表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノアの旅人 ‐超・高難易度ダンジョン攻略専門の底辺クラン、最強キャラバンで死にゲー系迷宮を攻略する譚等 - / 第6巻~新章開始   作者: 西井シノ@『電子競技部の奮闘歴(459p)』書籍化。9/24
第13譚{勇者の街・b}

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/307

⑧セクター2の能面↓



 血が噴き出している。心臓が跳ね上がる様に鼓動する。すごく痛い、とても苦しい。しかし眠気のせいか、この痛みにはリアリティが無い。そして俺は既に慣れていた、見慣れていた。これは俺がいつも見ている(見せている)幻覚のたぐい

 

 俺は無い足を地に付き立ち上がる。無いはずなのに体重を支えている。やはり幻。幻覚は幻覚と認識できれば脆い。靴の爪先つまさきもやがて鮮明に見えてきた。バランス感覚はどうにも定まらず、膝から下に力が入らない。けれど二足で立てている。今のところは五体満足。しかし今度は腕が無くなる。失くなっては血を吹き、幻肢痛を伴ってまたジワジワと元に戻る。眠気と幻覚のせいか感覚が身体から乖離していく。幻覚への耐性がある俺ですら、波状攻撃のように発生する幻の連続に船酔いのような不快さを覚える。


「はぁア...!!」


 疲れた。


『疲れた?!帰りたい!?』


 目の前に、音も無く唐突に表れた子供程の大きさの"能面"が浮遊しながら声を出す。


挿絵(By みてみん)


「はぁ…?」


「のうめん?」「疲れた!」「疲れた!」「儂も!」「疲れた!」「疲れた!」「僕も!」「ケケケ!」「疲れた!」


 六体ほど、1.5mはある能面に囲まれた。面だけが浮いている。その様相は明らかに敵。不気味な笑顔と嘲るような声色、弄ぶような雰囲気の中に明確な殺意が隠れている。


「疲れたねぇ。」「のうめん?」「疲れたねェ!!」「疲れたの!?」「殺せ」「疲れたに!!」「ちかづくな?」


 ゆっくりと能面が近付いてくる。近付くにつれ幻覚作用が強くなり、全身の毛穴から血が滲んでくる。爪の中、耳の穴、涙や汗のように、鮮血がベタベタと身体に纏わりついていく。


――これも幻覚か。でも、本物だったらどうする……?


「ほんもの?」「ものほん」「ねむい」「つかれた?」「けけけけけけけけけ」「武竹多恵k手開けk堪え」「毛毛ケケけけあた……ああ乖あff」


 能面の声の一部は、俺の心の声だ。読まれている。というより侵食されているような感覚。見透かさているのではなくて、思考と外界との壁が消えたような気色悪さ。頭が痛い。頭痛が強さを増していく。危害を加える素振りは無いが、これ以上近付かせてはいけない気がする。


――危険だ。


 本能がそう告げている。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブクマ・ポイント評価お願いしまします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