第63話 上天久佐第2独立機動小隊
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天2独立機動小隊、出撃です!
それは空の亜竜が落ちるのと、間を置かず。
「こちら、バード1! 先行して雑魚を散らしつつ、ピンを打っていくぞ! バード2、バード3、それぞれの役割を果たせ!」
「バード2、りょうか~い」
「バード3、了解だよっ!」
「コントロールズー、了解。くれぐれも気をつけるようにねぇ?」
手短なやり取りを経て、三羽烏が先行する。
機動歩兵の役割である斥候役を勤めるのは、バード1、木口猛だ。天2小隊屈指のマッチョマンである。
「オラオラどけどけぇ! 筋肉様のお通りだっ!!」
「ピギィィィッ!?!?」
突撃とともに放つ弾丸の雨が、妖精級ハーベスト、フェアリーの群れをぶち抜く。
打ち漏らした奴も通りがかりに蹴り飛ばし、ダンプカーよろしくムキムキボディで前進する。
「き、キミは……!」
「援軍です! ここはお任せを! ふんぬぅっ!」
先行していた他の小隊の精霊殻にまとわりついていたゴブリンも撃ち、礼を言われる間もなく前へ、前へ。
「GURUAAA!!」
「むっ?」
その進行に立ちはだかる、妖精級の中でも大型な敵、ゴーレム。
精霊殻に並ぶサイズ感を誇るその巨躯が、片腕を振り上げ、バード1を叩き潰そうと――。
ドゥンッ!!
――すること叶わず、崩れて消えた。
「GOOO……――!」
「ヒット! 今日の弾具合のチェック完了っと」
専用のスナイパーライフルを構え、バード3、鏑木翼がご機嫌な声を上げる。
いつも明るい三羽烏の紅一点は、確認作業のついでに挙げた戦果を気にも留めずに、続けてもっと大きなターゲットをそのスコープにロックする。
彼女の視界に映るモノ。
それは、炎をまとった大巨人。
「セット……シュート!」
ドゥッ!!
放たれた弾丸が、炎の巨人……精霊級ハーベスト、イフリートを打ち抜く。
その一撃は彼の大巨人の体に大穴を穿ち、その身を大きく仰け反らせた。
が。
「オオオオオォォーーーー!!」
健在!
巨人は己の知覚外から放たれた一撃を大いに警戒し、即座にその方角を特定。
カッ!
得意の熱線をチャージして――しかし。
ドゥンッ!!
「オオオオオ!?!?? ……――!!」
直後、連射された本命の弾丸によって正確に核を撃ち抜かれ、崩れていった。
「な、な、イフリートが……ただの2射で?」
「うーん、翼ちゃん今日も絶好調♪」
どこかの誰かの呟きをよそに、いつも通りの仕事をこなした彼女は満足げに銃身を撫でた。
「コントロールズーから森高千剣長へ。データを送ります」
「こちら森高。データ? ……なっ、これは!?」
精霊級の撃破に驚く間もなく、六牧百乃介司令が仲間にデータを送る。
「現在の芦子北戦区の敵の推定位置です」
「なにこれ!?」
「お役立てください」
用件だけ伝えて通話を切り、代わりに聞こえてくるのはバード2、乃木坂駆の声。
「はーい、これで……よしっと!」
移動中の彼は、適当なところに背負っていた黒色の杭のような物を立て、打ち付ける。
それは即座に機械的な音を立て、アンカーを張り固定された。
そんな彼のすぐそばには、今しがた命を救われポーっとしている女兵士の姿があった。
「はーい、追加でピン、打っておいたよ~。あとはよろしく~」
「りょっか~。駆ちゃんナイス~」
駆の軽妙な声に返すのも、また違った誰かの軽い声。
「打たれたピンからドローンてんか~い。はーい、情報更新更新~」
カラカラと軽いノリで戦場の最も新しい情報を引き出し、素早く共有していくのは。
「いぇーい、おおよそのマーキングとサークルの位置も割り出したよんっ。潰せ潰せー!」
司令車の中で電子戦を展開する手果伸珠喜であった。
「よーし、翼ちゃんバンバン稼ぐぞー!」
「こちらバード2、適当にそこら辺のマーキング潰してくから、誘導ヨロシク~」
「ふんぬぅっ! 今回こそは“聖銀剣勲章”を取ってやる!!」
時に、精霊殻についてくるおまけ、などとも揶揄される機動歩兵。
そんな彼らの見せる動きは、この時点でもう既に、そこらのエースの活躍を凌駕していた。
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「なんだ、何が起こっている?」
「これが……これが上天久佐第2独立機動小隊って奴かぁ!?」
唐突な戦局の変化に、誰よりも味方の他小隊たちが困惑する。
だがそれを、凛と響く覇気に満ちた女の声が正す。
「おーっほっほっほ! 呆けている場合ではございませんわぁーーーー!!」
「「!?!?」」
オープンチャンネルで響く高らかな笑い声。
今のご時世、あまりに特徴的なその笑い方は、誰もが知るところだった。
