第158話 見上げた空の青と白
いつも応援ありがとうございます。
感想・評価いただくたびに、やったぜと喜んでいます。
楽しんでもらえてるんだなと実感が沸きます。
誤字報告も助かっています。本当にありがとうございます。
本章エピローグ!
「諸君! 我々は勝利した! 神子島解放軍総司令、六牧百乃介準霊師の名において! 本作戦は完遂されたとここに宣言する! 九洲に、ハーベストなし!!」
「「「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」
歓喜の声が、日ノ本中に響き渡った。
晴天の最終拠点で行われた六牧司令の勝利宣言は、当然のように生配信されており、リアルタイムで共有される。
公式チャンネルで、兵たちの個人チャンネルで。
この歴史的瞬間は自由に誰もが撮影し、記録に残し、公開された。
日ノ本軍による神子島奪還。
5月20日。
それは原作HVVにおいては、ゲーム最終日を越えた在り得ざる日で。
同時に小説版HVVにおいては、めばえちゃんが失恋、絶望し、闇へと落ち始めたまさにその日で。
(けれどもどうだ、運命! 俺はここにいるし、めばえちゃんもそこにいる!)
大勢に祝福される中に、俺も、彼女も確かに存在していた。
呼朝の開いたコックピットから手を振る俺の右下、2時の方角に、お行儀よく座って手を振っているめばえちゃんがいる。
(俺もめばえちゃんに手を振られてぇぇーーーーーーーーー!!!!)
『終夜、思っていることが顔に出ています』
『出てる』
なんかダブルで声が聞こえるようになったヨシノとユメに突っ込まれつつも、俺はこの胸の中に湧き上がる衝動を抑えきれない。
「あの日、真白君を取り逃がしちまったあの悔やんでも悔やみきれないあの日。帰ってきた俺を待っていた……あの輝き」
何度だって思い出す。
あの日、怒りと悲しみと失望に囚われた俺を迎えためばえちゃんが、俺に掛けてくれた言葉。
『黒木終夜。あなたのおかげで……私は、前を向けた……ありがとう』
………。
………………。
……………………。
ぼへぇ~。
『戻ってきてください、終夜』
『んっ』
バチッ!
「ぎぇっぴ!?!? って、やべ。またトリップしてたのか。サンキュー二人とも」
『本日すでに12回目ですよ』
「え、そんなに!?」
やべぇな。
いくら気合を入れ直しても、秒で頬が緩んじまう。
『気が抜けてるの?』
「あー、抜けてるかも」
もう、RRとかどうでもよくなったね。
次見つけたらね、問答無用で速攻で叩き切ればいいだけだからね。
最後の言葉的に真白君の気持ちも絶対無視してたし。
(真白君いい子だから裏切られるとマジでしょげるぞ。瞳ウルウル清白さんみたいになるからな! 精々困ってろ!)
悪いのはアイツ。倒すべきもアイツ。
ついでに白衣の男も潰す。
それだけだ。
真白君を助け出し、敵の上位存在をぶち倒す!
ビッグオーダーは継続だ!
(そうだ。戦いはまだ終わってない……九洲を取り戻しただけじゃ終わりじゃない)
侵略してきた赤の一族を全部倒して、世界全土を取り戻す。
ヒーローVSラスボスの戦いを回避して勝つには、それが必要なのだから。
(これに何年かかるかはわからないが、でも)
世界を取り戻していくことについて、心配はそんなにしていない。
だってこの世界には、頼れる仲間がたくさんいる。
(天2のみんな、これから俺たちの背を追って強くなってく人たち、各国の生き残り……)
勝ち残る戦力としては、十分以上が手に入ったと言っていい。
俺が求めた力は、確かに今、世界を救える領域まで辿り着いている!
(だからこそ、白衣の男とRRは捨て置けない。俺がこの手で必ず見つけて、潰す!)
俺の求めるめばえちゃんの幸福な未来のため。
彼女が“踏み台型ラスボス少女”なんて不名誉な呼ばれ方をしないで済む、ベストエンドのため!
(俺に向けてくれたあの笑顔が、これからもずっと、何度だって見られるように!)
これからも俺は、推し活し続ける!!
「……まだまだ、やることは山積みだな」
『はい』
『ん』
「とはいえ、とはいえ……だ」
今、俺のやるべきことは未来を見ることじゃない。
「俺たちは、勝ったんだ」
そう。
今、俺のやるべきことは――!
「……うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「「!?!?!?」」
叫ぶ。
勝利の、希望の雄たけびを!
「めぇばぁえぇ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!」
「なっ」
「「めぇばぁえぇ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!」」
「ぁっ……!?!?」
沸き上がる歓声の中、空を仰ぎ見る。
晴れ渡る青い空に、制空権を取り戻した日ノ本軍の戦闘機が、白い線を引いていた。
ハーベストハーベスター
第5部 セカンド・ジェネシス 完
これにて、第5部完結でございます。
これより先は、いよいよ終盤へと向かっていきます。
交差する運命、明かされていく真実、それぞれが背負ったもの、背負っているもの。
混沌めいた状況も、ここからゆっくりと収束していくものと思われます。
どうか、黒木終夜君の推し活の行く末を応援してあげてください。
感想、高評価いただけると更新にますます力が入ります。
色のついた五つの☆、懐かしがったり考えたり、首を傾げたり。感情の乗った感想をいただいて、ずっしりとその重さを嚙みしめています。本当にありがとうございます。
最後まで、駆け抜けていきます! 応援よろしくお願いします。