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第214話 ルピタ・オ・レオル・ユビ

いつも応援ありがとうございます。


応援、感想、いつもいつも元気をいただいています。

どうぞ最後までご声援頂けましたら嬉しいです!


因果の収束。


「キミのこれからの挑戦を、私にも見せてくれ! いやください! そのためだったらいくらでも私は手を貸そう! 見たい、見たい、ぜひ見たい! きっとその先にすべてがより派手で楽しい未来がある!」


 目を爛々と輝かせたそこにあるのは、好奇心という名の純粋な狂気。

 ただそれだけで世界をここまでぐちゃぐちゃにして見せた男の、偽りない心からの提案で。


 一目見てこいつは、ルピタは……()()()()()()



「………」

「黒木君?」

「終夜、君?」

「黒木……終夜?」


 即お断りするべきそれを無言で受け止める俺を、周りのみんなが不安げに見てくる。

 俺は内心をポーカーフェイスで徹底的に封じ込めながら、努めて獰猛な笑みを浮かべて口を開いた。



「……うーん、どうしよっかなぁ?」

「「「!?」」」


 今日一番のざわめきが広がった。



「黒木君?!」

「終夜!?」

「待ちなさい! 黒木終夜!」

「ちょちょちょ! 終夜君!?!?」


 騒ぐ声のすべてを無視して、俺は思わせぶりな態度をルピタに示し続ける。

 すると案の定、ルピタは歓喜に身を打ち震わせて声を張り出した。


「!! 素晴らしい! 素晴らしい! さすがは私の推しだ! 私という存在の有用性をしっかりと理解してくれているのだね! わかる、わかるとも! 恨み辛みはある! だが、それすらも越えて今、私という存在を利用しようと悩んでくれているのだね!!」

「ま、そういうところかもな。俺の口から今、断言はできないけど、な?」

「!?!?!? あぁ! あぁ! やはり! だから君は素晴らしい!! 黒木終夜!」


 ……かかった。

 今この瞬間、こいつの中で。


 俺が、味方扱いになったのを直感する。



「勘違いするな、あくまで俺は俺の判断をしてるだけだ」

「ははは! わかっているとも! 本当に君は冷静だ、真の英雄だ! であれば私も誠意を見せねば! この場のにいる全員の靴でも舐めようか! 生きるためにあらゆる従属的な行動を取ることを誓おう! なぁにこれもまたイベントの一つと思えばなにも、なにも悪感情など抱かないとも!」

「へぇ、マジでなんでもしてくれるのか?」

「もちろん! これから推しが我々六色世界の理に挑もうというんだ! そのために手を貸せるなど、それ以上に面白いことがあろうはずもない!!」

「そうか、だったら……」


 俺は静かに、他の仲間たちに手振りで指示を出す。

 “おいで”と。


「「………」」


 俺の意図が伝わって、虹姫様や真白君、めばえちゃん。そして豪風を降りてうちの姫様や帆乃花も続々とそばにやって来る。

 周囲に精霊の力が揺蕩っているのを感じれば、誰もがこの先の展開を予想しているのは明白で。


 ……だよな。

 もう、十分だよな。



「ふむ? これはまたぞろぞろとお揃いで?」

「ルピタ」


 ただ一人、状況をよくわかってなさそうな……否、この期に及んで俺くらいしかちゃんと見ていないルピタに向かって、俺は今日一番の慈愛の笑顔で、告げる。


「俺からお前に求めることは、ひとつだけだ」

「なにかな?」


 積年の思い、すべてを込めて。

 ただ、一言。



「死ね」


 ドゥンッ!!


 次の瞬間。

 俺は胸元に隠した赤の秘宝“No.9(ナンバーナイン)”を引き抜いて、一切の迷いなく、ルピタに向かって撃ち放った。



      ※      ※      ※



「……ぐぎぃぃぃぃぃ!!」


 撃ち抜いたのは、肩。

 この瞬間、死の刻印は確かに奴に、刻まれた。


「なぁっ! ぐぁ! ああああ!!!」


 銃弾を受け、ルピタが痛みから呻き声をあげる。

 その目は大きく見開かれており、感情の高ぶりを示す六芒星が浮かんでいて。


「? ???」


 その顔は、戸惑いに染まっていた。



(……ああ)


