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ハーベストハーベスター~踏み台型ラスボス少女と呼ばれた推しを、今世では幸せにしたい!~  作者: 夏目八尋
第31章 踏み台型ラスボス少女と呼ばれた推しを、今世で幸せにする方法
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第216話 ハッピーエンドの切り札は……

いつも応援ありがとうございます。


応援、感想、いつもいつも元気をいただいています。

どうぞ最後までご声援頂けましたら嬉しいです!


最後の難題に対して必要なもの。


「……まぁ、事情は、把握したわ」


 完全武装の七つ色纏い状態な巡パイセンが、腕を組んで頷いた。

 ちらりと彼女が視線を向けた先には、腕を組んで伏せ寝をしている“海渡るオオカミ”。


「………」


 今は戦うべき時ではないと決めて大人しくしている彼に、一応最低限の警戒だけをして。


「……ふぅ、今更驚いててもしょうがないわね。アナタだもの」

「へへっ」

「褒めてないわよ、まったく……」


 そうしてようやく、騒がしかった神子島に静寂が戻る。



 そこから俺たちは、手早く情報交換を行い。


『そっちはお任せいたしますわ!』

『終わり次第向かいます』


 通信越しに天常さんたち隈本組と。


『いいよ。念のため“ガラカブ”も温めておくから。……存分にそっちのヤバい話を進めておいてねぇ』


 六牧司令たち天2基地組にもコンタクトを取った上で。



「……そんじゃ改めて! 俺たちの世界と虹姫様たちの世界をダブルで救うための作戦会議! 始めるぜ!」

「「おう!」」


 車座になり、いよいよ本格的に動き出す。


「みんなの知恵を貸して欲しい。ここからは、俺たちの完全勝利への挑戦だ!」


 時間制限付きラストミッションのミーティングは始まった。



      ※      ※      ※



「目下のところ、贄たちが求めるものは、手段となります」


 当然のように司会進行を務めるうちの姫様が、話を進めてくれる。


「歴史の収束点にて合流予定の二つの世界を、別々の世界となるように切り分けるための方法、それを導き出すのが本会議の目的です。まずはブレインストーミングということで、何でも自由に仰ってみてください」

「はい!」

「はい早かった翼様」

「大喜利か」


 木口君のツッコミも交えつつ、もはやこの手の初手ポジションが安定してきた鏑木さんが口を開く。


「スーパーチートの白の一族さんパワーでなんとかできないんですか!?」

「そうだねぇ。カケルちゃん的にも、これってシンプルに僕らの技術じゃ解決できない話だと思うし、上位存在の力ってのも……使えるなら積極的に使うべきだと思うよ」

「ごもっともですね」


 頷く姫様に続けて、俺も頷く。

 実際問題一番有力で安パイなのは、白の一族の技術だと思う。


(なにせ、時間と空間に関わる技術だからな。でも……)


 小さな手がシュビッと挙がる。


「新姫様」

「はい。白の一族の一人としてお答えします。確かに可能性は感じますが、現状では難しいと言わざるを得ません」


 新姫様の回答に、だよな、って俺は同意した。



「事実として、私たち白の一族は“時空秩序の管理者”を名乗り活動しています。私も含め、時間に干渉し、他の上位存在の干渉から原生……んんっ、この世界で生きている人々を守るべく、工作を重ねもします。ですがそれは、あくまで私たちの技術でできる範囲でのことなのです」


 言葉を紡ぎながら、新姫様が中空にモニターを表示し、そこに解説用の図画を含んだ資料を提示していく。

 彼女たち白の一族にできること、その範囲を大まかに説明してあるそれは、本来ならば絶対に秘匿しなければいけない部分まで、黒塗り検閲なしに表示して。


 ……えっ!? 平安時代の酒呑童子って、鬼退治ってそういう話だったの!? エモ!!



