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第114話 仲良しの秘訣

いつも応援ありがとうございます。


感想・評価いただくたびに、やったぜと喜んでいます。

楽しんでもらえてるんだなと実感が沸きます。

誤字報告も助かっています。本当にありがとうございます。


これまでもちょこちょこ賑やかししてたオリーさん。


 オリーと一緒に整備ドックの裏に行く。


「~~~~!」

「―――ッ!」


 長引いている鹿苑寺君と竜胆さんの言い争いも、ここまでくるとBGMだ。


「で、相談したいことって?」

「YES.えっとね……」


 俺からの問いかけに先を行ってたオリーが振り返り、あごに指を当てすぐに離す。

 瑞々しさの塊のような唇が、ぷるんと揺れる。


「シュウヤならね、できるって思うんだけど……」


 思わせぶりな上目遣い。

 春の陽を受けて、色素の薄い金髪ロングがキラキラと輝く。


 腰を捻り、健康的なムチムチスタイルをこれでもかと見せつけながら、彼女は――。



「――ケーマとマーヤ、仲良しにできない?」

「できるぞ」

「WAO! さっすがシュウヤ! 話が早いね!!」



 サクッと本題を言ってくれたのでサクッと俺も答えた。

 というか、やってもいいか迷っていたところで折よく転がってきた免罪符だ。


 これを利用しない手はない。


「俺もあの二人にはぜひとも仲良くなってもらいたいと思っていたんだ。全力で手を打たせてもらう」

「ホント! やったーーー!!」


 ぴょーん、スッ……。


 喜び勇んだオリーに飛びつかれたが、そこは宗教上の理由で回避させてもらった。



      ※      ※      ※



「それで、具体的にはどうするの?」

「そうだな……」


 今回必要なのは、お互いの好感値を上げる行為だ。

 FESのような感情制御システムはなくても、現実として仲良しの秘訣ってのは存在するのである。


「ひとつは交流を通じて互いの理解を深めること。お喋りとかだな」

「うんうん」

「他にはそれぞれの好物を贈り合ったり、喜ばせ合うこと」

「うんうん! それでそれで!?」

「あとは……単純に接触する機会を増やすことだな。触れ合う時間が多ければ、それだけ相手への警戒心が鈍るとかいうし」

「いろいろあるね! ……でも」


 俺の話を聞いたオリーの頭に、疑問符が浮かぶ。


「それって、普通のことじゃない?」

「そうだな」


 当然の突っ込みに、俺も素直に頷いた。

 今言ったのは、どれも一般常識で説明できる方法論である。



「Woops! それじゃ全然すぐには解決しないよ!」


 からかわれたと思ったのか、ぷんすか怒ったオリーに肩を掴まれゆさゆさ揺すられる。


「HAHAHA」

「も~~~っ!!」


 ハベベ相手にも物怖じしないこの態度、プライスレス。

 彼女の肩のTHE・フェアリーめいた小精霊も、激おこぷんぷん丸である。


「っていうか、二人はとっくにいがみ合ってるから、触れ合わせても逆効果だよ!」

「だな。だからここに、ひと工夫がいる」

「ふえ?」


 キョトンとするオリーに、不敵な笑みを向けて。


「協力してもらうぜ、オリー?」


 俺は、彼女に自分の企みをとうとうと語って聞かせた。


   ・


   ・


   ・


「ホントに? ホントにそうなるの?」

「あぁ、上手くいけば……だが」


 この作戦が成功すれば、いくつかの問題がまとめて解決する。

 唯一の懸念点だった部分も――。


「いいよいいよ! やっちゃおう! No problem! だよ!」


 ――このように、しっかりと言質が取れたので問題なしだ。



「いつやるの? すぐやるの? 今から? 今からやるの!?」

「待て待て、スタァーップ! 実行するにはまだ準備が足りない。だから決行は、明後日だ」

「明後日!」


 興奮気味なオリーを宥めつつ、具体的な手を詰めていく。

 そこはさすがの整備班。知力重視のステ振りもあって、圧倒的理解力で把握してもらい。


「うぅ~~~! 楽しみ!」


 最後にはもうお祭りか何かのテンションで、オリーはピョンピョン跳ねていた。


 しかし、それでも。

 と、思う。



(これから俺たちが仕掛けるのは、人の心を弄ぶような行為だ)