 本当に、こいつは。

 ガチのマジに、こいつは。


 俺たちのことをどこまでも舐め腐ってやがったんだなって、確信する。



「な、ぜ?」


 この問いは動機を聞いているんじゃない。

 どうしてこんな非生産的なことをしたのかを、疑問に思っている。


「そんな、そんな非合理な選択を……?」


 自分がいれば役に立つ。

 これから挑む難題はそれほどまでに難しく、当然自分は必要とされる。


 それを一切こいつは疑っていなかった。



(実際、こいつの助けがなけりゃ、この先の答えが手に入らないかもしれない)


 歴史は改変され、元の歴史は塗り潰されて。

 今俺の隣に立っている虹姫様の知る世界が、すべて消えてしまうかもしれない。


 めばえちゃんや真白君が、悲しむ結末を迎えるかもしれない。 



「なぜって?」


 でも、だ。


「そんなの、決まってるだろ」


 滅現銃の残弾をチェックしながら、言ってやる。


「その非合理極まる俺の心が……“お前は要らん”って言ってんだよ」

「なっ!!」


 目を見開いて驚くその顔から、どんな気持ちか察するのは容易だった。


 裏切られた。


 でも、そんな顔をお前が浮かべる資格は……ないよな?


 だから俺は代わりに、満面の笑みで応えてやる。



「最初からずっと、俺はこうする気しかなかったぜ?」

「そんな……!」


 そしてこいつは。

 本当に俺の予想通りに。


「なんて、愚かな選択を……!!」


 どこまでも、どこまでも無邪気に、邪悪であり続けた。



「「………」」


 俺の背後から、複数の気配が動くのを感じる。


「ああ、ああ、なんということだ。最善を、最善の選択は……!」


 未だに縄で縛られ動けないでいるルピタが、ゆっくりと包囲されていく。


「「………」」


 仲間たちのその顔を、その表情から読み取れる感情の意味を、俺は知らない。


 でもきっと、ここからは断罪の時間なんだと、察するには十分だった。


   ・


   ・


   ・


 最初にルピタに動いたのは、真白君だった。

 歩み寄り、膝を折って声をかける。


「ルピタ……」

「む。今貴方に構っている暇はないのです、ヒーロー」

「僕には、ある」


 青い瞳が真剣に、ルピタを見つめている。


「あの日、貴方は僕をもう不要だと言って殺そうとしたね。それは、黒木君が活躍していたから?」

「そうですよ? あぁ、ですが貴方もなかなかに素晴らしかった」

「え?」


 不意を突かれ、真白君の顔が驚きに染まる。

 ルピタは、そんな彼を心から愉快そうに見て、嗤う。


「よくぞあの状況から舞台に這い上がってくれました。おかげで神子島戦線はたいそう楽しめましたよ。実質的なヒーローVSラスボス、だったのでね?」

「っ!」

「むしろ感謝していただきたい。あの時、貴方を逃がしたのは私なのだ。貴方に未来を与えたのはこの私。ああ、であればちょうどいい。その時の借りを今回収しましょう。貴方の口から黒木終夜を説得してください。彼の殺意が解かれれば、私にはまだ生きる目がある」

「………」


 真白君が俺を見た。

 頷きを返せば彼も頷いて、次の人へ譲る。


「………」


 あ、めばえちゃんが戻ってきた真白君にくっついて慰めてる。尊いね(仏の顔)。



「ルピタ。私からも、尋ねたいことがあります」


 そう言って次に動いたのは、虹姫様だ。


「貴方に白の技術を教えたのは誰ですか?」

「あ」


 その可能性を失念していた。

 ルピタが白の一族の技術を使ってるってことは、それを伝えた何かがあるのは当然だ。


 彼を追っていた虹姫様的には、そこは言及したいに違いない。


「あぁ、それですか」


 だが、帰ってきた言葉はシンプルだった。


「奪っただけですよ。γ-17899から」

「……そうですか」


 問い掛けは、それだけで終わる。

 だがそのやり取りは、俺にとってはめちゃくちゃ衝撃だった。



(γ-17899! 小説版HVVに出てきた、白の一族の裏切り者!!)


 その名は、真白君たち虹勢力が白の一族と対立していた時にいろいろ悪さしていた奴の名だ。

 騒動が終わり、白の一族を制した真白君たちによって幽閉されたが、赤の一族の介入によって殺された……と書かれていた人物でもある。


(そこが、繋がるのかぁ……!)


