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第155話 傷だらけの明星

いつも応援ありがとうございます。


感想・評価いただくたびに、やったぜと喜んでいます。

楽しんでもらえてるんだなと実感が沸きます。

誤字報告も助かっています。本当にありがとうございます。


主人公VS主人公!


「真白君! 悪いがキミの精霊殻をぶっ壊してでも、捕獲させてもらう!」

「させない。僕はアナタに勝って、より良い未来へ手を伸ばす!」


 呼朝と明星が衝突する。

 桜花島の中腹で、二体の巨人が刃を振るう。


 片や日を浴び輝く白の大太刀。

 片や日を吸い濃さ増す黒の大太刀。


「ぜぇぇい!」

「たぁぁっ!」


 打ち合う。

 響く衝突は島山を震わせて、質量が大気を弾き強烈な破裂音を打ち鳴らす!


 パァンッ!!


 互いに離れる二本の大太刀。

 けれどそれぞれに美しい曲線を描けば――すぐさま再び振るわれる!



「チェストォ!!」

「ぁぁぁあっ!!」


 機体操作で無理矢理回り、全身を使って二の太刀を放った俺に対して。


(マ、ジか……!!?)


 相手方――真白君の精霊殻は、弾かれる力を腕だけで受けきり、再び真っ直ぐ振り下ろしてきた。


 パァンッ!!


 切り上げる俺の太刀筋と、振り下ろす真白君の太刀筋がぶつかって。


「ぐ、のぉぉ!!」

「はぁぁぁぁ!!」


 押し込まれたのは、俺の方だった。



      ※      ※      ※



(いやいやいやいや待て待て待て待て!!! これはおかしい……!)


 明星が、呼朝にパワー勝ちするってどういうことだ!?


 呼朝。

 明星を俺向けに改修した実質俺の専用機。

 コード処理能力を高め、バカみたいなコマンド操作で人間と同じ……いや、それ以上の速さの動きで機体操作できるようにした超びっくりドッキリメカ。


 当然それを成立させるために関節部の細かな強化や装甲の厚みを変更したりなど、原作にあった設定通りとはいかない改変がこの機体には施されている。


(対して相手の明星は、パッと見で俺の知ってる原作通りの作りをしてるように見える)


 真白君のは見た目こそ黒く塗られているが、それは夜に紛れて行動するって理に基づく迷彩化のため。

 黒く塗ったからって機体がパワーアップするわけじゃない。


 俺の呼朝にパワー勝ちする理屈にはならない!



「……押すぞ!」

『了解』


 押し込まれている左腕に、右腕を添えて押し返す。

 片手同士の力比べで勝てないのなら、こっちが両手を使うだけだ!


終夜(コントラクター)!』

「わかってらい!」


 こっちがそうするのを、当然相手も読んでいる。

 明星の右手に握られたマグナムの銃口が、呼朝の頭部をロックする!


「まわせぇぇぇぇっ!!」


 手元に用意していたコマンドを、今処理中のコードと入れ替える。

 パワーで押し切り振り抜こうとしていた腕の動きがキャンセルされて、代わりに呼朝の上半身がグルリと踊る――“上体ひねり”!


 ドンッ!!


 撃ち出された弾丸を、呼朝が寸での体捌きで回避して。


『姿勢制御、問題ありません!』

「っしゃあ!!」


 さらに素早くコマンド入力“前方跳躍”!

 呼朝の体が前へと飛び出せば、その機体ごと相手の懐に体当たり!!



「くっ!」

「転がしてやるよ!」


 衝突!

 いい角度で押し込んだ、と確信したのも束の間。


「おおおおお!!」

「なっ!?」


 明星が実行したコマンドはおそらく“踏みしめ”。

 こちらの全身でぶつかったその動きが、相手の踏ん張りに――阻まれる!


「ぐおおっ!?」

「うわぁぁ!!」


 一方的に姿勢を崩させるはずが、両機共にバランスを崩す。

 坂道なのも相まって、踏ん張りきれずに尻餅をついて、地を滑る。



(揉み合うように転がって……っちぃ!)


 桜花島は火山島。

 そこかしこに大小さまざまな石が落ちている。


 機動力重視で装甲薄めの呼朝だと、ただ転がるだけでもリスクが高い!


「飛燕!!」


 たまらず飛燕を呼び出して、右腕を上げ無理矢理掴んで距離を取る!


 が……!



「そこぉっ!!」


 ドンッ!


「ぐおぁっ!?」


 真白君の選択は、自機が傷つくのも厭わない――攻撃!

 撃ち出されたマグナムの弾丸が、呼朝の左肩をぶち抜いた。


 超常的な防御をぶち抜き機体その物に損傷を与えてくるそれは、間違いなく蛍丸に込められている力と同質のモノで。


『呼朝、機体損傷! 左腕敏捷性48%ダウン! 機体運動力21%低下!』

「一発でこれかっ!!」


 ヨシノから伝えられる現実に、苦虫を噛む。



(正直言って、真白君自身の基本スペックはそこまで高くない。だが彼の持つヒーロー補正と……なによりあの明星の性能が、なんか絶対バグってやがる!!!)