 ともすれば、他人の人生を大きく変えてしまうような所業。

 それを強引にもほどがある手で、引き出そうとしている。


「オリー」

「んう? なぁに、シュウヤ?」


 だから今一度、問わねばならない。



「……お主も、ワルよのぅ?」

「……フッフッフ、お代官様ほどじゃあゴザイマセヌゥ」


 ………。


「……よし、やるか」

「やろう! やろう!!」


 赤信号、みんなで渡れば怖くない。


 俺たちは、今。

 絶対的な……悪だった。



      ※      ※      ※



「あー、鹿苑寺桂馬戦士。並びに竜胆摩耶整備士」

「はい」

「はぁい」


 4月の頭。

 司令室に件の二人は呼び出され、六牧司令の口からそれを告げられる。



「両名はこれより、バディを組んでの特別偵察任務を命じる」

「「……は?」」


 それを。


「……よし」

「YES」


 物陰に隠れ、俺たちはしっかりと見守っていた。



「え? あの、司令? ナマ言ってます?」

「どーいうことですかぁ?」

「こらこら、二人とも怖い顔しない。怖いんだから」


 きっとヤバいくらいの圧をかけられてるだろう六牧司令が、それでも飄々とした態度で続ける。


「以前、天久佐奪還戦にて戦場となった樋相(ひあい)島。そこから西へ海を渡ったところに離島がある。そこに二人で出向き、できる限り詳細に調査してきて欲しい」

「はぁ!?」

「なんでぇ?」


 当然のように上がる不満の声。

 だがそこは軍隊、上下関係。


「これは正式な任務だ。キミたちに拒否権はない。さっそく準備し、向かってくれ」

「「………」」

「返事は?」

「りょ、了解であります!」

「はぁい……了解です」


 任務は開始され、二人はぶつくさ言いながらも、命令に従い動き出す。



「……で、後のことは任せていいんだよね?」


 そんな二人を見送ってから、隠れていた俺たちへ、司令からお声がかかった。


「もーさぁー! こういうのにボクを使うの本当に勘弁してくれないかなぁ!?」

「ご協力に感謝いたします、司令! いやほんと、小隊の今後のために必要なんですって」

「YESYES! これが未来を決める大一番! なんだよ!」

「ぐぁ~~……まぁた事後処理とかある奴だぁもぉ~~~~!!」


 言い終えると同時に机に突っ伏した司令に最敬礼をしてから、俺たちも司令室を出る。


 そこには。



「準備はできてるぞ、黒木!」

「問題ありませんわ! 細川!」

「はいお嬢様。離島での仕込みも完璧です」

「にっしっし、いい画が撮れそうで楽しみだにゃ~。あ、もちろんフォローは完璧にするよ!」


 ガチ目に頼れる仲間たちと……プラス1名。


「………」


 この状況を理解しきれてないけど仕事だから頑張らなきゃいけないけどやっぱり状況が把握しきれてないまだ天2流のノリに慣れきってない超激カワ最強俺の推し黒川めばえちゃんが居た。



「よし、全員揃ってるな? やるぞ!」

「「おおおーーー!!」」

「お、おー?」


 そうして、天2小隊の治安と未来を勝ち取る大作戦が始まる。


「作戦名……オリー!」

「YES! オペレーション・ピンチを乗り越え急接近?! ケーマヤ仲良し大作戦! 開始だよ!!」

「………………えっ?」


 キョトンとする推しは、今日も完全無敵に可愛かった。

天2メンバーだいたい悪巧みできる説。


応援、高評価してもらえると更新にますます力が入ります!

ぜひぜひよろしくお願いします!!

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― 新着の感想 ―
>喜び勇んだオリーに飛びつかれたが、そこは宗教上の理由で回避させてもらった。 まぁ推し活って宗教みたいなもんよね。元々。 終夜君のは『みたい』じゃなくなってるけど。 >「もーさぁー! こういうのに…
仲が悪いままだと周囲に迷惑をかけますからね。オモチャにされるのも致し方なしw
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