51話
「待ってたよ★エリー(仮)ちゃん」
先程レニアちゃん達が向かっていた先、神殿があるとされる奥の間から出てきたのは、腰までの金髪をなびかせて、金眼の切れ目をこちらに向けているその子は、一見、少女とも間違えそうな綺麗な顔立ちと小柄な体格の持ち主、エリー(仮)ちゃんだ。
「……何を待ってたんだか……アンタにしては時間かけて様子見してたみたいだったが、出し惜しみせずに倒せば良かったのに……」
「あ、バレた?」
オークの使った術が気になったなんて、言えないなぁ……
「……ひょっとしてお愉しみだったのか?」
「ぇ?!いやいやいや!」
勘違いされそうな言い方しないでよ!!びっくりしたじゃん
「戦闘を愉しんでたんなら茶々入れたようだな……すまん」
そう言うとエリー(仮)ちゃんはぺこりと頭を下げた。
「そこは謝るところなのかい?愉しんでたとかじゃないよ!!?勘違いだからね!」
「そうだったのか」
肩透かしを食らったかのようなポーズをしても、オレは全くもって無実だ。
無実ったら無実だ!
大事なことだよ!!
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「エリー(仮)ちゃんは奥の部屋から来たみたいだけど、先についてたの?」
「いいや、ここに来たのはついさっきだ。どう進んだのか、あの部屋の奥につながる道を進んでいたらしい、一緒に流された二人も一緒だぜ」
「ふぅん……男は別にほっときゃいいのに」
エリー(仮)ちゃんかオレかは分からないけど、精霊ちゃんに一杯喰わされたかもしんないね。
いまのところは問題ないけど……
「ところで、あいつらが向こうに走って行ったようだが、何かあったのか?」
向こうとはエリー(仮)ちゃんが来た方ーオレ達が向かおうとしていた小部屋のある方だ。
ほかにもあの神官職の男ともしゃもしゃ少年の声も聞こえる。
どうやら仲良く合流したらしい。
「ああ、黒髪の少年が怪我したんだけど、どうも怪我の様子がおかしいんだよね。」
オレはさっき起きたことをかいつまんで話してやる。
「怪我?」
「かすり傷さ」
「かすり傷程度であそこまで取り乱したりするもんか、ふつー?」
「うーんと……なんて名前かは忘れちゃったけど、肌の内側、骨が黒くなると手遅れ……になる『呪い』――だったかな。ちなみに回復魔法の使えないオレには治せないぜ。」
「…………それってずいぶん危ない状態じゃあないのか?」
「普通ならね。でもこっちには精霊ちゃんもいるし、向こうの部屋に精霊の祭壇があるでしょ?」
地の精霊ちゃんのチカラの本質は『守護』と『癒し』。
ほかにも由縁とか使い方のルールがあったと思うけど、たぶんどうでもいいはず。
その祭壇があるのなら、それを使って、簡単な回復魔法の底上げをするくらいたやすいいだろうね。
説明をしながらオークの死骸を避けてオレもエリー(仮)ちゃんと奥の部屋へ向かう。
……さすがに血肉に塗れた腕はあとで回収しよう…処分する所をエリー(仮)ちゃんに見られるわけにはいかないし。
「精霊の力を最大に使える根幹、祭壇が整っていれば、レニアちゃんの使っていた回復魔法でも直せるはずだよ。」
「魔法の効力を上げられるのか?そりゃまた便利な場所があるんだな……それより、祭壇――だっけ?それらしいものは壊されていたぞ?」
「えっ?!」
エリー(仮)ちゃんのその一言で血の気が失せた。
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