77話
日が暮れて、ドゥエスが村のお手伝いから戻ってくると、カーヤの家で今後のことを話していた。
「そういえば、ドゥエス。あんたは精霊王の居場所を知っているんだったよな。」
「う、う~ん……まあ、ざっくりとした方向ぐらいなら」
ポリポリと頬をかくドゥエス。
「ずいぶん歯切れ悪いな」
「精霊王に会うんですの?精霊王の居場所、知ってるんですの?」
「どうやらドゥエスは知っているらしくてな」
「ドゥエスさんが?どうして?」
どうしてかは聞いてなかったが、
「……ドゥエス兄さんは精霊王に会ったことがあるんでしょう?」
つと、カーヤが皆に紅茶を注ぎながら言ってきた。
「え!!ドゥエスさんは、精霊王に会ったことがあるんですか?」
どうやって?と興奮気味に続けるレニアにドゥエスは肩をすくめながら答える。
「……まいったなぁ、カーヤ……知ってたのか?」
「この村に来る前にある精霊と会ったって言ってなかった?」
「―え、そだっけ?」
「知ってるも何も、自分で言ってたじゃない。精霊に会って、その精霊からある素材を取ろうとしに行ったこと……。兄さんは精霊王って言ってた訳じゃないけど、いくらなんでも嘘だと思ってたけど、あれって、精霊王の事だったんでしょ?」
「ほう?」
******
しばし流れる沈黙と俺たちの視線に嫌気が刺したのか、ポツリポツリとドゥエスは口を開いた。
「ある森のなかで偶然……あいつと会ったのはかなり前、10年くらい前になるかな。」
目線をパンをちぎる手に向けられている。
バキッバキッ
およそパンをちぎる音ではない音が聞こえてくる。
「当時の彼女の依頼で、ある森に入ったんだ。そこに「いた」んだよ。びっくりしたけど、その時いたパーティでなんとか動きを封じて……」
「それで?」
「羽根耳をもぎ取ろうとしたら、反撃を食らって、パーティがバラバラに……。自信満々で挑んだのに、あまりにも情けなくてさ~……」
「ドゥエス、あんたでも手こずるような大物なのか。」
正直、黒氏とガルヴァートのおつかいのために来ている俺だが、厄介な者に違いあるまい。
「だって、彼女に信じて貰えなかったんだもん!嘘つき呼ばわりされてフラれて、気付いたら職失ってたし……」
「……ぇ…」
ポカーンとして口が半開きになっているぞレニア。
人の事言えないが。
「……その女の人に大きなビンタをもらったんだっけ?」
「そう!もうオレ、そのせいで遊び人になるって決めたもん」
決めたもんって言われてもな。
「あんたなりにトラウマなんだろうが、当初の予定通り、精霊王への道案内はしてもらうぞ?」
「……まあ、仕方ないね。」
「元魔術師なんだろ?期待しているぞ」
「オレは遊び人だよ。昔から今も」
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