第44話 下茂田温泉物語~女湯編~
いつも応援ありがとうございます。
感想・評価いただくたびに、やったぜと喜んでいます。
楽しんでもらえてるんだなと実感が沸きます。
※前話の一部文章につきまして思わぬ反応をいただいたので、テーマに沿ったより良いと思われる表現へと編集しました。
(編集前)
佐々君かっる! 軽い!
でも手触りガッシリ、鍛えてますねぇ。善哉善哉。
↓
(編集後)
佐々君かっる! ほっそ!
でもこの抱いた感触、いい仕事してますねぇ……質実ともに磨きがかけられてるぜぇこれは。
主人公が仲間の成長を喜ぶ大事な場面なので、これでバッチリです!
それでは、本編もよろしくお願いします!!
お風呂回です!(2回目)
……みなみなみなさん、こんばんはっ!
先日の文化祭では実況役を仰せつかりました、手果伸珠喜と申します!
本日、わたしはここ。
ジャンガラマルコ夢海王富士まつ~天上の湯~に入っています!
何の因果か天常さんの気まぐれか!
突然計画された社会科見学! 明日は天久佐の壁を近くで見れるんだそうで!
……まぁ、それはぶっちゃけ興味ないんだけど。
ですがいやいや!
今は違う!(ギュッ!)
ここは女湯、夢の花園!
普段一緒に学園生活を謳歌する仲間たちが、一堂に素肌をさらして向き合う場!
表の情報通である乃木坂駆君を隠れ蓑にして暗躍する、裏の情報通として!
天2軍学校が誇る夢カワ女子たちの赤裸々ステータスを詳らかにする!
これこそわたしの絶対命題! 愉快な使命に他ならないってわけですよ! ねっ!
そんなわけでありまして、わたし。
本日は誰よりも先に浴場入りし、スタンバイしております!
さぁ!
この夢の舞台。
我々調査団を待っているのは果たして奇跡か楽園か!
情報技能レベル4のすべてを駆使し!
最強のプロテクトをハック&ブレイク! しちゃいますよ~~ん!
こうご期待!
※ ※ ※
「YEAH~! おっ風呂ーー!」
はい!
最初にやってきましたのはBクラスが誇る一輪の花!
整備士候補生のオリヴィア・テイラーソンちゃん!
誰にでも優しく人当たりのいい、英国生まれの明るいハピハピギャル!
「アチチッ! まずはお湯に慣れないとだね!」
テンション高く入ってきた割に、意外にも初手は湯船にちょんっと手を入れるムーブ!
すぐさまかけ湯へ向かう姿は、思ったよりも上品だ!
「ふんふふ~ん」
肩に掛かる色素の薄い金髪が、湯を浴びてキラキラと光っています。
ややスレンダーなボディラインに湯が滑り、とってもセクシービューティフォー!
「さ、体を洗お~っと」
そのまま元気にぺたぺた洗い場へと駆けていきました!
浴場は走っちゃだめだよ、オリーちゃん!!
っとと、近づいてくるこの二人分の足音は……?
「さぁ。参りますわよ、細川!」
「はい、お嬢様」
来た来た来ましたー!
続いてのご登場は、我らが最強お嬢様、天常輝等羅様と、その従者、細川渚ちゃんだー!
「あっ、お嬢様! タオルを巻いて……」
「不要ですわ! 私の肉体に、隠さねばならない場所などございません!」
全裸!
全裸です! お嬢様!
パーフェクトなムチムチボディを、惜しげもなく晒しています!
湯を浴びて重そうな金髪ロングヘアが、雰囲気を変えてとってもえっっっだぞー!
何やらいつもよりテンション高めですが、その結果がこれなら何の問題もありません!
「はぁ……気持ちいいですわぁ」
だが、おかしいーーー!!
この珠喜ちゃんアイがどうしてだか曇って、見えなーい!
謎の湯気だーーー!!
「さ、細川。洗いっこしますわよ!」
「はい、お嬢様」
謎の湯気の妨害を受けながらも、わたしの実況は続けます!
輝等羅お嬢様を支える瀟洒な従者、渚ちゃん。
なかなかどうして、お嬢様と並んでも遜色のない美麗な立ち姿と言えますでしょう~。
割とレアな薄緑色のショートボブが、天常さんの金髪と引き立てあっています!
カップサイズはB? 大きくてもC?
天2女子ではやや控えめながらも形の良いバストに、しっかりとしたくびれと、つるんと丸いヒップ!
どこか人ではないような、妖精さんか何かとも呼ぶべき奇跡のバランスがそこにあります!
しかしこの主従、洗いっことか普通に言うんだ?
佐々はんちょーも交えての幼馴染ということですが。
その関係性の深さと、絡み具合。
かーなーり、そそられますなぁ?
「む、邪気!」
「そこですか!?」
ひぇっ! あぶなーい!
バレそうなので退避、退避ー!
次、行ってみよう!
・
・
・
「んんっ、ぷはぁー!」
桶に溜めた湯をバシャーっと浴びて気持ちよさそうにしてる、白髪の美少女!
以前はその長い髪をツインシニヨンに束ねてた、中々のおしゃれ巧者さんでした!
元・Bクラスの元・地味子にして、みんなの元・保健ちゃん!
今はAクラスのエースパイロット候補! その名も、清白帆乃花ちゃん!!
