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ノアの旅人 ‐超・高難易度ダンジョン攻略専門の底辺クラン、最強キャラバンで死にゲー系迷宮を攻略する譚等 - / 第6巻~新章開始   作者: 西井シノ@『電子競技部の奮闘歴(459p)』書籍化。9/24
第6譚{周期を逃した七人}

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⑤ブルジェオンギルドの中

挿絵(By みてみん)



 霜柱にわだちを付けながら、緩やかに曲がるスロープを空へ向かうように上っていく。垣間見える青と雲と陽の光は、幾日ぶりかの癒しであった。開いた蕾から外へ出て、遠くに見える山稜から少し下を見下ろせば、蕾の外周を取り囲むように建てられた家屋の集まりが見て取れる。


 ダンジョン街。


 それはダンジョンがもたらす恩恵を具現化した人類の軌跡だ。そしてその偉大なダンジョンを管理しているのがダンジョンギルドである。俺たちは受注したクエストの達成報告をしに、あの極寒の地獄から舞い戻ったのだ。


「万年草の確認が取れました。………こちらが報奨金ですね。以上でクエストは完了になります。有難う御座います。お疲れ様でした。」


 ――赤字だ。


「ナナシ、赤字だ。」


 アルクは呟いた。


「今、同じことを思ってたよ。……えぇーっと、どれだけ資源が減っただろうか……。特に石炭。」


「いくつかはストックしておこうと思っていたんだ。しかしアレの大多数は次の街で売るつもりだった……。」


「疫病神はいるんだな。しかも二人もお目にかかれた。」


 俺は少し毒を吐く。これがデトックス。


「それは言わない約束だよ。僕らは冒険者なんだから。……人命にお金は換えられない。」


 遭難を共にした二人は颯爽と家へ帰っていった。少しは恩を返して貰いたかったが、こっちが秘密保持の為に最善を尽くさなかった訳で、向こうは金が無いからダンジョンに居たわけで、善悪で考えても、道徳的に考えても、この赤字を彼らから取り返すのは良くない。


「ナナシ。僕はトレーダーとしての僕を天才だと思っていたけど、いざ旅を始めて見ればこのザマだ。……あぁ、僕は親のスネをかじっていただけの凡人の出来損無いだったよ……。」


――自己肯定感低め。


「まぁ、楽しかったし学びもあった。授業料か娯楽代だと思えば良いさ。」


 俺はアルクの背中を押して、キャラバンまで戻って行く。


「その言葉は嫌いだけど、今はそう思うことにする……。」


 ギルドハウスの扉を開き、陽の下に晴天を見上げる。フードの中ではモゾモゾッと黒い猫が体勢を変え、前足を俺の肩にのっけた。


「旅は道連れ世は情け、それで得する弱者だけ。」


 エルノアはフフンと笑ってそう言った。……まぁ、結果論だ。結果的にそういう時も有るのだろう。結果的に。


「腹黒い猫だなぁ。」


「――黒猫だもの。」


 他愛もない思案を巡らせ、キャラバンは今日もまた新たな旅に立っていく。





Tips

・ユーヴの自炊

『冒険者クランには共同生活を行う為の相性も重要である。ユーヴサテラにおいては特段、掃除やキャラバンのメンテナンス、部屋の掃除等が付きまとうが、こと料理に関しては明確に向き不向きの序列がありそのランキングに準じて自炊の頻度が変わる。以下料理が上手いランキング。

・1位 ナナシ

(入学前は放浪者であった為、旅には慣れている。また飯が不味いとよくよく文句をいう奴が近くに居た為、自然と上達していった。)


・4位 プーカ

(当初はジャガイモを生で食していたような人物であったが、食べることが好きなのでそれに付随してナナシに教わった料理なら出来ない事も無いが、メンドクサイので人の分まで作りたくはない。また薬品調合の傍ら、自分の分のおやつに関しては精力的に作ったりもしている。)


・3位 アルク

(実家に家政婦のいるボンボンだが、普通に自炊も出来る。普通である。)


・4位 テツ

(ナナシと同様に自炊する機会の多かったテツ。ダンジョンでの食材を《調達》及び食用かの《判別》を過程におく高難度調理の《ダンジョン飯》はもちろん、母親と共にダンジョン深層のシーカーキャンプで暮らし料理を手伝っていた過去もあり、珍味の採集や猛毒を除去する過程を持つ《深層御膳》を提供できるが、特殊環境で提供できる限られたレシピしか知らず、地上の手前勝手が違う食材では全ての経験が狂うため、今のところそれなりに不味い飯が出てくる。)


・5位 リザ

(料理は作るものでは無く、作らせるもの。しかし王族に不可能は無く、その手腕は絶対である。あらゆる一流の料理を経験し、この世の全ての食材、そしてあらゆるレシピをも淘汰したとするスーパープリンセスは、食材を全て真っ黒に焦がすためユーヴサテラ内では料理が禁止されている。本人曰く「旨いから、喰ってみろ。」)



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