 思わぬところでこの世界と正史小説版世界の類似を確かめられて、俺はそっちに気を取られた。

 だからだろうか、ルピタの口がさっきよりも軽くなった。



「しかし、あなたには申し訳ないことをしましたねぇ。私という干渉により、さぞ心を砕くはめになったでしょう」

「!?」

「ですがそれも過去の話。黒木終夜の望みが叶えば歴史は元通り。貴方の愛しの――」


 ズギュンッ!!


「え?」


 驚きの声を上げたのは、真白君だ。

 威嚇、だったんだろう。


 俺たちからやや離れた場所に撃ち込まれたのは……マグナムの弾だった。

 暗夜が、パイロットもなしに動いていた。


「……ありがとう」


 小さく虹姫様が呟いたのが聞こえて、俺も察する。そして胸の奥底で歓喜する。

 あの世界の真白一人と建岩命を心から愛し、支える、神格にまで至った一人の精霊の実在に。


「ふむ……言葉が過ぎましたが。貴女ならばわかるはず。私の価値を。私という存在の使い道を! であれば」

「黙りなさい。私からはもう、何もありません」


 ピシャリ、と言い放つ。

 虹姫様はそれよりあとは、一瞥もせずにルピタから離れていった。


   ・


   ・


   ・


(……さて、因縁がありそうなのはこのくらいか)


 思わぬ新情報を確認出来てホクホクしつつ、改めて俺は殺意を高めていく。

 今、地味にルピタの奴は、俺の撃ち込んだ弾丸の力に抗っている。


 どういう対策を取っているのかわからないが、俺のあらん限りの殺意がしかし、奴を仕留めるに至ってないのだ。


(だったら、もう一発、いや何発だって撃てばいい)


 俺が弾を込めなおしたとき、明らかにあいつは焦りを見せた。

 一撃必殺が成らないなら二撃決殺、いやさキミが死ぬまで撃ち込むのを止めない! で、いいのだと確信する。


 それをあいつもわかっているんだろう。

 今はどうにかこうにか生き延びる隙を見つけるべく、この場の誰を利用すればいいのか必死に頭を回転させている様子で。


 そんな時、だ。



「ねぇねぇ、私からもちょっと、いいかな?」

「え?」


 そう言って手を挙げた人物に、俺も、ルピタの奴も驚いた。


「私もね。1つだけ、聞きたいことがあるの」

「帆乃花が?」


 俺がこの場で、最も個人的な縁が薄そうだと思ってた人物――清白帆乃花。

 彼女はするりと歩み寄り、すっと腰を落としてルピタの前にかがむと、首を傾げて問いかける。


「ねぇ。もしかして……白の鳥籠に、いた?」

「!?」

「私、あなたのこと、どこかで見たことがあるってずっと思ってたんだけど……多分、そこだよね?」


 ……どういうことだ?

 事情を知らない俺からするとさっぱり、なんだが……。



「……ああ! キミは! そうか!! あの日の“出来損ない”か!!」

「「………」」


 ルピタが返した一言で、おおよそを察した。

 一瞬で、周囲の空気がピリつく。


 でも、問いかけた本人はどこまでも笑顔で。


「あ、やっぱり! そっかー! よかったー!」


 満点の笑顔で。


「……ずっと、ずっと言いたかったんだ。あなたに」


 言い放つ。



()()()()()()()()()()()。私の意志は、あなたなんかに負けなかった」



 否定ではなく。かといって受け入れたわけでもなく。

 どこまでも力強い、勝利宣言。


 帆乃花の後ろで、うちの姫様が後方理解者面をして頷いていた。


「だよね、終夜君!」


 こっちを見てきたから、俺も力強く頷いた。

 彼女の重ねた努力を、その意味を、誰よりも俺がわかっているから。



「?」


 キョトンとしているお前にはわからんだろうさ、ルピタ。


「……えへへー」


 天2(ウチ)のヒーローは誰よりも頑張り屋で、そしてカッコいい。



      ※      ※      ※



「こ、れは。これは……さてはて、どうしましょうか」


 いかにも困りながらもまだ余裕があるといった言葉を選ぶルピタ。

 だが、俺は見逃さない。


 その額に脂汗がにじみ、確実にその存在が死へと近づき、旗色を悪くしていると。


「………」


 もう、いつ俺に撃たれてもおかしくないと、理解している。



「は、はは」


 奴の口から洩れたのは、軽薄な笑い声。


「黒木終夜」

「なんだ?」

「あの、その……ここらでひとつ、冗談をやめにしませんか?」

「冗談?」

「えぇ、えぇ! あなたのように聡明で理論派ならば、私をここで失うことのリスクを理解しているでしょう!? 今この瞬間まで私を生かしているのも、その天秤を揺らして思考を重ねていたからに他ならない!」

