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精霊通信録  作者: 襾犲 邑
また来たドゥエスのターン
94/108

93話

――痛い!――




「よくも!あたしの家族を!」

レニアちゃんはレニアちゃんで、ヤツの声が聴こえていないのか、またナイフを構えたところだし。


「レニアちゃん、ちょっと落ち着いてよ!」


普段からツンケンしてる彼女が、突然荒ぶっててびっくりしたのはちょっと内緒な。


血のつながった兄妹はいないオレには、よくわからない距離感を持っていたみたいだけど、あの二人、そんなに仲良い雰囲気だったっけ?

今はとにかく落ち着かせないと、アイツの声がピーピーうるせぇったらありゃしないな。


…………

……その辺に転がる石で口に蓋でもしてやろうか?



ふたたびナイフ持って飛びかかろうとしてるレニアちゃんを羽交い締めにして動きを止める。

「ちょっと!無駄にかかってってもヤツには効かないって!」


「ドゥエスさん!離して!!」

小柄なレニアちゃんは、その体系に反して腕力があり、油断したらオレでも振り解かれそうだ。


あ。意外と胸があr……


バッチン!


――いってぇ!


羽交い絞めにした腕が緩かったみたいで、華麗な見捌きで、サッとすり抜けたレニアちゃんのキツーイビンタをいただきました!


「レニアちゃん、………さすがに痛いって」


「なにっ……するんっ……ですか!!」

茹でダコみたいに赤くなってる。

あ、これひょっとしてオレのせいかな?



「ゴメン、でも少し落ち着いて。やつに普通の魔法は通用しないよ」


ぜー……はー……



ふー


深くため息ついて

「なら、どうしろっていうんですか!精霊王の封印を解いたってのに、攻撃してくるだなんて。おかげでお兄さまが!」






**********


「……う………」

離れたところでエリー(仮)ちゃんの声が聞こえた。


良かったぁ。


「エリー(仮)さん、気づいたんですね。よかった」

回復魔法をかけていたカーヤが安堵した声を上げた。


「うぅ……俺は…」

「気が付きましたか?精霊王のマナ呪いを受けてたみたいで、意識が無かったんですよ」


「意識を?俺としたことが――っぐ!」

身体に鈍い衝撃が走たのか、エリー(仮)ちゃんはゆっくり起き上がった。


「まだ起きちゃダメです!いまお水つくりますから……【球水】」


「つく……―え?」

カーヤは手のひらに魔法で水を作って、エリー(仮)ちゃんに差し出した。


「はい」

その魔法、通常は空中に水球をたくさん作って敵の呼吸―動きを止めることで有名な魔法なんだけど、生活魔法につかえたのかぁ……知らなかったや。


「空中の空気からの水の精製……どこでも使えたら便利そうな魔法だな」

まじまじとカーヤの魔法を眺めているエリー(仮)ちゃん。考えてることは似ているみたい。


「おにい、さま……ぶじ、だったんですね。」


「――レニア?ん?なんで、泣いてんだ?」

レニアちゃんはうるうると泣きそうになりながらオレから離れた。


「その…、ドゥエスさんに……羽交い締めされました」


「へぁ?!」


「おいドゥエス」

一瞬で温度が冷えるかのような目でこちらを見つめるエリー(仮)ちゃん。



いやいやいや!


レニアちゃんは、よりによってそこだけ抜粋して伝えちゃった!

そーじゃないんだってば!


「くすん」顔を隠して泣き始めたレニアちゃんの口元がアッカンベーしてませんかねぇ?!

オレの見間違えかなぁ?


泣きたいのはオレの方だよ。

ひりつく頬が、きっと彼女の手の大きさをしているんだろうなぁ。






**




――いたいの、もう嫌だよ



精霊王(ヤツ)はそう叫んだかと思うと、その飛べやしない筈の背中の羽を拡げ、空中に飛んだ。


「あの羽根はただの飾りかよ!」

羽根を潰してしまえば、宙に逃げることはないと思っていた。

いや、「思い込んでいた」



――ここじゃない所にいけば――


「おい!降りてこい!」

手が届かないところまで一気に浮上すると、あいつはどっかに向かって飛んで言ってしまった。

まだそんな元気あったのかよ!


【せ、精霊王?!】


風の精霊の慌てふためく声が、森にこだました。


【そんな……この地から移動することなんてないと思っていたのに………どうして……】


風の精霊は驚きを隠せずにいるようだ。

そりゃ、精霊のウロ『ゆりかご』が無ければ精霊王はカタチが維持できないって誰かが云っていたのが当たり前だと思っていたからな。

オレも人の事言えないか。


「ずいぶんな速度だったようだが、どっちにいったのか分かるか?」

元気になったのかエリー(仮)ちゃんが、オレに聞いてきた。


「え、……西のほう……かな?」

目視できないところまで逃げたようだけど、強烈な精霊王独特のマナが案内してくれている。



「西って、何かあるのか?」


「えーと……地の精霊のいる方……魔法都市がある方かな」


「奴の行先に心当たりがあるのなら、近道するか」


できるの?!

ちょっとそこんとこ教えて貰いたいな!


「わたしは飛行の魔法があるので、後から追いかけますわ」

と提案したのはレニアちゃん。


「僕もちょっと疲れたから、あとから追いかけるよ。兄さんとエリー(仮)さんは精霊王を追って!」


「わかった!」


オレはエリー(仮)ちゃんと共に、ふたりを置いて走り出すことにした。







*****



閲覧ありがとうございます。

次の投稿は 5/28 の予定です。

次回はドゥエスじゃないかも

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