39話
やっと生徒と会えるようです
誰が掘ったのか分からない洞窟にもとれる道をしばらく進むと、風に乗って何かの音が聞こえてきた。
………ん………ぃい…
………おぉぅ………
先にある暗闇から、明かりと声が聞こえてくる。
こちらが見えている訳ではないようで、呼び掛けというより話し声のようにも、聞こえる。
「……例の学生、だろうか?」
ガシャ……
ともすれば風の音にも聞こえなくもないが、金属が落ちるような音がした。
ドゥエスと無言で目を合わせると、
道の途中に横に通じる道があるようで、何人かのヒソヒソ話が聞こえている。
こちらの灯りはそのまま進んでいるので、向こうからも見えるだろう。
ドゥエスは横道に近づき、顔を出した時だった。
「っきゃあ!」
「うわっ!?」
思ったより近くに誰かがいたみたいで、お互いに驚いた声を出した。
「だ、誰だ!?」
男が驚きながら飛び出してきた。
黒髪の男が剣を構えてきたが、こっちの姿を目にすると、驚きより訝しげな顔になる。
「ひ、ひと……?」
まぁ人型はしているな。
「う……うぅ…びっくりしたよぅ……ぐすっ」
入口からわりと近くに座り込んでいたのは、14、5くらいの三つ編みをした小柄な少女だ。
ドゥエスにびっくりして泣き出してしまった彼女をドゥエスが宥める。
そこに黒髪が間に入り、
「どうやってここにきたんだ?!」
「どうって……入口から割とすぐの大穴から降りて来たんだが」
そう言って、来た道を指さす
「あっちって……行き止まりになってなかったか?」
芋虫モンスター『窮屈スライム』のいた方だろう
「通せんぼしていたヤツなら、駆除して通ってきたぜ」
「通せんぼ……?まあ、通れるようになったならありがてぇや」
穴からここまでスライムがいたが、一本道だったんだが。
「それより、外に出られなくなった学生ってあんたらでいいのか?」
「まあ、たぶんそうだと思う。で、そういうおふたりさんは……?」
質問してきたのは剣を携えた黒髪の青年だ。
「オレたちは、二トラスの町の人に頼まれて行方不明者を探しに来たんだ。オレはドゥエス。こっちはエリー(仮)ちゃん」
ドゥエスが律儀に紹介してくれる。
「よろしく」
「た、た助けに……来てくれたんですか?」
と泣きべそかいていた女子。
「ああ、怪我は無いかい?お嬢ちゃん」
ドゥエスは泣いてた女の子の傍に寄ると、女の子は少し落ち着いたのか、
「は、はい……びびっくりして腰が抜けちゃいましたけど、だだだ大丈夫でです。わたし、ラルカって言います」
「驚かすつもりはなかったんだけど、なんかゴメンね、ラルカちゃん」
見渡すと、中は松明の明かりで照らされた薄暗い空間になっており、男女が数人、円座を組んでいた。
同じ上着を着た男2人とスカート姿のラルカという少女……この3人は例のナントカって魔法学校の学生なのだろう。
「そっちのもは?」
「僕はリーブラ=ショーンといいます。アーリア学園3年の魔法使いです」
癖のある淡い茶髪に中性的な少年とも取れそうな顔立ちの男だ。
学園の制服と思われるブレザーをベースにした思われるジャケットとスラックスを着ているが、サイズが合っていないのか肩と袖口がぶかぶかである。
「お、オレはジェミン=ガード。リーと同じ学年3年の魔法剣士だ。」
黒髪の剣を携えた男も同じ魔法学院の生徒のようだ。
剣士と魔法を両立できるのだろう。
動きやすさ重視なのか制服の上に籠手と膝当て、胸当てを装備している。
「…レーザックだ……」
円座の向こう側の暗がりから静かに自己紹介したのは、30代くらいだろうか。
どこかで見たことがあるようなデザインの白のローブを着た男だ。
髪型や人相はローブで隠れていて見えないが、物静かなのか疲れているのか、言葉は少ない。
「 私はレニアです。彼らのOBですけど、冒険者としてお手伝いしてました。」
茶の長髪を高めに結わえ、紺色のスカートを着た自称冒険者?
……といったところだろうか?
「どうかしたんですか?私の顔になにか付いてます?」
「あ……いや……なんでもない」
どことなくこの女に見覚えがあるのは……気のせいだろう。
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「あの……どうやって外に出られるんでしょうか……?」
口を開いたのはリーブラ。
説明するのはドゥエスだ。
おそらく彼らの実力を知っていそうだしな。
「見たところ、皆、魔法が使えるよね?大穴まで戻って、そのまま上に飛べば外に出る道が繋がっているよ。
「良かった……これで外に出られるんですね。……でも」
すこし落ち着いたのか、三つ編みの女の子ラルカがなにか悩む素振りをしている。
なにか気になることでもあるのだろうか?
「なにか問題でもあるのかい?」
子猫に話しかけているのかのごとく、優しく諭すような声色で聴くドゥエスに若干の寒イボを感じながら、ラルカの回答を待つ
「……じ、実は、奥の部屋で……」
「おい!ラルカ!黙ってろって!」
ラルカが説明をする途中、ジェミンが止めに入った。
そこを、すかさずレニアが説明にはいる。
「じ、じつは私たち、坑道ダンジョン内で落とし物をしてしまいまして……それを取りに戻りたいんです……」
「落とし物?そんなに大事なものだったのか?」
「あ、は、はい!それはもう、すっごく価値のあるもので……」
「ふむ……?」
早いとここいつらを外に連れてって金を貰…安全を確保したいところなんだが、ドゥエスをみると、ドゥエスも困っているようだ。
「ぼ、僕は、一回外に出て装備を整えてから……でもいいと思うんだけど……」
「リーブラさん、それじゃ誰かに先越されてしまうわ。それじゃ、なんの意味も無いじゃないの」
リーブラに対してレニアはあきらめるつもりはないらしい。
「そ、そうよ!リー!ワタシだって怖いもん!でもそのためにこの町に来たんじゃない?」
ラルカも帰るつもりはないらしい。
てっきりおとなしく帰ろうとするものとばかり思っていたのだが。
「そ、そうだけど……」
レニアとラルカに促され、ごにょごにょとリーブラが文句を言い始めている。
大丈夫なのか?
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