「……なるほど?」

「であれば! そろそろいいでしょう! こんな茶番は終わりにして、私の拘束を解き、私と共に難題へ挑みましょう! なに、失敗したところで元の世界が上書きされるだけ、あなたの紡いできた歴史がなくなるわけではない! これは素晴らしいゲーム! 挑戦ですよ!」


 ……それ、本気で言ってる?


「はは! どうしてそのような目で私を見るのです? 憐れなものを見るような、まるで、そうまるで、ただただ滑り倒している未熟なピエロを見守っているかのような、勘違いした正義を振りかざす論客を見ているような、その、冷めた目は!!」


 ルピタが、プルプルと震えだす。


「なぜ! そちらが!!! 私を見下しているのです!?!?!?」


 最後に出る本音が、それか。

 本当にもう、十分だ。



「あ、あ、やめなさい。それはもう使ってはいけない。使っては、あああああ!!」


 俺が再び銃を構えた、その瞬間。

 奴の懐が突如、そして急激に赤く輝いて――。


「――!? いけません、黒木終夜! 距離を!!」


 虹姫様の叫びが俺の耳に届くころには。

 俺の目の前でもう、その大きな口が閉じようとしていた。



「ガルゥグルルガァァァァ!!」

「あぁ、やっぱここに居たんだな。お前」



 現れたのは全身を拘束された“海渡るオオカミ”。

 操られるままに俺をその大きな顎で嚙み砕こうとして――。



「――今、自由にしてやるよ」

「!?」



 懐から小さな薬瓶を取り出して放れば、それを弾丸で撃つ。


 バリンッ!


 砕けた小瓶から飛び出した液体が“海渡るオオカミ”にかかり――直後。


 パァァッ!!


「!?!?!?」


 彼を縛っていた拘束が、弾け飛んだ。



「グルァァァァ!!」

「……はぁえあ?」


 キョトンとするルピタの見ている前で、誇り高きオオカミは己の意思を示す。


 ドシンッ!!


 閉じかけた大口を無理矢理開き、その身を横たえ地面を滑り……転がって。


「…………ウゥ」


 そのまま地に伏し、動きを止める。


 “戦わない”


 そこでようやく口を閉じ、鼻息を鳴らすその雄姿は……まさしく「ざまぁ」と言っていた。



「いやぁ、残念だ」


 ナイトメア戦であれば助かると思って作ってもらっていた、オリーの錬金アイテム“解呪の小瓶”。


「これでその縄、溶かしてやるつもりだったんだけどなぁ? まさかまさか、拘束された亜神級が飛び出してくるとは思ってもみなかったZE☆」


 それがここにきて、一番いい感じに使用できたことに、俺は満足する。


 だから。



「あーあ」


 しらじらしい程の味方面で、悪辣に、愉悦を込めて、俺は言う。


「裏切られちまったなぁ。これじゃもう、協力は出来ないぜ」

「な、ぁ、ぁ……!」


 いよいよもって、ルピタの顔から余裕がなくなった。



「だ、駄目だ駄目だ駄目だ! そんなのは認められない! 私がこの先に参加できないなんて! こんな素晴らしい挑戦を見届けられないなんて! ありえない! いけない! 損失だ!!」


 目をぐるぐるさせながら、肩から血を流しながら、ルピタが強請る。


「黒木終夜ぁ! お願いだ! 私を助けてくれ! こんなのは生殺しだ! 理不尽だ! 私がここまでお膳立てしたというのに! どうしてこんな仕打ちをするんだ!!」

「ガルゥゥッ!」


 わかるわかる。

 そういうところだぞって、海渡るオオカミも言っている。


「私が! 私が特異点を作ったのだ! だから君は彼女を! 黒川めばえを救えたのではないかね!? その恩義を君は感じないのか!?」

「ありがとうございます」

「ちがぁぁぁぁぁぁう!!! そうではない! そうではないだろう!!」


 ミノムシ状態で何を言っても、こっちの心には響かない。

 っていうかたとえそこに恩義を感じても、めばえちゃんを弄んだ罪で差し引き余裕でマイナスだ。



「……そうだ! 黒川めばえ! 黒川めばえ! キミだ! キミだよ!」

「!」


 殺す!

