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113話 事件は続く

 犯罪組織のボスを捕えることができた。

 こういうところはトップのカリスマで保っているところが多い。

 トップがいなくなれば、蜂の巣と同じようにまともに機能せず、瓦解してしまう。


 犯罪組織は、ほぼほぼ壊滅状態。

 構成員の全てを捕らえたわけではないものの、それも時間の問題とのこと。


 これで、ウロボロスという犯罪組織は壊滅した。

 エストランテに平和が訪れるだろう。


 ……この時は、そう思っていた。




――――――――――




 二週間後。


 俺とアルティナとノドカは、セリスの屋敷を訪ねていた。

 俺達だけではなくて、ギルドマスターの姿もある。


「ねえ、師匠。これ、なんの集まり?」

「ガイ師匠の報奨を考えるのでは?」

「くぅー……! 師匠の活躍の場を見逃すなんて、弟子として悔しいわね」

「あれは、作戦上、仕方ないでありますよ」

「今度は、あたしが突入班に回るわよ! 絶対よ!」

「了解でありますよ。そのようなことがあれば、交代するのであります」

「ノドカ、やっぱりあんたっていい子!」

「えへへー」


 最近、ノドカがアルティナに飼いならされているような気がした。


「……すまない、話をしてもいいだろうか?」

「ああ、いえ。こちらこそ申しわけない」


 弟子に代わり、頭を下げた。


「とはいえ、なぜ、このようなところに呼び出されたのか、心当たりがないのだけど……?」

「そちらは、私から説明させてください」


 セリスはいつになく厳しい表情だった。

 あの彼女にこんな顔をさせるなんて……

 もしかして、まだ事件は解決していないのだろうか?


「まずは、感謝を。ガイさま達のおかげで、無事、ウロボロスを壊滅させることができました。作戦の参加、及び奮闘を感謝いたします」

「ああ、いや……冒険者として、やるべきことをやっただけだ」

「ふふ。変わらず、ガイさまは謙虚なのですね。でも、それが魅力なのかもしれません」

「むっ」

「うー……」


 なぜか、アルティナとノドカが厳しい顔に。

 なぜだ?


「ただ……同時に、謝罪をしなければいけません」

「謝罪?」

「はい。実は、ガイさま達にとあることを隠していました」

「ふむ」

「ウロボロスはエストランテに害を与える存在で、駆除しなければいけませんでした。しかし……それだけが目的の全てではなかったのです」


 その言い方だと、ウロボロスの壊滅はあくまでもついで。

 他に本命があるように感じた。


「察しの通り、本命が他にありました。それは……」

「封魔剣の回収だ」

「封魔剣……?」


 初めて聞く名前だ。

 魔剣と名前が似ているが、異なるものなのだろうか?


 こちらの疑問を察した様子で、ギルドマスターは丁寧に説明をしてくれる。


「魔剣は、魔力を帯びた宝石などを埋め込んだもの。あるいは、魔法で強化した剣を指す。ただし、封魔剣はまったく別のものだ。信じられない話かもしれないが、名前の通り……『魔』を封じている」

「それは……?」

「……魔族だよ」

「っ……!?」


 魔族。

 人間だけではなくて、全ての生物の天敵だ。


 常識で測ることはできない力を持ち。

 他者の命をなんとも思わない残虐性を持ち。

 そして、過去、幾度となく災厄を引き起こしてきた。


 その全容は解明されていないものの、今ある有力な説は、特殊な環境下に置かれた魔物が進化した存在と言われている。


 特殊な環境下というのは……たとえば、スタンピード。


 スタンピードの中心となる魔物が暴れて、他者の命を喰らい。

 その果てに力を得て、魔族に進化する……可能性があると言われている。


「魔族を倒す方法は、現状、見つかっていない。過去、出現した魔族も討伐されたという記録はない。封印するしか方法ががないのだよ」

「そこで、多くの人の知恵を結集させて、魔族を封印するための機構……封魔剣が完成されました」

「封魔剣のおかげで、人類は魔族の脅威から逃れることができた……と、ここまではいいだろうか?」


 魔族については知っていたものの、封魔剣の存在は初耳だ。


 でも、それもそうか。

 そんなものがあるとしれば、よからぬことを考える者が出てくるだろう。

 詳細を知らず、利用できると思う人が出てくるだろう。


 それを避けるために、あえて封魔剣の存在は公にしていないのだろう。


「ウロボロスは、封魔剣を所持しているとの情報があった。犯罪も見過ごすことはできないが、封魔剣を悪用することは、なによりも避けなければならない」

「そこで、今回の作戦……というわけですね?」

「うむ。問題なく、組織に大打撃を与えることはできた。完全に壊滅させるとなると、もう少し時間はかかるだろうが、再起不能だろう」


 そこまでなら問題ない話に聞こえる。


 ただ、俺達がここに呼ばれているということは、問題が起きているのだろう。

 それは……


「ただ、一つ問題があります」

「それは?」

「……肝心の封魔剣が見つかっていません」

通常更新まで、もう少しお待ちください><

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