①ロイアン街のクエストギルド先
第4譚{生きている失われた国}
『アクエイの護衛』☆☆☆☆☆☆
・難易度:☆6(極めて危険、命を賭すレベル。)
・達成条件:危険地帯で調査を行う対象の護衛。帰還生存。
・達成報酬:10万イェル
・所在:ロイアン街先の渓谷
・依頼主:学者、アクエイ
「ウマいな………。」
「ウマいな。」
プーカは俺の声を真似て言う。
俺は張り紙を見るや直ぐに剥がして、詳細をしっかりと凝視した。
護衛クエストは俺たちの得意分野だ。
それに危険地帯と言えど、
数多のダンジョンに挑んできた俺たちにとっては塵以下の危険。
ウマい。
これは余りに……ウマい。
「よし、プーカ。唾つけろ。」
「――ブゥッ!!」
「よしっ!!」
俺は唾液の飛び散った張り紙を持って番台に突き出した。
「これ受けます。」
「ニチャア...」
『嫌ですッ!!』
嫌ってなんだよ………。
――――――――
{ロイアンの街『クエストギルド』}
「ぶ……文明学者のアクエイです。この度の申し出には大変感謝しております。私の目的はこの街の近くにある鉄屑渓谷という摩訶不思議な場所の調査を行うことです。つまり僕はその場所専門の学者でして、探査も何度か行っていまして多少地理には詳しいのですが、何分ですね、昨今あの渓谷で同業者やその付き人、後は観光客の何人かが死亡しまして。……危険地帯と指定された次第なので、御覚悟のほどは宜しくお願い致します。」
「はいはい。」
分かったからさっさと行こう。
取り敢えずとっとと行こう。
引けない所まで、ずんずん行こう。
俺はハーフエルフの学者をキャラバンへ乗せ、
運転席のリザへ合図を出した。
「リザ行こう。早く行こう。」
「お、おう。」
リザはレバーを倒し、アクセルを踏む。
速度メーターの針がゆっくりと静かに起き上がる。
「お、おじゃまします………。」
「あ、そこ座ってどうぞ。いやぁ今後とも御贔屓にお願いしますぅ、ユーヴサテラですぅ。プーカお茶出して、お茶。」
これが10万イェルの客である。いや、偉大な調査のお供になれて本当に光栄の至り。
「どぞ、そちゃです。……てかナナシっ。金のなる樹はお茶で育つん?」
プーカが小声で囁いた。絶対に聞こえる距離だ。
「――ばっかお前何言ってッ!!……いいやスミマセン失礼な奴でして。………こらッ、愛想良くしなさい。チップくれるかもしれないだろうッ!!」
俺はプーカの頭を抑え、接待の何たるかを説き伏せる。
「ところで10万イ...…だっ、アクエイさんは何処出身なんですか~?なんつってねぇまったく。」
「……ナナシ、僕の尊敬する君は何処へ行ってしまったんだ。」
アルクは呆れた顔でそう言った。
「ゲフンゲフン、まぁ冗談はさておき。」
俺は卓上の荷物を退かし、
広いスペースを確保する。
「今回は普通の秘境だった場所が、ダンジョンに指定されたっていう異常なパターンです。現に他の冒険者がこのクエストに手を出さなかったのは、このイレギュラー加減が大きい。……ビジネスの話をしよう学者さん。俺たちが無事に生きて帰る為に。」
そして古びた地図を広げてそう言った。