 引き金に手をかけたその瞬間。


「待って」

「!?」


 それを、めばえちゃんが止めた。



「あぁ! あぁ! 素晴らしい! キミならば彼を制御できるのだな! であれば、黒川めばえ! 私を助けて欲しい! キミを陰ながら、私は支えてきただろう!?」

「………」


 めばえちゃんは、囀るルピタを静かに見つめ、話を聞――ん?


「そう! 私こそがキミの恩人! であれば今こそそのおん、おん、お、おおおお?」

「………」


 さっきまで、あれほど騒いで蠢いていたルピタの体が、動かなくなっていく。

 これって……。


「く、ぐろ、がわ、めば、めばばばば、めば、え?」

「………」


 あー、なるほど。理解理解。

 今、あいつの動きを封じているのは――めばえちゃんの『呪い』だ。



「私は、あなたを、許さない」


 低く、唸るような声で、めばえちゃんが言う。


「私の大好きなおじさまを……()()()()()()()!」

「!」


 ルピタの口がハクハクと動く。

 超常封じの縄と真実の鏡の影響か、レジストできなくなった呪いによって、話せなくなったのだ。

 真実と違う彼女の語りも、訂正できなきゃ止めようがない。


 んで。

 そもそもの話。



「あなたが、みんなを困らせて、みんなを弄んだのは、明白」

「……! …………!!」


 めばえちゃんってば、最初から、こいつの話に聞く耳なんて持つ気ゼロだったようで。

 恨み千万。重ね掛けされていく呪いが、ルピタのあらゆる抵抗を封じ込めていく。


「その罪、万死じゃ、絶対、足りない……!」


 見なよ……俺の最推しを。

 すべてを射殺すあの冷たい瞳こそ、マイフェイバリットラブエターナル、黒川めばえの雄姿だ。


 俺はこの瞬間を、魂に刻み付けるぜ!



「あなたは、この世界の敵。この世界を侵略する存在。だったら……あなたを倒すことこそが、私たちの、使命」


 めばえちゃんが、叫ぶ!



「お願い! ()()()()()()()()()!!」



 それは、自分にできないことを任せる、請願の言葉。

 誰かを素直に頼る、これまでの彼女にはできなかった言葉。


 奇しくもそれは、彼女の本懐と繋がる。


 ヒロインとは、ヒーローを助ける存在。

 彼女の言葉と『呪い(チカラ)』は、見事にそれを果たしてみせた。



「任せて!」

「もちろん!」

「参ります」

「死になさい」


 その号令に、全員が動く。


「任せろぉおおおおお!! めぇばぁえぇちゃぁぁぁーーーーーーーん!!!」


 もちろん、俺も。


 そして。



「……!!」


 防御も弁明も、何一つとして許されないまま。


「だぁぁぁぁ!!」

「えぇぇぇい!!」

「フッ!」

「……っ!」


 蛍丸に、DO-TANUKI・Mk-Ⅲ×2に、写し・蛍丸にその身を貫かれ。

 それらが引き抜かれると同時、そのど頭を。


「残念だったな? お前が見たい一番いいところは……一生お預けだ」


 No.9の弾丸が撃ち抜いた。



「! ご、ぁ……い、やだ。こん、な……つまらな、い……」


 白目をむいて仰向けに倒れる、ルピタ。

 この世界を混沌の渦に巻き込んだ男の、あまりにもあっけない、滑稽な結末。


「こん……な……みとめ……な…………」


 その最期の言葉まで、実に奴らしい……どこまでも手前勝手な言い草で。


「ぉ……」


 命を刈り取られ塵となって消えていく、その姿を……。



「さて! じゃあ実際問題どうやって二つの世界を救うのか、考えようか!」


 ……誰一人として、顧みる者はいなかった。

次回新章、および最終章!

二つの世界を救うべく、終夜が跳ぶ!


応援、高評価してもらえると更新にますます力が入ります!

ぜひぜひよろしくお願いします!!

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― 新着の感想 ―
ラスボスが無様に命乞いするのいいよね。 オオカミさんもお疲れ様
悪は滅びた!後はどうやって二つの世界を共存させるかですね。
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