81話
「で、『精霊召喚の儀』って、どんなもんなんだ?」
「僕も気になるなぁ」
俺の知っている魔術や科学の仕組みとどこまで違うのか、気になるところだった。
カーヤも気になっているのか、目をキラめかせている。
「はいはい、じゃあ、このドゥエス先生が特別に召喚の方法について教えたげよーか!ついてきて~」
ドゥエスがノリノリで外に出て行った。
ドゥエスが案内したのは旧都市の一角、少し開けた広場だったところだろうか。
その地面になにやら魔法陣替わりといってどこからかボロ布を持ってきており、それを敷くと、真ん中にさきほどの『精霊コンパス』を置いた。
「あとは、エリー(仮)ちゃんはそっち、カーヤはこっち、レニアちゃんがそっち…」
ドゥエスの指示通り、コンパスを囲うように、それぞれ四方に立った。
「――そんで、スクワット10回、腕立て10回、腹筋20回の――」
「いやいやちょっと待て」
「ん?なにエリー(仮)ちゃん?」
「何?じゃねえ!なんで筋トレ!?」
「なんで―って、こうすると精霊が来てくれるんだよー。大昔の筋トレ好きの大魔法使い直伝の精霊召喚の儀式なんだぜー」
いつになく真面目な顔して言われてしまった。
「え……いや……さすがに冗談だろ?」
レニアに聞くと
「わたくしは中級、下級の精霊しか召喚したことないので、実際に上級レベルの風の精霊の召喚方法は知りませんわ。きっと来てくれますわ」
「ほ、本当に?」
カーヤもドゥエスとレニアに疑いのまなざしを向けている。
この世界の魔術を学んだというレニアの知識を以てしても、上位精霊の喚び方を知らないとは、なんの勉強をしてきたんだと突っ込んでやりたい。
俺もちゃんとした召喚方法は知らないが、なんとなく……違うと思う。
「水の精霊に喚んでもらえれば来てくれたり……しないのか?」
【いっとくけど、アタシも精霊たちの喚び方なんて知らないわよ。なんとなくいいな~って思ったニンゲンに近づいてるだけなんだから】
「ただの好みの問題か」
【何よ?文句あるっていうの?】
「いやそーじゃないけど……」
ここまで来て筋トレ……なんかやだなぁ……
「納得してもらえたようでなにより。それで説明の続きなんだけど、さっきのセットメニューを150セットやれば来てくれるはず。」
ひゃ……
……結構ハードだな。
精霊召喚ではなく、ただのトレーニングしてる集団じゃん。
これが普通に人がいる街の中とかじゃなくて良かったと安心している自分が恥ずかしいのか、疑問に思いながらレニアを見ると、すでにスクワットしていた。
「筋肉は、大事!ですわよ、お兄さま!」
「うぐぅ…!」
「……っく!」
もはや目を背けることも諦めたのか、カーヤも渋々スクワットの姿勢をとっている。
不慣れなせいか、足がプルプルしている。
【……いくらなんでも、嘘デショ?】
水の精霊は疑いつつも、止めはしないようだ。
「嘘?そんなことないって★」
ちょっと楽しげなドゥエスが気になるんだが、これが正解なのか確かめられる術がないのだから、言われるがままやるしかないようだ。
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