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第0話 永い眠りとかすかな呼び声
その声は遥か遠くから聞こえてくるみたいだった。
何も見えず、何も感じず、何も聞こえない。
永遠にも等しい時が流れていく中で、それでもいつかの再会を信じて待ち続けた。
どれほどの時が流れたのかなんて、もう憶えていられない。
それでもただ耐えて、ついに、その日が来た。
「何か……いや誰かいる……? 女の子だ……!?」
音のない私の世界に、その声だけははっきりと届いた。
感触のない私の世界に、頬に触れる手の温かさがもたらされた。
ややあって、私を磔にしていたそれが消え去るのが分かり、一体いつぶりか。裸体を空気の冷たさが包み込む。
私は残されたわずかな力を振り絞って、目を開けた。
ぼんやりとぼやける視界。
そこには、驚いた様子でたたずむ一人の少年の姿があった。
ああ。
顔はよくわからない。でも、きっと。
「やっと――やっとお会いできましたね……――――様……!」
こちらはプロローグになります。
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