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190話 魔族とは?

 そもそも魔族とはどういう存在なのか?


 魔物が進化した存在。

 はるか昔、人間と異なる進化を遂げた存在。

 邪神の寵愛を受ける存在。


 ……などなど。


 色々な説が唱えられているものの、詳しいところは未だわかっていない。


 ただ一つ。

 確たることは、人間の敵ということだ。


 動物が獲物を捕食するように。

 魔族もまた、人間に対して敵対的行動を取り、傷つける。


 若い冒険者のゼクスが手にした剣に封印されていた魔族も。

 イルメリアに現れた魔族も。

 どちらも破壊と混沌を撒き散らそうとしていた。


 なにが目的でそのようなことをするのか?

 最終的なゴール地点をどのように定めているのか?


 なにもわからないが……

 かといって放置することはできない。

 悪意を撒き散らそうとするのなら、事前にその芽を摘むだけだ。


 ……ソーンさんは、そんな魔族の討伐を依頼された。


 相手は個人ではなくて国。

 国家規模レベルの依頼だ。

 『剣聖』の称号を授かるソーンさんだからこそ、そのような依頼が舞い込んできたのだろう。


 しかし、相手は魔族。

 ソーンさんでも一筋縄ではいかず、苦戦を強いられているらしい。

 そこで俺達にも話が……というわけだ。


「魔族……か」


 ユミナは険しい表情だ。


 それも仕方ない。

 なにせ、自分の国が魔族によってめちゃくちゃにされかけたんだ。

 複雑な感情を抱いてしまうのは当然だろう。


「魔族でありますか……斬りがいのある敵でありますな!」


 ノドカはワクワクしていた。


 ……ちょっとノドカの将来が心配だ。


「兄さんって、けっこう損をしているところがあるわよね。久しぶりに会ったかと思えば、そんな厄介な依頼を請けているんだもの」

「……依頼に損も得もない」

「兄さんらしい意見ね。まあ、あたし達も協力するから、みんなでなんとかしましょう」


 アルティナは、あまり素直になれていないみたいだが、なんだかんだソーンさんのことを心配しているらしい。

 普段に比べて口調が優しいような気がした。


「詳しい話を聞かせていただけませんか?」

「……本当に問題はないか? 今なら……」

「大丈夫です」


 強く言い切る。

 三人もしっかりと頷いていた。


 ソーンさんの口元がわずかに緩む。


「……わかった」


 ソーンさん曰く……


 各地で人を斬り、殺人を繰り返している魔族がいるという。

 ふらりと現れて。

 特定の場所に留まり。

 噂を聞いてやってきた冒険者や騎士などを返り討ちにする。


 その後、しばらくすると別の場所へ。

 移動した先でも同じようなことをして……


 各地で被害が出て。

 すでに犠牲者は五十人を超えるとか。


「そんなことが……」

「それ、けっこう大変な被害じゃない? そんなことが起きているのに、ギルドはいつもと変わりないなんて信じられないんだけど……」

「……箝口令が敷かれている」

「なるほど……なるほど?」

「興味本位で戦いを挑んで返り討ちに遭う人が多いから隠した、っていうところじゃないかな?」

「なるほど!」


 ユミナが説明して、ノドカは納得した様子で頷いた。


「その魔族が、今度はエストランテの近くに?」

「……ああ」


 ソーンさんはテーブルの上に地図を広げた。

 街の北を指差す。


 街の北に広がる森林地帯。

 その一点に、過去の戦争で使われた砦跡がある。


 今は、ここにその魔族がいる、ということか。


 砦跡に居を構えて。

 噂を聞いてやってきた冒険者や騎士。

 あるいは、偶然通りかかった旅人などを殺害する。


 ……まるでアリジゴクだな。


 厄介で、とても危険な状況ではあるが……

 疑問を抱かざるをえない。


「ソーンさん」

「……?」

「これは……敵は、魔族だけなのでしょうか?」

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― 新着の感想 ―
「生まれた所や肌や血の色で~いったい僕たちの何が分かると言うのだろ~」と某「憂鬱な心」の青空と言う歌を思い出しました。
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