「温泉っ、温泉っ」
初めての温泉にワクワクドキドキなご様子の彼女。
小柄なボディとは裏腹に、出るとこ出ている準トランジスタグラマー!
数年後、間違いなくここから成長しているだろう彼女に、今からワクワクが止まりません!
「わ、わ、わ。……んん~、気持ちいい~」
温泉初体験の声! いただきました!
保健ちゃんだった頃に比べて、明らか表情豊かになっているのが見て取れます。
風の噂に聞きますが、なんでも彼女、我が軍学校の特異点、終夜ちゃんに恋宣言したとか!
最近始めた中二スタイルも、一説によると彼へのアピールだとか!
ラブアタックは青春の花!
彼女の恋は実るのか! これは要注目、間違いなし!
あ、わたし的にはあの眼帯、一回でいいから借りたいなぁ。
なんでもあれ、帆乃花ちゃんママ特製の多機能高性能な奴らしくってさー。
っとと! いけないけない。話を戻すよん!
注目といえば外せないのが……!
「……ふぅ」
そうです! 彼女です!!
みんなから距離を取り、一人湯船に身を浸す彼女こそ!
誰あろう、我が校きっての最強美少女、備品ちゃんこと、九條巡パイセンですっっ!!
「………」
艶やか! 艶やか!
その色気は一体どこから出ているの、巡パイセ~~ン!?
これが稼働年数を越えて動き続ける、人造アイドルの持つ力なのかー!?
いや、ほんとなんだこの色気。
黒髪ロングが湯に浮かんで、まるで鴉が羽休めしているかのよう。
普通ならマナー違反なはずなのに、彼女のいる領域だけが治外法権認められてるみたい。
美の暴力。アンニュイな表情がまた見た目の幼気さとギャップある~!
「……はぁ」
そのため息で何人を暴走させられるかって話。
これは間違いなく兵器。人権ナーフされてようやくバランス取れるレベル。
ロリっ娘が放っていいセクシーじゃないぞ。ぷにの魔性かぁ?
「……ん、ふ」
実は、ここだけの話。
彼女もまた、我が軍学校の特異点、終夜ちゃんとの関係が噂されています。
猛獣使いと猛獣。美女と野獣。
真実は彼女の胸の内ですが、その辺、ちょっと根掘り葉掘り聞いてみたい所存。
続報を待て!
・
・
・
「ふふ、ふふふ。ふふふふふ……はぁー、最高だにゃー。なんてっ」
眼福眼福。
とまぁ、しかし、タマちゃん改めて思うわけでして。
(天2の女子……レベル高くない?)
もっとこう、かわいさや美しさに手心というか、なんというか。
いやいや、みんながかわいいことで困ることなんて、ない。
「イッシッシ。これは、永久保存ですなぁ~」
カタカタカタッ。
布団に寝そべったまま愛機を操作し、データを保存。
こっそり開発した超小型遠隔操作ドローン君がゲットしてくれた情報を、しっかりバッチリPCに記録する。
「そう。これは人類史における大事な記録となるのだよ」
この先の見通せない時代。
今ここに、こんなにもかわいい美少女たちがいたのだという情報は、後世に残すべきなのだ。
言わばこれは、未来の紳士淑女のために行なう、必要悪。
「あぁ人類よ。栄えあれ。生き延びた未来に裸体あれ」
カタカタッターン!
「はい没収☆」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~~~~~~~~~~~!!!」
先ほどフラれたばかりの翼氏~~!!
「とある高貴なお嬢からの依頼でさ。たんまり事前報酬もらっちゃったから、ね?」
「そんな殺生なーーーー!!」
卑劣な女エージェントの魔の手により、奪われる我が端末。
「っていうか。人類史に残す記録っていうなら、タマちゃんスタイルいいんだから自分で撮ればいいじゃん」
「あー、それはちょっと……ね?」
「よし、一緒にお風呂行こう! みんなと合流!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~~~~~~~~~~~!!!」
怪力乱神の腕には逆らえず、憐れ影の情報屋は人外魔境へ。
「ふっ、たとえわたしが敗れようと、第二第三のわたしがきっと……!」
「あ、この電源切ればいいのかな? えいっ」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~~~~~~~~~~~!!!」
夢も希望も、ありゃしない。
人類の未来に……栄え、あれ。がくっ。
※ ※ ※
「はーい、お湯に浸かったら100数えようね~」
「ギャババババゴボボボボ!」
わたしが悪辣非道(略)の手によって、猫の世話のごとき虐待を受けていた、その時。
「あの……もし」
「……ん?」
いつもとは明らかに違ったテンション、弱々しさで。
「お風呂から上がったあと、私と……お話ししていただけませんか?」
「………」
お嬢様が、備品ちゃんに、声をかけていたらしく。
「………」
「……わかったわ」
そして、なにやらお風呂の後に。
二人で密会、していたそうな。
「………」
「………」
天常家のお嬢様と、備品ちゃん。
実は因縁浅からぬ二人のあいだで交わされた、秘密のやり取り。
「あ、ほのちゃん、オリー。ちょっと手伝ってー。タマちゃん湯船浸かるの嫌がるんだよねー」
「うん、わかった。これでいい? えいっ!」
「OK! タマちゃん、年貢の納め時だ! かくごー!」
「ギャババババゴボボボボボボボ!!」
生憎それを。
わたしはゲットし損ねてしまったのでした。
何がとは言いませんが一番は天常さんで、二番がタマちゃんです。
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