第193話 日ノ本最終決戦! 戦いの舞台は九洲だ!
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いよいよ始まる大決戦!
福丘。
「ふぅぅぅ、うおおおおおお!!」
振り上げた拳が、精霊級最強のハーベスト、ドラゴンの顎を打ち砕く。
緑の燐光を放つ契約鎧“開新”を纏った木口猛の前進は、果たして誰にも止められない。
「福丘防衛隊2班、3班! たけポンに続けー!」
「「おおー!!」」
その後ろを、汎用タイプの契約鎧“同心”を纏った鹿苑寺桂馬たちが追従する。
一糸乱れぬ行軍は、木口猛を突撃隊長と任じての団体行動。
隊長技能レベル3を持つ、人類の希望ハーベストハーベスターの従えし軍勢だった。
「おいこら鹿苑寺十剣長! たけポン呼びするな! せめて筋肉隊長と呼べ!!」
「んな細けぇことを気にしてたら先に行っちまうぜ? た・け・ポ・ン? そうなりゃ手柄も独り占めだ! よぅし、ブッコみ――」
「団体行動を乱すな! 竜胆にチクるぞ!」
「――そこでまぁやのこと出すの卑怯じゃね!?」
敵陣ど真ん中だというのに、まるで訓練中でもあるかのような二人のやり取り。
鋭く張り詰めた緊張感の中にあって、そのどこまでも大きな余裕は、追従する福丘防衛隊の心を大いに鼓舞した。
「あれが天2独立機動小隊……格が違いすぎる」
「だが、味方であればこれほど頼もしい存在もいないだろう。彼らに続け!」
精霊殻すらその背に従え、天2で最も大きくたくましい戦士は行く。
彼らの前進は、果たして誰にも止められない。
佐我。
「各地へ天2の小隊員が派遣されると聞いたときは、これで我々も楽ができると思ったのだがな……」
「ここに派遣されたのは……彼か」
「えぇ……彼です」
佐我防衛隊は、天2から派遣された人物を見て、少なからず落胆した。
彼の名前こそ知ってはいるが、その活躍に華々しさが一切なかったからである。
「いぇーい、カンナちゃん見てるぅー? 今、佐我にいるよー」
霊子通信で恋人らしき人物と連絡を取っているのは、乃木坂駆百剣長。
天2の機動歩兵にして、斥候を任される存在。
敵の殲滅にこそ貢献してくれると期待していた将兵たちは、それでも礼儀を守り彼に挨拶をしに向かう。
「あー、乃木坂百剣長。私がここの隊長の」
「あ、ちょっと待って」
「むっ」
唐突に手を突き出して静止され、無礼を返されたと思った隊長が眉根を顰める。
「君、さすがにその態度は」
「待って待って。はい、5,4,3,2,1……ゼロ」
「は――?」
ドンッ!
――瞬間。
佐我市のど真ん中に居座っていた柱から突如として爆発が起こり、黒煙を吐く。
「んー、あと3発ってところかな?」
「なにを」
「とりあえず、あと3往復してくるんで。それまで、必ず町を守ってください」
「!?」
ただそれだけで、将兵たちは理解させられた。
天2隊員が、常に最前線を駆け抜けてきた人物が……地味なワケがなかったのだと。
宮咲。
「あのでっかい柱を、ぶっ壊したいかー!?」
「「おおー!!」」
「途中にワラワラいる敵が、超超超超超邪魔かー!?」
「「おおーーーー!!」」
柱の監視用に建てられた櫓の上で、鏑木翼が音頭を取っていた。
彼女の陽気さが伝播した宮咲防衛隊の面々は、誰もが口々に声を張り上げる。
彼らの熱狂は、決して、翼の着ている新型契約鎧“信愛”のぴっちぴちのボディラインが原因なのでは、ない。
「柱を壊せ! 柱を壊せ!」
「敵を倒せ! 敵を倒せ!」
ハーベストハーベスターがここにいる。人類の希望がここにいる。
そんな彼女が、謡うのだ。
「デカブツはアタシに任せて! みんなは柱まで、一直線にGO!」
ドンッ!
「グルギャオォォォォーーーーーーーーン!!!」
謡うと同時に、倒すのだ。
彼女の前では伝説を現実に呼び込んだ絶望、ドラゴンでさえも蚊トンボなのだと。
「キルレート高い奴らはアタシに任せろー! 出来高最高ー!!」
「「最高ー!」」
道路脇に並び立つヤシの木が、彼らの熱気で揺れていた。
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隈本市内。
「さぁ、急いで準備しますわよ!」
「手伝うッスよ!」
「各員! 全力で用意しろ! この一大イベントを逃すな!」
「Yeah~!」
そこでは急ピッチで何かの用意が進んでいた。
天久佐の壁。
「さぁ! 行くぞー!」
「とっておきもございます」
『アップグレード、既ニ完了ッ!』
亜神級を前にして、英雄たる少女たちは笑っていた。
神子島。
「支援します!」
「はぁぁぁ!」
『追加武装、転送!』
人を超えた者たちは、たった二人と通信越しの一人だけで、それらを食い止めていた。
永崎。
「我らこそ! 新たなる絶対防衛線の守護者!」
「この場所は、絶対に突破させねぇぞ!!」
「神子島仕込みの戦いを喰らいやがれ!」
「だったらこっちは天2仕込みだ! うおおおお!!」
各地で希望を繋いだ戦士たちは、超人の鼓舞がなくとも意気軒高だった。
天2基地。作戦本司令部。
「それじゃ、私も行ってくるわね」
「いってらっしゃ~い」
「気を付けてねぇ~……ふぅ」
各地の戦局をモニターしている、九洲総司令六牧百乃介は。
「……もぉー、遅いよ。ホントにさぁー」
奥分に現れたその人物を見て、勝利を確信する。
「待ってたよ。さぁ、いつも通り……好き勝手やってちょーだいな」
黒木終夜。
日ノ本最強の英雄“緑の風”にして“刈り取るものを刈り取る者”。
モニターは、そんな彼のいつも通りに自由な姿を、しっかりと映し出していた。
こっからはアゲアゲで行くぞー!
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