67話
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受付嬢に簡単なギルドの仕組みを説明してもらい、壁に立てかけてある掲示板に依頼の紙が何枚か貼ってあるのが目に入った。
「早速見てもいいか?」
「どぞ、ご自由に~」
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【クエスト依頼】
〇「鉱山内部の落書き消し」
(依頼人:酒場のマスター)
〇「鉱山内の所定位置に案内用の神獣の絵を描いてくれ」
(依頼人:ヌコ信教・教祖ヘイ)
〇「鉱山内に精霊石装飾仕様イッヌ様像の設置」
(依頼人:オイヌ様教・真祖バーリー)
〇「坑道入口の精霊石の修繕が終わったので設置のための人員募集」
(依頼人:町長)
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「ヌコ信教祖……ヘイ?って、ヘイさん?」
「ヘイって誰だっけ?」
すっとぼけたドゥエス。
「えっと……、坑道の崩落場所まで案内してくれた『自称・ネコ派』の酒場の店員さん?」
「そんな名前だっけ?男の名前覚えられねぇわ」
だろうな。見た目にも特徴あまりなかったし。
「道案内の途中にネコ?の落書きをしてたひとだ」
「あ……ああ、そういえば。って、ここに依頼あるってことは、他所から来た人にも描かせてるの?一人で坑道内に落書きしてるのかと感心したんだけどなぁ。」
そんな薄暗い趣味に関心したのかコイツは。
ヘイさんといえば、案内してくれた際にこの蛍光塗料を預かっていたんだっけか。
あとで返さないとな。
「気になるものがありました?」
俺等が話しているとギルドの受付嬢が近づいてきて、声をかけてきた。
「あ、それですか?酒場の従業員ヘイさんがはまってるネコ画?を増やしてもらいたいそうですよ。彼が教祖を自称して落書きばかりしているんですけど、蓄光塗料のお陰で目印代わりになって便利だってことで、止める人は誰もいないのでその名で定着しつつあります」
意外と役に立っていて定着していたのか。
「ちなみにその下の依頼のオイヌ教真祖こと、バーリーさんは大通りの宝石屋の店主で、ヘイさんの幼なじみです。こっちも誰も止めないお陰で、『自称・真祖』を名乗っています。おもに精霊石のアクセサリーを付けた犬のぬいぐるみを設置しまくります。」
「いや邪魔じゃねえか」
「たまに癒されたとかいう人が出て調子に乗ってますが、今のところ無害です」
「精霊石のアクセサリーって……さすが鉱山だねぇ」
感心するのはそこなのかドゥエス。
「精霊石って、なにか効果があるんだっけか?」
「魔物避けのお守りになるんじゃありませんでした?」
「さすが現役のレニアさん。なんでも設置した箇所の近くは魔物が近づきにくくなるそうですよ。微々たるものですけど」
意外と役に立っていた?!
「でも、あのお二人のセンスだけが壊滅的なので、放っておくといずれ鉱夫と観光客が減るのではと心配した酒場のマスターと炭鉱主が別の方法を模索して度がすぎるものは排除しているんですが、なかなか上手くいっていないようです」
センスが壊滅的でなければ、放っておいても問題なさそうにも聞こえるんだがな。
「そこでギルドではセンスと腕に自身のある方に二つの依頼をお願いすることがあります。ほぼボランティア価格になりますが」
なら尚更、お願いされたくないです。
「オレ、絵をひたすら暗闇で描かされるのは嫌だなぁ。画力もないし。ぬいぐるみ抱えて暗闇を進むのもねぇ……」
一瞬、ドゥエスがたくさんのぬいぐるみを運んでいる姿を連想したが、不審者と勘違いされそうだなとか思ってしまった。
「落書きとか不審物の設置は気乗りしないが、最後の……なら出来そうだな。」
「最後のって?どれどれ?」
「先日破損した坑道入口付近の精霊石の設置ですね」
「そうだねぇ、ちゃっちゃと片付けて美味しいもの食べようぜ」
「私もお手伝いいたしますわ」
「では、明日の朝、坑道入口の休憩所にお越しください」
そうして俺たちは、マトモそうな依頼を受けることにした。
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