表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
226/226

第226話(最終話) もっとも新しい、物語

いつも応援ありがとうございます。


応援、感想、いつもいつも元気をいただいています。

どうぞ最後までご声援頂けましたら嬉しいです!


それでは、物語の結末を、どうか見届けてあげてください。


 それは、いつからか。

 世界中の人々の口から、自然と語られだした伝説。


 もっとも新しい、神話。



      ※      ※      ※



「結局、あの後は一度も観測できてないんだよね?」

「はい。私たちが脱したあと、例の特異点となったハベベ世界は()()しました」


 六色世界、虹の宮。

 虹の王は虹の姫君の帰還後、ひとしきりその無事を喜んでから報告を受け、首を傾げた。



歴史の羅針盤ワールド・タイム・コンパスでも観測できない場所に行った……のかな?」


 最愛の人を送り出し、対処にあたらせた特異点。

 そこは自分たちの過去を塗り替える再演世界だった。


 黒幕である赤の一族ルピタを討ち、さらには収束し歴史改変が起こり得る状況から見事救ってみせた、天2小隊なる面々の活躍は、虹の王にとっては驚きしかなかった。


「今キミがここにいて、僕も変わらずここにいる。歴史の羅針盤は歴史改編の痕跡を認めず、僕たちの歴史に傷一つ残らなかった……けれど」

「はい。この変化は、残ったままです」


 二人で見上げるのは、己が愛機の姿。

 希望を託された精霊殻“明星”が……黒く塗られた姿である。



「変化はしたけど、変わってない、か」

「いいえ、いいえ。確かに私たちは体験して参りました。覚えているのです」

『ええ。この身には……貴方ではない貴方との、しぶしぶ結んだ精霊契約の痕跡があります』

「はは……」


 不満を隠さない契約神精霊の言葉に苦笑しつつも、彼は思う。


 この戦いは、この事件は、いったい何だったのだ、と。


(大きな変化は何もなく、けれど、確かに大事なものに触れてきたような、そんな話)


 これが物語か何かなら、番外編とでもいうべきものなのだろうか。

 本筋から離れて、けれど大きな寄り道の中で一つ、かけがえのない物を得てくる物語。



「……だったら、これは秘密にしないといけないんだろうね」


 少しの思案のあと、虹の王は明星のリペイントを命じる。

 しっかりと元の姿に、丁寧に塗り戻すように、と。


 それこそが正解だという確信があった。


(もしかしたら……こうすることで僕たちは、特異点解決の事件があったことそれ自体を忘れるかもしれない。でも、確かに命とスズランには、大切な何かが積みあがったという、その事実だけはきっと、残る)


 これはきっと、いつかどこかの大切な場面で、自分たちを助けてくれる。

 そんな確信もまた、あった。



(ありがとう。違う世界の僕、違う世界のみんな。……違う世界でこそ活躍した、キミたち)


