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ノアの旅人 ‐超・高難易度ダンジョン攻略専門の底辺クラン、最強キャラバンで死にゲー系迷宮を攻略する譚等 - / 第6巻~新章開始   作者: 西井シノ@『電子競技部の奮闘歴(459p)』書籍化。9/24
第14譚{護衛の任務}
102/307

⑦She has・・・


「祭りが終わった後、気絶したリーダーに魔法をかけた。」


 そう切り出したミックの顔は、やけに楽しそうで、子供のようだった。

  

「あんたの隊長リーダーは別にいるだろ。」


「前も言ったが、船長キャップ船長キャップだ。ダンジョンや魔法制限領域シーラの種類によっては私が導手みちびきてとして先導している。」


「じゃあ魔法ってなんだ。アンタはシーカーに対して超人間主義を掲げていた筈だ。」


「そんなの掲げてないよ。ただ少々、魔法使いって奴に不可逆性を感じててね。今まで何が有用かを吟味していたんだ。」


 超人間主義。魔法を使えない上級シーカーが物資を輸送中、自身を襲った魔法使いの盗賊団を殲滅したことから生まれた思想であり、魔法を持たない人間の方が優れた五感を取得出来るという説である。ある種魔法使いの優生思想に対するアンチテーゼ。ミックとしてはそういった差別や他人の倫理感、無魔ノイマたる劣等感に対しては、基本的に無関心のスタンスであった気がする。


「ところがどっこいしょ。吟味していた一昨日までの私に、刃が向けられた。」


 ふざけた言い回しでサテラを思い出した。もはや彼女は俺にとってトラウマ。


「ちょうどサテラが・・・」


「――サテラっ!?」


 驚いた俺の顔を見るなり、ミックが笑いながら頭を抱える。


「あっはは、君、ひぃ、難儀だねぇ。」


「その言い方を止めろ。」


 難儀もサテラが良く使う言葉だ。今のは恐らく敢えて使った。


「ええ、失礼。続けよう。サテラの活躍で私の悩みが吹っ切れて、魔法を使えるシーカーに対してもポジティブになった丁度その頃合い。私たちの船団がとある宗教団体に狙われ始めた。」


「悪神教だろ。」


「その言い方は蔑称らしいぞ。私も最近知ったしどうでもいいんだが、私は時々公人になるから面倒でねぇ、いやぁ、、まぁその通り。一週間前、悪神教こと{キリエ}の集団が私たちを襲った。」


――時々、ね。


「一週間前か、随分長いな。」


「有り得ない長さだ。もはや戦争だよ。襲撃も、計画性、持続性に優れ、規模感も計り知れない。隠密行動から陽動、波状攻撃まで、大胆且つ緻密な作戦の網に、私たちは絡み取られ未だに抜け出せていない。」


「あのミック・ラインズが手をこまねいている。対抗組織からしたら飯がウマいだろうな。」


 何故だかプーカがよだれを啜った。


「ウマ飯ぃ...?」


「いくら最強の騎士団{フェノンズ}の名を掲げようが、所詮私たちはシーカー部隊。それも今は分隊で戦力も乏しい。」


「それでも倒せばフェノンズが敗けたことになる。キリエにとっては絶好の機会と。」


「そう、それに加え私たちはあのセカイを誘ってしまった訳だ。罪滅ぼしの為にこき使えると安易に誘ったのが運の付きだ。」


「おい。」


 道徳観の欠落した女め。目的の為なら人の心に、さも少年のような純粋さと探求心で付け込んでくる。


「そして私は気付いた。私たちは今、ジハードと対峙している。興奮するだろこの展開?連中の士気は今まで以上に高い。私はどう切り抜けてもシバかれる。」


「諦めるな。」


団長ナインズにだよ。」


「諦めてくれ...」


 頭を抱えるミックに同情する。


「そこで私は考えた。この状況を切り抜け、私の今後に繋げながら、フェノンに怒られない為にこの状況を利用する方法を...」


 ミックがここぞとばかりに息を留め、間を溜める。


「教えてくれ。」


――「いいだろう。」と興奮気味に、ミックが鼻息を吹いて腕を組んだ。


「私は、とある、魔法を覚えた。(テレテテッテレー)」


 習得日数は数日、、、だろうか。まずそれが出来てしまうことが、天才足り得る所以なのだろう。俺は心の中でそう思い、不信感をグッと抑えた。








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