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精霊通信録  作者: 襾犲 邑
パン
78/108

77話



日が暮れて、ドゥエスが村のお手伝いから戻ってくると、カーヤの家で今後のことを話していた。


「そういえば、ドゥエス。あんたは精霊王の居場所を知っているんだったよな。」


「う、う~ん……まあ、ざっくりとした方向ぐらいなら」

ポリポリと頬をかくドゥエス。


「ずいぶん歯切れ悪いな」


「精霊王に会うんですの?精霊王の居場所、知ってるんですの?」


「どうやらドゥエスは知っているらしくてな」


「ドゥエスさんが?どうして?」

どうしてかは聞いてなかったが、


「……ドゥエス兄さんは精霊王に会ったことがあるんでしょう?」

つと、カーヤが皆に紅茶を注ぎながら言ってきた。


「え!!ドゥエスさんは、精霊王に会ったことがあるんですか?」

どうやって?と興奮気味に続けるレニアにドゥエスは肩をすくめながら答える。


「……まいったなぁ、カーヤ……知ってたのか?」


「この村に来る前にある精霊と会ったって言ってなかった?」


「―え、そだっけ?」


「知ってるも何も、自分で言ってたじゃない。精霊に会って、その精霊からある素材を取ろうとしに行ったこと……。兄さんは精霊王って言ってた訳じゃないけど、いくらなんでも嘘だと思ってたけど、あれって、精霊王の事だったんでしょ?」


「ほう?」



******



しばし流れる沈黙と俺たちの視線に嫌気が刺したのか、ポツリポツリとドゥエスは口を開いた。


「ある森のなかで偶然……あいつと会ったのはかなり前、10年くらい前になるかな。」


目線をパンをちぎる手に向けられている。

バキッバキッ

およそパンをちぎる音ではない音が聞こえてくる。


「当時の彼女の依頼で、ある森に入ったんだ。そこに「いた」んだよ。びっくりしたけど、その時いたパーティでなんとか動きを封じて……」


「それで?」


「羽根耳をもぎ取ろうとしたら、反撃を食らって、パーティがバラバラに……。自信満々で挑んだのに、あまりにも情けなくてさ~……」


「ドゥエス、あんたでも手こずるような大物なのか。」


正直、黒氏とガルヴァートのおつかいのために来ている俺だが、厄介な者に違いあるまい。


「だって、彼女に信じて貰えなかったんだもん!嘘つき呼ばわりされてフラれて、気付いたら職失ってたし……」


「……ぇ…」

ポカーンとして口が半開きになっているぞレニア。

人の事言えないが。


「……その女の人に大きなビンタをもらったんだっけ?」


「そう!もうオレ、そのせいで遊び人になるって決めたもん」

決めたもんって言われてもな。


「あんたなりにトラウマなんだろうが、当初の予定通り、精霊王への道案内はしてもらうぞ?」


「……まあ、仕方ないね。」


「元魔術師なんだろ?期待しているぞ」


「オレは遊び人だよ。昔から今も」






閲覧ありがとうございます。

次の投稿は 2/6 の予定です。

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