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ノアの旅人 ‐超・高難易度ダンジョン攻略専門の底辺クラン、最強キャラバンで死にゲー系迷宮を攻略する譚等 - / 第6巻~新章開始   作者: 西井シノ@『電子競技部の奮闘歴(459p)』書籍化。9/24
第18譚{斜塔ダンジョンの街}
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④トライデント斜塔街での生き方 後編


「我々ギルドがこういった際に必ずと言っていいほど名前を挙げるクランが三つあります。1つ目は{フリーダム連盟}ここは立場を問わず誰でも歓迎する友好的かつスタンダードなクラン、地上街序列は3位。2つ目は{カノープス}見込みが有れば拒まず、既に実力者であれば支援を怠らない面倒見の良いクランとされています。地上街序列は5位。そして最後に{アルデンハイド}このクランは冒険者様の側から聞かれることが多いので、参考までにお答えしているクランなのですが...。受け入れは一部の選ばれし者のみ、圧倒的な資金力と研究力でダンジョンを制圧する鬼のようなクランとされています。地上街序列は堂々の1位。トライデントの第6階層を丸ごと保有している、正に斜塔街を代表するようなクランです。」


 説明にはそれぞれのクランが持つ順位とエンブレムの乗ったランキングが添えられ、この街の序列についての全体像が垣間見えた。


「下位層のクランはゴーストとも呼ばれ、ランキングに現れては消えを繰り返しているため、パトロンとして機能する確実なクランは{オーバー25th}と呼ばれている上位25クランとお考え下さい。」


「アルデンハイド…。Tier1に名を連ねるシーカークラン。街一つを丸々本拠地(ホーム)にしてるって噂は間違いじゃなかったね。」


 テツが興味深そうにランキング表を見ながら、手に取ったペンで何かを書き込んでいく。


「多くのトップクランがそうであるように、アルデンハイドもまた秘密主義のクランでありますからね。」


 ミヤさんがそう言いながら笑った。確かにこのランキング表にはTierを同じ位に纏められたクランの中でも明確な差が表れており、多方面で活躍している他クランの内情を覗いているようで面白さが有った。


「アルデンハイド、フェノンシーカー隊、ネビュラ。同じTier1と言えど、ここにホームがあるアルデンハイドとしては、斜塔ダンジョンの探索を越される事が、何よりも面目を潰されることになるだろうな。」


「そうですね。丁度五か月前に破られたフェノンズの36階層到達という大記録は、"トライデントでの功績が大きな一助となりTier1へのし上がったアルデンハイド"のプライドを大きく傷つけましたから。今では余所者をむしろ毛嫌いしてしまい。パトロンとしてはほぼ期待に値しないクランとなってしまいました。」


「そうでなくてもアルデンハイドの領主は、フェノンのとこの船主に比べて堅物として有名だった。せっかく自由気ままにダンジョンを冒険をしようってのに、俺たちがレベル5でも先ず尋ねないけどね。」


「ま...まぁ。腕前や技術力は本物ですから。パトロン関係を結べればブレイクスルーは間違いないとまで言われていますし、支援を受けたい人は多いのです。」


 ブレイクスルー。ここで言う未踏階層突破。こういった実力を差別化しやすいダンジョン街では踏破階層が一種のステータスだったりする。だから、ここに比べればジマリなど田舎も田舎のダンジョンだったのだろう。


「多くのクランはアルデンハイドやフリーダム連盟のように、トライデント斜塔街をホームとして活動していますが、フェノンズや序列第4位に位置するネビュラのように余所から便宜上トライデントに支部を建てているクランも少なくありません。そういったクランの場合はトライデントダンジョン以外でもパトロンと見なされてしまう場合が多く、手続きの複雑さからパトロン関係を受け付けていないところがほとんどになります。詰まるところ手っ取り早くてオススメクランなクランは{フリーダム連盟}です。盟主のメセナ様はとても温厚で…」


 ソファで仰向けに寝そべるプーカが眠そうに目を擦った後、ジトっとこちらを見つめながら口パクで「メ・シ」と言った。俺はそれを見て親指と人差し指をすぼめ、表に寿司の絵を描いてプーカに見せた。


「分かりました。今夜はフリーダムをあたってみます。」


 アルクが話を閉め、お辞儀をする。


「ありがとうございました。」


 それを見て各々にお礼の言葉を述べながら頭を下げて立ち上がった。プーカに至っては呻き声のように「だーっす」と言って足を放り投げて立ち上がる。なんともフリーダム、ぴったりじゃないか。







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