142話 ゴブリン掃討依頼
請けた依頼は、ゴブリンの討伐。
及び巣の駆除だ。
エストランテと他の街を繋ぐ街道。
最近、そこでゴブリンによる被害が出ているらしい。
調査団を派遣した結果、近くの洞窟にゴブリンの巣を発見。
大量に繁殖していることが判明して、その場では手に負えないと判断して、調査団は撤退。
改めて依頼を出すことになったという。
本来なら、複数パーティーの攻略が推奨されていたのだけど……
「ガイさんが引き受けてくれるんですか? それなら安心ですね! ゴブリンなんて、えいや! って、とっちめてやってください!」
受付嬢のリリーナからは、謎に信頼が高く……
俺達だけで依頼を請けることに。
とはいえ……
「いいか、みんな」
準備を整えて。
それから街を出発して、街道を歩きつつ、言う。
「相手はゴブリンだ。みんなの実力で一対一なら、まず負けることはないだろう。しかし、敵の数はとても多いと聞く。それに、戦場も敵のホームとなる。決して油断しないように」
「ええ、もちろんよ」
「気をつけるのでありますよ」
アルティナとノドカは、しっかりと頷いてくれたのだけど……
「大丈夫! 私とお兄ちゃんがいれば、どんな相手であれ敵じゃないよ!」
ユミナはとても強気だ。
軽く見ただけではあるが、確かに彼女は強い。
ゴブリンなんて、複数いたとしても敵じゃないだろう。
ただ、なにが起きるかわからないのが戦場だ。
決して油断をしてほしくないのだけど……
「がんばるよ、おーっ!」
ユミナは元気たっぷりに言う。
……まあ、必要以上に臆病になるよりかはいいか?
いざという時は、俺達でサポートすればいい。
若干、気になることを覚えつつも、俺達はゴブリンの巣になっているという洞窟に向かった。
――――――――――
「……いるね」
先頭を行くユミナが足を止めた。
場所は、洞窟の半ばくらいだろうか?
光る苔が壁に伸びているため、どうにか視界は確保できていた。
ユミナの視線は、洞窟の奥……
苔のない暗闇の中に向けられている。
「数は……うぅ、ちょっとよくわからないかも。でも、たくさんってことは間違いないよ」
「……うん。あたしも同意見よ」
「拙者もでありますよ」
三人の意見がピタリと一致した。
この先にゴブリンの巣が作られていると見て間違いないだろう。
俺も集中して気配を探る。
「ふむ……数は、おそらく三十から四十だろう。足音や鳴き声の反響具合を考えると、この先、それなりに広い空間ができているようだ。そこに巣を作っているのだろう。武器も……うん、持っていそうだな」
「「「……」」」
なぜか、三人が驚きの表情に。
「師匠、なんでそこまで詳細なことがわかるのよ……?」
「え? それは、聞けばわかるだろう? ゴブリンの足音とか鳴き声とか、その反響具合とか……ほら、聞こえるだろう?」
「けっこうな無茶振りなのでありますよ……」
「あはは……久しぶりにお兄ちゃんのむちゃくちゃっぷりを見たかも」
ユミナまで二人と似た反応……解せぬ。
「なにはともあれ、この先に巣があることは確定だな」
ついでに言うと、俺達の侵入は、まだバレた様子はない。
ただ、この先、一本道だ。
どれだけ慎重に進んだとしても、バレずに、というのは不可能だろう。
「さて、どのような作戦で行く?」
「拙者が切り込んで……」
「「「却下」」」
「団結の否定!?」
たまに、ノドカは突撃したがるんだよな。
なぜだ?
そういう血が流れているのだろうか?
「魔道具を投げ込んで、火攻めにするとか……」
「「「えぐい……」」」
「団結のドン引き!?」
アルティナの案も、時々、過激になるんだよな。
師匠のせい……とは思いたくない。
……違うよな?
◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
再び新作を書いてみました。
『「パパうざい」と追放された聖騎士、辺境で新しい娘とのんびり暮らしたい』
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