「天常輝等羅か!」
「ええ! 天に輝くキララ星! 天常輝等羅とはこの私のことですわーー!!」
隈本御三家“繁栄の天常”の実質的な当主。
そんな超VIPたる彼女は今……バタバタと強風に煽られながら自慢の金髪縦ロールを揺らしていた。
精霊殻の、手の平の上で。
「西野さん! バランスはちゃんと取ってくださいましね!」
「わーってるよ! 俺の役目はお嬢たちのお立ち台だ。直接ドンパチしなくていいって言うから乗ってんだからな!」
「上出来ですわ! 細川!」
「はい、お嬢様!」
お立ち台。
そうパイロットの西野君が言った通りに、その精霊殻は両手を頭上に掲げている。
その上に乗る人影が二人。
天常輝等羅お嬢様と、その従者――細川渚だ。
彼女たちはそれぞれに、不思議な文様の描かれたマイクとギターを持っていた。
「特大の強化! かましますわよ!」
「合わせます、お嬢様!」
瞬間。
呼吸を揃えて。
「「精霊よ! 私たちの音を、聞けぇぇーーーーーー!!」」
戦場に、音楽が鳴り響く。
「おおおっ、これが!」
「ドゥフーニ・ムジカント……精霊楽士たちの、合奏!!」
轟く歌唱が。
響く演奏が。
戦場に在るすべての精霊たちへと伝わり、その力を鼓舞する。
『――……!!』
『~~♪』
目に見えぬ誰かの歌が重なる。
耳に聞こえぬ誰かの笑顔が咲く。
「契約鎧が、輝いている!?」
「おおっ、武器の威力があがった!」
その恩恵は戦場にある契約の力を大いに高め、人類を後押しする。
「森高ぁ! これなら行けるぞぉ!」
「ああ! 反撃の時間だ!! 押し返せーーーー!!」
その音楽は消えかかっていた勇気の炎を再び燃え上がらせて。
「全軍! 突撃!」
「「了解!」」
迫りくる敗北の運命を、自らの手で覆していく。
「いける! いけるぞ!」
「俺たちの手で芦子北を……取り戻す!」
再び戦いの天秤が人類へと傾いた。
しかしてそれを。
敵は、侵略者は、ハーベストは、許さない。
「ちょちょちょーい! 六牧司令、他の小隊止めて! 幽世の門が揺らいでる! デカいッ!」
「っ! こちらコントロールズー! 森高千剣長! 応答を――」
瞬間。
「「!?」」
人類は聞いた。
「グルオォォォォーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!」
この世界において、もっとも強き幻想と謳われたモノの、咆哮を。
「……今のは!?」
「どうやらサークルの上! キューブが設置されてたっぽい! 出たよ……最強の精霊級!」
珠喜が操るドローンが、その姿を捉える。
即座に戦場に立つ全員に共有される、その映像は――。
「ドラゴン……!」
現出した最強の精霊級……それが3体、居並ぶ姿だった。
・
・
・
「グルオォォォォーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!」
再びの咆哮。
それは歴戦の戦士たちであっても、戦慄させるに充分な威容を示す。
彼の爪は容易く精霊殻を切り裂き。
尻尾が薙げばビルなど容易く砕け散る。
口を開けばイフリートに勝るとも劣らない火炎を吐き出し。
両翼はワイバーンよりも固く強く空を支配下に置く。
「ドラゴンが……3体?」
「そんな、1つの戦場、それも建岩が示した比較的侵食の薄いところを狙ったのに、そんなことが起こるのか?」
まったくのイレギュラー。
まったくの予想外。
天秤の逆転を許さない、この地の支配者を僭称する侵略者側の意思表示。
まぁ、つまりは。
俺たちの出番というわけだ。
「装備換装終わったか? ドッグ1」
「大丈夫! 問題ないよ、黒木くん! 後詰は任せて!」
「こちらはドッグ3です。清白様」
「……あっ!」
戦場を跳ぶ。
仲間たちを、敵たちを、ピョンピョン跳ねて飛び越して。
「あの精霊殻は、建岩の新型!」
「豪風!? ならばあのパイロットは……!」
「建岩の姫と、緑の風か……!」
敵陣深く、一番奥まで切り込んだ。
「グルオォォォォーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!」
再び響く咆哮なんて毛ほどにも恐れず、合図を送る。
「よしっ。姫様、ぶっ放せ!」
「はい、終夜様」
ドラゴン3体。
しっかり巻き込む位置取りで。
「マルチロックオンミサイル……発射!」
俺の駆る精霊殻……豪風の両肩に装備されたパックから。
シュボッ! ボボボボボボッ……!!
大量のミサイルが射出され、ドラゴンたちへと殺到した。
天2戦士の化け物ステ+合奏補正(乗算)+司令官補正(乗算)+偶像補正(乗算)=戦場での天2戦士
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