したいのですが、他にも挨拶をしなければならない方がいまして……」

「いや、気にしないでほしい。こうして、少しでも話せてよかった」

「まぁ♪ ガイ様は、お口が上手なのですね」

「本心だ」

「……そのようなことを言われてしまいますと、本気にしてしまいますわよ?」


 なんの本気だろう?


「さて……では、また」

「ああ、また」


 軽く手を振り、セリスと別れた。


「……そろそろかな」


 今夜、宴の中で申しわけないがギルドまで来てほしい。

 ギルドマスターからそんな伝言を預かっていた俺は、ほどほどのところで宴を切り上げて、ギルドへ移動した。


「こんばん……」

「どういうことだっ!!!?」

「……わ?」


 中に入ると、耳をつんざくような怒鳴り声が響いてきた。


 顔を真っ赤にしたシグルーン。

 そんな彼と対峙するのは、あくまでも冷静な表情を保つギルドマスターだ。


「どういうことも、今、伝えた通りだ」

「ふざけるなっ!? 僕の……僕の冒険者資格を凍結するだと!?」

【作者からのお願い】


「面白い」「長く続いてほしい」と思っていただけたら、是非ブックマーク登録をお願いします

また、広告下の『☆』評価で応援していただけると嬉しいです(率直な評価で構いません)。

皆様の応援が作品を続けるための大きなモチベーションとなりますので、よろしくお願いします!


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』

――口の悪さで追放されたヒーラー。
でも実は、拳ひとつで魔物を吹き飛ばす最強だった!?

ざまぁ・スカッと・無双好きの方にオススメです!

https://ncode.syosetu.com/n8290ko/

GAノベル様から書籍1巻、発売中です! コミカライズ企画も進行中! こちらもよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
[良い点] 弟子の酒癖が極めて悪くて草
[一言] やっと「しぐるーん」が裁かれるのか、さすがのギルマスも堪忍袋決壊ですな~「南無~」
[一言] 当たり前やろw マスター率いるボス討伐部隊をなんだと思ってるんだよ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