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精霊通信録  作者: 襾犲 邑
精霊王
88/108

87話

嵌められたのは目玉じゃなくて……




「その目玉は?」


「ある筋から依頼を受けた際に、報酬としていただいたものですわ。本物かはわかりませんけど。」


「……さっきの風の精霊が言っていたものか。」


レニアは小箱からその目玉を取り出すと、眠っているのか、そもそも生きているのか分からない少年に近づく。

すんなり嵌められないのか、しばらくごそごそしている。


「……はまらないのか?」


「うーん……」

「使えないのなら、俺にくれないか?」


そうすりゃとっとと、帰れるし。と口にしようとしたが、


「嫌ですわ。それだと風の精霊さんとの約束が守れなくなっちゃいますもん。」

断られてしまった。


「っち。そういえば、伝承で足が無いと聞いたんだが……これはなんだ?」


いいながら足を指さしてやる。

精霊王の足は片方だけあった。

痛々しい断面が見えているが、あとからツギハギしたのだろう。あまり上手な付け方ではないようだ。


「これは、風の精霊さんの依頼で探してきた精霊王の足ですわ。失われた精霊教会の地下にあったものです」


おまえの仕業かよ。

俺が文句という名の交渉をに入ろうと口を開き、何て言おうか悩んでいたところだった。


――ェ?


どこからか声―というか疑問を投げかけているような音が聞こえた。

「レニア、何かしゃべったか?」


「いえ?なんのことです?」


レニアには聞こえなかったのか怪訝な顔をしている。

気のせいかとふとあたりを見回しても何もない。


――ヴェ?


今度はすこし近くに聞こえた。

少年とも少女とも取れそうな子供の声か。

ここに聞き覚えのない声の持ち主など一人しかいない。

何を言っているかはわからないが。


「……コイツ…意識があるのか」


「え、なんの話です?」


「精霊王だ、微弱だが、脳波テレパス使ってやがる。」


「脳波テレパスって、脳に直接会話してるってことですか?精霊なのに??」

目の前の少年は身じろぎ一つしない。


「ああ。精霊の仕組みを理解しているわけじゃないが」


――ヅkォイえお?


「なら封印されてなんていないってこと?なんて言っているんです?」

「……なんもわからん」


「え?」


言葉が通じるのなら、交渉しようがあると思ったんだが、残念ながら、なんて言っているのか俺には全然分からん。


「なぁレニア、精霊特有の言葉とかあるのか?」


もしかしたら、俺の知らない言葉なのかもと思ったのだが、


「ありません。多少の訛りとかはありますけど、ほぼ同じ言語体系です」


そうか……

ならこいつが言っているのは、誰にも通じない言葉か。


――ェエイヴェ!


なにかを叫んでいる声が聞こえた。


ゾッー!


一瞬、背筋を悪寒が走った。


「おっと!」

「きゃっ!」


思わず一歩後ずさりしたタイミングで、足元の暗がりから何かが頭上に向かって突き出してきた。


俺たちが立っていた。場所をよく見ると人の胴ほどもあるツタが貫いていたようだ。


「どうやら歓迎の気分ではないようだな。」

そちらがやる気なら、相手してやろう。


「串刺しにしてくる魂胆ですの?!魔法で吹き飛ばしてあげますわ!」

足元からまたツタが飛びだしてくるのを避けながら、精霊王から距離をとってなにやら詠唱に入るレニア。


「はっ!」

隠していた投げナイフを投擲しつつ、俺は距離を詰めていく。


棘這糸(スパイクワイヤー)!】


ガッ!


返しのついた糸をいくつか展開したが、精霊王のまわりを覆うツタを破砕するのにはいささか強度不足のようだ、

その辺は計算済みだ。


這う炎(クロープフレイム)!】

炎でツタを焼いてやろうと、糸に炎を這わせてやる、と、そこへ―


風芥(あっちいけこの野郎)!】

レニアのつむじ風の魔法が魔法の炎を追い、炎を大きくする。


「レニア、ちょっと、この中ではソレは狭いんじゃないか?」


一瞬で、精霊王がいた辺りは見えなくなってしまった。


「ちょっと勢い付きすぎちゃいました……けど、お兄さまも、なんで狭いのに炎の魔法なんて使ったんです?もうちょっとで二人ともこんがりでしたわよ!」


逆に怒られてしまった。

燃やせば早いかなって思ったんだがな。


「何をブツブツ言っているんです?今のうちに一度外にでません?」


「……ああ。」


炎と風はしばらく治まりそうもなかったので、俺たちは外に出ることにした。







閲覧ありがとうございます。

次の投稿は 4/16 の予定です。

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