70話
壁に打ち付けられ、砂埃が舞うなか俺は少し感心していた。
「ずいぶん遠くに吹き飛ばしたんだな」
「ああいった暴漢から身を守るためには必要なことですわ」
ゴミでも見るかのような目付きで魔法をぶっ放したレニアに引きつつ、ドゥエスが吹き飛ばされた方向を見ると、パラパラと土埃を叩き落としながらドゥエスが近づいてきた。
復活が早いな。
「あーあ、せっかく面白いお酒見つけたんだからさぁ……」
右手の酒瓶は……無事だ。
どうやら咄嗟に守ったらしい。
さすがにいたずらが過ぎたと思ったのか、涙目になっていたヘイさんにその瓶を返してやった。
「よ、よかった……」
「ど、どういうことですの?手を抜いたとはいえ、オーガの胴体ですら押しつぶせる風の魔法のはずだったのに」
おいおい、そんな危険なものを人に向かって使ったのか?
「いくらなんでも加減ってもんがあるだろうに」
「オレ、そういう魔法効かないんだよね。」
「ええっ?!」
非難の声と共に視線は説明を求めるようにこっちを向いている。
俺を見るなよ。
「なんなんです、このチーター」
「……自称遊び人らしいぞ」
レニアは納得行っていないようだ。
ドゥエスは俺たちの近くに転がっていた樽を持ってくると椅子代わりにして近くに座った。
「それより今さっきレニアちゃんが言ったこと、どーゆー事よ?エリー(仮)ちゃん、レニアちゃん」
「どうって?」
「レニアちゃん、エリー(仮)ちゃんのこと、オニーサマ☆って呼んでたじゃん?二人はそーゆープレイな関係なの?」
プレイな関係って、どうしたらそういう想像が出来るんだ。
「だって、エリー(仮)ちゃんは異世界から来た者デショ?」
「ああ、それか。その通りオレは異界からきたが、コイツも同じところから来た異人だってだけだ」
と指さして説明してやる。
「え?」
きょとんとしたドゥエスに新たに説明してやると、俺とレニアをまじまじと見比べている。
「うぅ~ん、似てないっていうか……ホントに兄妹?」
「肉体以外つながりはないがな」
肉体である人間の部分『貴幸』の妹。
貴幸の特徴である錆色の髪色と茶色の瞳は、彼が引きこもっている今の現状では表に現れることはない。
今の外見は思念体の俺の影響で、金髪に金目。それに顔立ちといい、レニアと似ているとは言い難い。
「お兄さま、その状態でそれ言っちゃうと面倒になるやつですわ。」
レニアもため息交じりにフォローしてくる。
「お兄さまの肉体はお兄さまに違いありませんわ」
「え、エリー(仮)ちゃんて整形かなにか?」
「してないしてない」
「ううん……なんか癪全としないものがあるんだけどなー……まー、ふたりがそういうなら……」
「それに恋人同士でもないなら、オレにもチャンスがあるのか……」
ぽそりといったドゥエスのつぶやきを耳にして、レニアが面白いくらい引きつった表情をしていた。
本当にあると思っているのか?
「この色情魔」
「女って大変だな」
「エリー(仮)ちゃんのこと、オレも『オニーサマ☆』って呼べばいい?」
「それだけは断る」
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次の投稿は 12/12 の予定です。
微修正しましたー