 だから彼は感謝する。

 確かに積み重なった目に見えない何かを、それを授けてくれた人々に。


「僕たちは、前に進むよ」


 胸の中に残っていた後悔が、少しだけ軽くなった事実に。



「行こう。僕たちの戦いはまだ、これからだ」

「はい」


 正史の世界を進み行く彼らは、その正しさを胸に前へと進む。

 定められた運命に准じつつも……それを乗り越えてより良き未来を掴み取れると信じて。



      ※      ※      ※



「おい、聞いたか! ハベベの新情報!!」

「ああ、聞いた聞いた! マジでびっくりだわ!!」


 日本。

 某日某所。


 メディアミックス作品『ハーベストハーベスター』のファンたちに、衝撃のニュースが飛び込んできた。



「「新展開! IFワールド!!」」


 それは、昨今のリバイバルブームに乗った新企画。

 かつて終わった物語を再演し、新たに様々な未来を創造するという、いかにもな話。


「第一弾はギャルゲー世界線だってよ!」

「うおおお! 新キャラ追加とかあるっぽいな! すっげぇ!」

「主人公の性別選択? ってことは男女だけじゃなく同性もいけるの!?」

「おーっほっほっほ元気だぁ」


 大人気コンテンツの放つ新しく大きな展開は、世間を大きく揺るがした。


「第二弾はゲーム版のリメイク!?」

「あー、今のAI技術でやったらどんだけになるかとか気になってたからなぁ」

「ええーってか、イベントの数とかも没の奴とか全部拾うんだろ? ヤバくね?」

「マジヤバイ。鹿苑寺君のイベント増やして」

「恐れと願望が駄々漏れじゃん」


 歓喜に満ちる人々の声の中。

 そこに混じってふと、疑問符を浮かべる声が上がる。



「え、なんだこの新ルート」

「天2?」


 それは公式から提示された、新情報の一つ。


「えっ、天久佐撤退戦できるの!?」

「うっそ! 未実装だった亜神級のボスラッシュ!?」

「あからさまなハードモード来たー!!」

「実質ハベベゼロ的な奴? 新キャラ数えぐそう……」


 歴史を大きく改変できるという、可能性。


「え、待って待って。このルートだと、赤の一族駆逐できるの?」

「ってことは、ラスボス戦やらなくてもいい?」

「あ、それって……」

「隈8隊員の……犠牲ゼロルート?」


 自分たちの愛したメンバーが、完璧に勝てるという筋道。



「なるほど、過去を改変して未来の歴史を変える。IFワールドの目玉はこれか!」

「あ、ここ見ろ! 天2小隊メインのノベライズもあるってよ! 主人公は……転生者?」

「そこも最近のノリ持ってくるんかーい!」


 だから、誰ともいわずその事実に気がつく者が出始める。



「これってつまり……黒川めばえ救済ルートってこと?」



 正しい歴史のために、絶対に犠牲にならなければならなかった人物がいた。

 それを覆せる道筋が、どうしてだか突然に現れた。


「へぇー。めばえファンよかったじゃん。あんま見たことないけど」

「嫌いじゃない子だったからなぁ。救われるルートあるならよかったよかった」

「最近はあんま犠牲になるルートとか好かれないしねぇ。時代の流れだねぇ」


 それぞれが憶測で勝手に納得し、受け入れていく。

 “公式から出された”という、そのたった一つのファクターが、世間の意識を変えていく。



 “黒川めばえは、踏み台にならなくていい”



 その日その世界は、更新(かいへん)された。



「おい! ××! 聞いたか!? お前の推しの黒川めばえが――!!」

「………!!」


 そこに生きる誰かが歓喜して、ハッピーエンドへ至れるように。



「そうそう。世界はそうやって、もっと面白くしていかなくちゃね?」


 誰かが笑う。

 この世界を見下ろしながら、愉快そうに。


 外の外の()()、青白い髪のその人は。


「寿ごう。たった一人の情熱が、世界を変える奇跡を起こした新たな物語の誕生を!」


 心底楽しそうにしながら、世に新たな物語(おもしろい)が生まれたことを喜んでいた。



      ※      ※      ※



「こいつで、とどめだぁーーーーーー!!」

「グアォォォーーーーーーーーンッ!!!!」


 最後の決戦が、終結する。

 ぼろぼろの精霊殻の放った最後の攻撃が、異界の戦士を殴り倒した。


 地を転がったそれは次第に端から粒子となって、消えていく。


「……オオオーーー……」


 最後に遠吠えを上げたそれは、しかして満足そうに笑っているようだった。



「ぜぇ、ぜぇ……最後にクッソハードなバトルやらせやがって!」


 肩で荒く息を吐きながら、その青年が吠える。


「しゃあこら! 勝ったぞぉぉぉーーーーーーーー!!」


 オープン回線で響いたその声は、戦場で幾万もの応声に掻き消える。



「総司令がここに宣言する」


 その日その世界は、新たな門出を迎えた。


「我々人類の、勝利だ!!」


 新たな希望の未来へ向かって踏み出す、そのチケットを手に入れた。



「黒木君!」

「終夜、くん!」

「終夜!」

「終夜君!」

「終夜様」

「おう!」


 最後の決戦であっても、誰一人の犠牲もなく、彼らはそれを成し遂げた。


「俺たちの、勝ちだ!!」


 そして。

 もっとも新しい伝説は、もっとも新しい物語を再び、紡ぎ始める。



「おおおおおおお!! 愛してるぜっ! ハベベ世界ッッ!!」


 彼が叫んだ、その声は。

 もはや正しく観測できない、切り拓かれた新たな無限の可能性――IFの名のもとに。


「愛してるぜっ! ――――ッッ!!」


 それでも観測しようと試みた、そんな誰かの数だけある推しの名(せんたく)を。

 その日、その時、クロキシュウヤは心のままに……盛大に響かせたのだった。



 ハーベストハーベスター

  第7部(最終章) フォース・ジェネシス 完

これにて全7部、及びハーベストハーベスターの物語は、完結でございます!


一人の男の推し活が、数多の世界(おし)を救う物語。

楽しんでいただけましたでしょうか。


この作品は、某動画配信者様がリスペクト元のゲームを遊んでるのを見て執筆を思い立った作品です。

懐かしくも、今の時代にも通じる特異点のような素晴らしい神ゲーがあったからこそ、本作は在ります。まずはそのリスペクト元へ感謝を。


そして、この長い長い、ライトノベル8~10冊級の物語をここまで読んでくださったすべての読者さんへ感謝を。皆さんが残してくれた足跡、PV数や応援コメント、☆評価などが本作を完結まで導いてくださったのは間違いありません。

ここまで推していただきありがとうございます。


本作を通して過去を思い返してくださったか、新しい刺激を味わってくださったか、誰が好きでどこが好きかなども読者さんの数だけあると思います。よければそれらもコメント欄でこっそり教えて貰えたりすると、本作を書いた甲斐があったなとなります。


あなたの推しは誰ですか? 私の推しはタマちゃんと新姫様です。最後の叫びにこの二人の名前を入れたら、いい感じに修羅場になると思います(邪悪)

当然こうだろうとか、もしかしたらこうか? なんて、いろいろ想像して楽しんでいただけると幸いです。


最後の最後に、卑しいおねだりを!

評価・リアクション・感想・イチオシレビューいただけると、次回作や作者のモチベ、さらには本作をより多くの方に知ってもらえるチャンスに繋がります!

ぜひぜひぜひぜひ、最後の応援、完結ブースト! よろしくお願いします!


それでは、青春×SF×ロボな本作、ハーベストハーベスター。

ここまで長く長くお楽しみいただき、本当にありがとうございました!!


PS,次回作は魔法少女のハーレムラブコメを書こうと思います。冬あたりに投稿し始めたいと準備中ですので、そちらもぜひぜひよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
完結お疲れ様でした!
完結お疲れ様でした!!
完結お疲れ様でした。 非常に面白かったです。 この作品と作者様の出会いに感謝を。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