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ノアの旅人 ‐超・高難易度ダンジョン攻略専門の底辺クラン、最強キャラバンで死にゲー系迷宮を攻略する譚等 - / 第6巻~新章開始   作者: 西井シノ@『電子競技部の奮闘歴(459p)』書籍化。9/24
第Ⅲ譚{木を切る人の譚}
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②気を休める人たち

「ふぅ~。」


「ちょいと休みますか。」


「うん。疲れた。」


「せがれぇえええ!!」


「おーう!!」


 一行はより奥地へと足を進める。

 遠くに見えてきた急斜面に、

 建てられ点在する小さな丸太小屋には、

 食糧の備蓄と蜂の巣のような寝床があった。

 差し出されたミルクティーを我先にと口にする少女に続き、

 彼らはそれを喉に通す。 


「なるほど、中身は全部繋がってんだね。」


挿絵(By みてみん)


{木こりの山小屋・蜂巣荘}


「せがれはもうちょい切ってから戻る。心配せんでいい。」


 おじいさんは新聞を広げ、カップの茶をすする。


「立派なベースキャンプですね~。」


「ほう。その心は?」


 木製の机。隣接するキッチンには、

 開閉式の木の窓が取り付けられている。

 窓際には紅葉のような葉っぱがいくつも吊り下げられていた。


「心も何も、事前知識だよ。この山は元々、山頂を終環点としたシーラだった。だから数十年経った今、徐々に魔物は活発になっているし、客人用の備えがここにはある。私用の別荘だとしたら、名称があるのは不自然だ。」


「驚れぇたな。兄さんらの事前知識っちゅーのは、ここいらの極秘情報。一般人には知る由も無い話。せぇぜぇ、ここいらの治安が良かった時に、山菜採りの御一行を持て成していた時代の話までと思ってたが、そんな古い所から知ってるとはな。」


「そんなことしてたんだ。」


「そっちは知らねぇんだな。」


 山小屋は土の中に埋もれる形で存在した。

 地中を横穴を掘る形で掘削し、

 内部からトンネルを掘る要領で基礎を作り、固めていく。


「この山小屋から山頂へと飛び立っていく。滑落死も多かったがな、上を目指す輩を出すから蜂の巣。突っついてくる魔獣を撃退するから蜂の巣。大型の魔獣対策に遮光を施したくらぁーい丸太小屋よ。この山荘が出来る前には普通の山小屋もあったがな、魔獣たちは頭が良いもんで、今の形に至るまでは、すぐさま壊されたもんだ。故にこういう見た目、こういう内装。そりゃあ観光客には人気が出ないわな。山菜は一流以上の美味が取れたが、行楽地としては使いものにならんほど、人気も治安も悪なった。」


 おじいさんの広げる新聞紙には、

 煙を吐くウェスティリア魔術学院の写真が動いていた。


「治安?」


「あぁ。犯罪者が寄り集まってくるんだな。」








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