7話
ドゥエス目線3話目です
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「兄さん、起きて! 」
眠い。
まだ寝かせてくれ。
「……むぁ?」
「寝ぼけてないで!村の共同畑が魔物に荒らされたみたいなんだよ!どうしたらいい?」
へぇ、畑に美女がねぇ……
「……へぇ、じゃあその巨乳美女連れてきてくれ……そしたら起きる」
「何言ってんの!」
べしっ
さすがに叩かれた
「あいたっ」
しぶしぶ目を開ける。
「美女が優しく耳元で囁き起こしてくれる幸せな夢を見てたってのに……何いきなり――ってクワ抱えなくていーから!」
目を開けたらクワを構えたカーヤがいた!
びっくりして目が覚めたわ。
「おはよー兄さん」
「お、……おぅ」
「兄さんは、野生動物と魔物の見分けってつく?」
ああん?
そんなのマナの含有量の差で…ってそうじゃなさそうだ
「…まあ、見ればわかるさ」
「それって、兄さんが昨夜光ってたみたいに、土や草が光ったりするものなの?」
それなら昨夜細工しておいた畑のことか?
早速なにかが起きたのか?
マナを持った生き物が近寄ったらそのマナで数時間は跡が残るやつを仕込んであるんだが、全員に見えるわけじゃない。
「……なにがあったんだ??」
「うん、畑が荒らされて、土がすこし光ってるような気がしたんだ…でも上手く言えないから、一緒にロイじぃさんの畑に来てもらってもいい?」
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カーヤに言われるままじいさんの畑に行くと、村人全員そこにいた。
知らねえ男もいる。
畑は柵ごと壊され、何者かに踏み荒らされたような凄惨な有様になっていた。
…早速土が光ってやがるし。
「連れてきました」
「ご苦労だったなカーヤ」
「アンタは?」
「この男は、都からたまに来てくれる商人のジョーという男でな、こんな辺境のアシャト村を気に入ってくれたみたいで、たまにこうして物資を持ってきてくれるんじゃ」
「はじめまして」
手を差し出された。
「おう…」
カーヤや村人の手前、しぶしぶ手を握り返すと、男が睨んできた。
「…貴様が畑に手を加えてくれたみたいだな?」
「…あん?」
「聞いたぞ、貴様が昨日畑に手を出して、何かをしたって!村の畑をめちゃくちゃにしてくれやがって!!」
と大きい声で叫んだ。
「え?」
「―兄さん?」
「…勘違いだ」
身に覚えがない。
だが、村人に不振な目で見られるのは気持ちがいいものではないな。
「騙されるな!こいつは村の畑を荒らして、マナまみれの不浄の土に変えたじゃないか!」
「なんの話だ?」
オレがやったのは雑草刈りとマナ感知するトラップだけだ。
そこで冷静に手を上げて遮ってきた者がいた。
いつもカーヤにパンをくれるところのおっさんだ。
名前は覚えてない。
「なあ、二人で盛り上がっているところ悪いが、昨晩西の空に不気味な光が見えたんだが、何か関係あるのか?」
「あー、わしは変なうめき声を聞いたんじゃが、気のせい…ではなかったんじゃな?」
と村長。
それを先にいえよ。
「なら、オレが見てこようか?この通り、何か誤解があるみたいだし?」
「うーん。一人で行かせるわけにも行かんしなぁ…」
「私が行く!」
と、都から来たという男。
仕方なく、オレは着せられたモンを取り除くために村の西にある森に入ることになった。
濡れ衣って単語が出てきませんでした。
次回投稿は10/18になる予定です。