「終夜君終夜君、みんなと見てるところ違ってない?」

「ほあっ!? へっへっへ、そんなワケないんだぜ? いやだなぁ帆乃花は、へっへっへ」

「? わひゃっ、えへ、えへへへ……」


 無垢な視線を向けられてしまったら、さすがによそ見はできない。

 ごまかしついでになでなでしたら、いつものワンコな耳としっぽを幻視した。


(とはいえ、だ……)


 今みんなが注目してる部分、俺としては既知の情報ばかりなんだよなぁ。

 まぁ、一通り目を通した後は、後方理解者面でみんなの反応を眺めていよう。


 手を離したらきゅーんって捨て犬っぽく帆乃花がなってるけど、お前さんが真面目に見ろって言ったでしょ!

 可愛いけど、めっ! お預けっ!!



「……要約いたしますと。今回行おうとしていることは、私たち白の一族が採用している時空の概念とは異なる、さらにはより上位の論を用いる必要があるため、白の一族の技術だけでは足りないのです」

「なる、ほど」


 最終的に新姫様が伝えた言葉に、誰もが納得をする。

 白の一族が干渉しているのはあくまで、“歴史の羅針盤ワールド・タイム・コンパス”が定義する、世界が一つの歴史を進んでいるという前提での時空間の話。

 それを複数の世界へ分岐させそれぞれがそれぞれの歴史を進む状態にする、というのは、前代未聞の問題なのだ。



「そもそも、本当にそんなことができるかどうか、確証のないものをやろうとしてるってことなんだね」

「それはさぁ、相当難しいんじゃない?」

「うぅむ」


 三羽烏が沈黙する。

 そこでスッと手を挙げたのは……。


「……真白君?」

「うん。僕から気になったこと、っていうか、提案なんだけど」


 そう言って真白君は隣のめばえちゃんと目を合わせてから、改めて俺たちに向き合い。


「まず、どういうイメージがあれば、世界を分岐させられるかを考えた方がいい気がする。白衣の男は系統樹って口にしていたけど、それが採用できればいいのかな?」

「おお」


 建設的な意見に、思わず俺は拍手した。

 これについては俺も思うことがあったので、言葉を重ねていく。


「それな。世界を分けるってのの、そもそものアイデア出しができるのは有益なんじゃないかって俺も思う。だから……」


 完全に真白君の提案に被せる形じゃあるが。


「まずは、俺の知ってる限りの()()()()()、挙げていくぜ?」


 持ってる手札は、使える時に使わないとな!



      ※      ※      ※



 そこから俺は。

 前世の知識をフル稼働して、知ってる限りの複数世界概念を披露した。


「平行世界……世界線……」

「多元宇宙……マルチバース?」

「歴史の系統樹説だけでも、それだけのパターンが……」


 その大半はいわゆる娯楽系で知ったにわかSF知識だったが、ここにいるのは俺とは比べ物にならない天才たちを含んだ仲間だ。いいように理解してくれるはず。


 なんて考えてる俺の希望的観測は。


「なるほど」

「そういうことなら……」

「だったらこれは……」


 ありがたいことに、上手くいきそうな兆しを会話から滲ませだして。


「その説を通す場合は、先ほど立てた論の……」

「それについてはこちらにまとめた資料を基に……」

「あ! じゃあじゃあ! こういうのはどう?」

「聞きましょう」


 ぐるんぐるんと、転がって。


 喧々諤々、丁々発止。


 再び後方理解者面で、見守ること……30分。



「「まとまりました」」

「早っ!」



 あまりにも頼り甲斐がありすぎる、声帯が同じ姫様たちのサラウンド。


「あくまでこれは仮説ですが、贄たちは、現状をこう解釈したく思います」


 そんな言葉を枕にして、うちの姫様が告げる。



「白の一族が……いえ、()()()()()()()()()()()歴史の流れ、特異点の発生と収束。それらには、()()()()()()()()()()()()時空間のルールが存在し、適用されているのだ、と」

「……!」


 言われて、びっくりして、総毛立った。


(その解釈か!)