 近くで見たとき、傷だらけだった明星。

 長いこと戦い続けた歴戦の機体のような、様々な改修強化の痕跡。


 あれが本当に、一年以上もの戦闘経験を蓄積した証だっていうのなら……!



(ここまで来たらさすがにこう判断していいだろう……)


 真白一人(ヒーロー)に、戦う力を授けた謎の存在――RR(アールツー)

 彼女は……彼女もまた。


(間違いなく、時間と空間を操って、このイミフ機体を用意しやがったんだ!)


 時空間を操る“白の一族”の力を使っているのだ、と。



      ※      ※      ※



「いやまぁ、蛍丸っぽいのが二振りある時点で予想はしてたけどな!?」


 姫様に確認をお願いして、大阿蘇様のところにまだ蛍丸があるか確かめた。

 答えは――YES。


 この世界の霊刀は、今も大阿蘇様のお膝元に保管されていた。


(つまり真白君とRRが持ってるのは、どっかで作られた模造刀! 時空間を操って、技術を抜き取った代物だって予想できる!)


 そうなりゃ相手は上位存在、その技術を他の兵装に流用するのもできるんだろう。

 その結果が、たった今呼朝の肩をぶち抜いた超常防御無視の弾丸だ。


(いよいよもって、RR(アイツ)には対策打たなきゃいけねぇなぁ!?)


 依然RRと白衣の男との関係はわからないが、同等の技術を持っていることは確信した。

 愉快犯な白衣の男も放っちゃおけないが、RRは明確に、俺を殺してめばえちゃんをラスボスにするって言いやがったんだ。


 今の俺の優先順位的には、白衣の男よりもRRをなんとかしたい。


 そのためには……!



『……どうしますか、終夜?』

「当然! 戦闘続行だ!」


 散発的に撃たれる銃弾を躱しつつ、このまま飛燕で逃げられるから、という意図を感じるヨシノの言葉に強気を返す。

 被害はこっちの方が大きいが、相手も無理な姿勢で撃った分、ダメージがある。


 勝機は、ある!


「超過駆動、左腕! ダメージは俺に回してくれ、無理矢理に動かす!」

『……了解!』


 システム全開!

 やれることはなんだってやって、勝ちに行く!


(こんなに強いんだ! こんなにすごいんだ! 俺たちのヒーローは! だったら……!)


 絶対に、逃がしちゃいけない!



「ゴリ押すぞ、ヨシノ!」

『はい。私の舞踏は、貴方と共に!』


 パワーで押し切られるってんなら、それを超えるパワーでぶちのめす!



「……呼朝! ヨシノ! 限界突破駆動(システム・オーバード)!!」



 さらに全身に緑の燐光をまとわせ、加速する。


「!!」

「こっからが本番だ、真白君!!」


 飛燕を操り位置取り翻弄しながら距離を詰め、飛びかかる。


 高度を利用した大太刀の“振り下ろし”、疑似的なバッサリ決める“大斬り”だ!!



「うおらぁぁぁぁぁ!!」


 迎える刀で振り上げられた黒い大太刀に、白の刃を押しつける。

 だが、今度はこっちのパワーが上回り、どころか一気に押し切り圧し潰す!!


 ズンッ!!


 圧に耐え兼ね、踏ん張った明星の脚部がショートするのが見えた。

 それを好機と見るや、相手の大太刀を叩き折る勢いで、俺たちは力を注ぎ込む!



「これで……!」


 終わり……!



「まだだぁぁぁーーーーーーー!!!」

「!?」



 黒い精霊殻が、燐光をまとう。

 超過駆動。契約精霊との重層同期によって発動する精霊殻の特別な力。


 が。


「な……!?」


 俺は、それを目の当たりにして驚愕する。



「うぁぁぁぁーーーーーーーー!!!」

「青い、燐光……!?」



 相手の精霊殻が放つ燐光は、青。

 それは……神かそれに準ずる者が放つ、特別な色で。



『終夜! 出力差が覆ります!』

「う、おおおおおーーーーーーーーーー!!!」


 押し込む。

 押し込むしかない。


 それでしか、()()()()()()



「僕は! 約束を……守る!!」

「んなろぉぉーーーーーーーーーー!!!」


 緑と青の閃光が奔り。


 直後。



「ぐぉぁあああーーーーーーーーーーっっ!!!」


 弾き飛ばされたのは、俺の呼朝だった。

明星君『私の方が長く戦った経験値分だけ……強い! イヤー!』

呼朝君『グワー!』


応援、高評価してもらえると更新にますます力が入ります!

ぜひぜひよろしくお願いします!!

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― 新着の感想 ―
真白くんが神に準じる存在となるとこれはレギュレーション違反としてヤベー事になるのではないでしょうか?その辺はまだセーフなのでしょうか?
青が出てきちゃったかー 謎ハンターだったワイからすれば ここが実は未観測の第十三世界とか第十四世界って言われても納得してしまうw
先が、先が気になりますっ……!
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