76話
はぁ……
俺はため息をひとつつくと、カーヤに向き直った。
「カーヤ、お前から見て、俺は『なにもの』に見える?」
「何って……エリー(仮)さんは、兄さんよりしっかりした感じの人でしょ?
ちょっと小柄で、見た目は僕より年下くらい……かな?最初見たときは綺麗な顔した女の子?って思ったけど、……そういえばエリー(仮)さんて男?」
「男だ。肉体の年齢もだいたいそのくらいの人間の肉体だ。」
ちょっと小柄とかは余計だと思うが。
「人間の肉体って……?」
「俺はこの世界の人間じゃないし、俺自身の意識体は人間のものじゃない…そういえばわかるかな?」
云いつつ、額のバンダナをカーヤにだけ見えるようにずらしてやる。
額に『あるもの』を目にしたカーヤは
「…っひ!」
一瞬引きつったような声を出したが、俺がそっと人差し指で制すると、口元を手で覆った。
常日頃、バンダナで隠して額に『あるもの』……それは、もう一つの目だ。
貴幸にもう一匹を隠すための棲家…とでも言った方がいいだろうか。
暗がりが好きな者どもは常日頃からバンダナで隠してやらんと、光の眩しさに暴れだそうとするものらしい。
あまり長時間バンダナを外していると俺も正気でいられなく場合があるため、バンダナで覆い隠している。
「え、エリー(仮)さん……そういう種族?だったんですか?」
「世の中にはそういう種族もいるだろうさ。でも俺の『コレ』はちょっと違う」
バンダナを結び直しながら続ける。
「違う?」
「人間の肉体に別の種族を定着する際にいろいろ手を加えた証拠さ」
俺がやったわけじゃないから詳細はよくわからないが。
「人間に別の種族……って、それじゃエリー(仮)さんは…」
その先を言いかけてカーヤは口をつぐんでしまった。
そこで俺はもう一度同じ質問をしてやる。
「そこでだ。もう一度問うぞ。カーヤ、お前からみて、俺は『なにもの』に見える?」
「えぇ…っと……よくわからない、です。……とりあえず人じゃないってのはわかりました」
「わからなくてもいいさ。俺は俺なんだから。それに、そういうのって、ドゥエスも似たようなもんかなって思っただけだ」
「にいさんも……うーん……よくわからなくても、いいってこと?」
「あんまり気にしすぎるなよ」
「うーん、解決してないような気もしますが、なんだかちょっとだけ気が楽になりました。ありがとう、エリー(仮)さん」
「どういたしまして」
「そうなると、困ったな。」
「何がだ?」
「エリー(仮)さんに兄さんをマトモな、真人間にしてもらおうかなって思ってたんですけど難しいかなって……」
そんなこと考えてたのか
「……どこまでも兄想いだな」
いやカーヤに降りかかるというドゥエスの借金のせいか?
「あいつにはスパルタ気味な教育係が必要なんじゃないのか?」
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そのあと、一人になり、散策していると散策から戻ったレニアがこっそりと耳打ちしてきた。
「さっきカーヤさんと話してるの聞いちゃったんですけど……」
「あれって、何も『ソレ』を見せなくても、『気にするな』って一言いってあげれば良かったんじゃありません?」
いいながら額を指さしている。
「…………」
我ながら少し回りくどかったなって途中で一瞬思ったが、そう思った時すでに遅かったんだから仕方ないだろ。
「相変わらず不器用ですのね」
クスと鼻で笑う気配があった。
「……余計なお世話だ」
閲覧ありがとうございます。
次の投稿は 1/30 の予定です。
そろそろ先に進みたいですぅ