 そう来たか。ってなもんだ。


「私たちが今いる世界は、六色世界においては白と赤の領地の緩衝地に存在しているのだそうです。そこには異なる時間の流れが存在しています。これは事実です。それを踏まえて、白の一族は下位世界の歴史に干渉し、様々な問題に対応しているということ。であれば……」


 うちの姫様の解説を、虹姫様が引き継ぐ。


「であれば……六色世界もまた、何かの世界の下位世界である。という仮定も、成立するのではないかと判断した次第です」

「箱庭宇宙論!」


 世界を箱庭構造、あるいはマトリョーシカのようにスケールを取る論説!

 一つの世界を覆う世界を覆う世界を覆う世界を……って、言い出すとマジでキリがなくなる奴!


(なるほど確かに。その理屈なら、ハベベ世界と六色世界だけじゃない、世界があると言い出せる!)


 その定義通りにより上位の世界があるのなら、そのスケールから干渉し、下位世界になる六色世界のルールだって捻じ曲げられるって寸法だ!



「おそらくはこれが、現状考えられる物として最も確度の高い仮説になると思われます」

「ありだな、うん、ありだ!」


 あとはその論を、こじつけでもいいから存在する可能性を示せたら!

 そこからの積み上げで何かしら打つ手が、俺たちの中から生まれるかもしれない!!


「これは、見えてきたか……ハッピーエンドへの道が!」


 何一つ犠牲に、踏み台にしないで、両方の世界を救うルート!

 俺が望む最高の結末へ至る、その筋道が!



「よし! それじゃあとは、この解釈を補強する論か何かしらの証明をしないとな!」


 意気揚々と口にした、その時だった。


「「えっ」」


 複数の口から、そんな声が漏れ聞こえ。


「え?」


 反射的に口にした俺は、そこで気づく。



「「………」」


 複数の視線――今しがた「えっ」て言った人たちの――が、俺を見ていた。


 その内訳は、うちの姫様、虹姫様、新姫様……そして、巡パイセン。



「この話の流れで、そこに引っかかるの?」

「え? 次に考えるべきはこれだろ?」

「いや、あのね。終夜?」


 パイセンが、なぜか気遣わしげに俺へと声をかける。


「逆なのよ、逆」

「え?」


 逆? 何が?


「この解釈を出せたのは、そもそも、それを補強する物が存在したからなのよ」

「マジで!?」


 ハッピーエンドへ至るためのカギが、すでにここにあった!?

 驚きの事実に俺は周りをきょろきょろする。


「あ」


 何かに気づいた……っていうか察したっぽいめばえちゃんが、姫様と……俺を見る。


 ん?


「つまり、どういうことだ?」

「……ふっ」


 よくわかんなくなった俺の呟きに、巡パイセンが小さく笑う。

 彼女の羽衣が、ゆるりと俺の胸をノックした。



「アナタよ、終夜」

「え?」

「アナタの存在が、その証明なの。()()()()()()()さん?」

「………」


 あ。


「ああああああああああああーーーーーーーーーー!!!!」


 俺の叫びが、辺りにでっかく響き渡った。



「そうか! そうだな! そうだったな!!」


 何よりも失念していた。


(そうだよ、俺は――!)


 ――黒木終夜は、転生者(いせかいじん)である。

天2隊員’s「な、なんだってぇーーーー!?!? て、てんせいしゃー!?」


応援、高評価してもらえると更新にますます力が入ります!

ぜひぜひよろしくお願いします!!

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― 新着の感想 ―
六色世界を娯楽として観測していた上位世界出身ですからね。少なくとも六色世界より上の世界がある証明にはなりますよね。 なんとなくスターオーシャン3を思い出しました。
上手くまとめよったな〜!
 まあね。 ハベベ世界とその上の六色世界を知っている。  つまり六色世界より上の世界にいて、観測していた説が成り立つ、と。
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