27話
【ねえ、感動の再会っての?それはいーんだけど、まだあたしのほしいもの貰ってないのよ?わざわざ都会から、こんな廃れた所にまで来たってのにぃ……】
こいつは……
「あんたの方こそ、1度断られてんのに、諦めが悪いな。目玉ごときに」
【あら、『ごとき』とは聞き捨てならないわね、宝石と同じ価値のあるコレクションを厳選して手に入れようとして何が悪いのかしら?】
宝石と同じ価値?
彼女なりの比喩表現だろうか?
【久しぶりに会えたかと思ったら、お姉様ってば……相変わらず金の亡者スイッチが入ってるんですね】
地の精霊が話しかけてきた。
金の亡者だったのか?
【貴女こそ、相変わらずの平和主義ね。まぁ、それで良いのだけれど】
「平和主義はいい事じゃないの?僕の目が宝石と同じって言って貰えるのは嫌な感じはしないけど、無理矢理奪おうとするのは頂けないね。」
【欲しいものはどんな手を使ってでも手にしないと気が済まないワ☆】
精霊というより何とも俗っぽいというか、人間らしい発言だな。
【でも、ま、今日のトコロは突然だったから、答えは…そうねぇ……妹に免じて、明日の朝にまた聞きに来るわ。それまで決めておいてちょーだい。お別れの時間くらいなら作ってあげるわ】
そう一方的に云うと水の精霊はこちらに意味ありげな視線を向けたと思うと、水で出来たと思われる体がその場から消えた。
「消えた……?」
「いや、もう来なくていーって」
ドゥエスのツッコミは多分届いていないな。
「……何だったのアレ?兄さんの元・彼女か何かなの?」
「いくらオレでも人畜無害な女性としか付き合ってないわ!」
【都市に棲んでいたはずのお姉さまがここまで来るなんて、珍しいです。ちょっと私も棲家に戻ってきますね。】
云うと地の精霊もどこかに消えてしまった。
「地の精霊はどこに?」
「精霊はそれぞれ本体となる核を置いている棲家があって、それぞれの領域、テリトリーがあるから、おそらく、彼女の領域を見に行ったんだろう。何かあればこいつでまた喚べるからそこは心配しなくていいさ」
言いながら片耳のイヤリングをさし説明するドゥエス。
「核……水の精霊が閉じ込めれていた所みたいなことか」
「そゆこと。」
****************
「ところで兄さん、聞きたかったんだけど、一緒にいる人は、誰?」
蒼い目をこちらに向けるカーヤ。
「あ、紹介するよ、この子はエリー(仮)ちゃん」
異界から来たと言って信じて貰えるだろうか。
「はじめまして。エリー(仮)と呼んでくれ。こことは違った異界から来た何でも屋だ。」
「異界?」
「こことは少し遠いところから来た……とでも思ってくれればいいさ」
「そうなんだ。よろしくね、エリー(仮)さん」
「こちらこそ、よろしくカーヤさん」
「カーヤでいいよ」
そう言って差し出した手を握り返してくれた。
少し硬い表情が和らいだように見える。
「ところでエリー(仮)さんは、ドゥエス兄さんとどんな関係なの?まさか彼女―……?」
とんだ勘違いをされたようである。
「俺は男だ。ドゥエスとは王都で会って、ある所への道案内をお願いしていたところだ。その道中、先ほどの水の精霊を追ってこの村に来たってわけさ」
ドゥエスの調べものの手伝いをする条件の替わりで……といった口約束だったが。
今のところ俺が何か成果があったかどうか、微妙なところだし、明確な回答を得たわけではないので、あとでちゃんと確認しないとなとは思っていたんだが……
「へえ、王都で兄さんと会ったんだ……良ければ、兄さんは何をしていたのか教えてくれる?僕には探しものをしてくるって言って村を出て数か月、なんの音沙汰もなかったわけだけど、兄さんは元気にしていたのかい?兄さんは遊び人だし、心配していたんだよ。」
「……そのあたりのことは、直接本人に聴いた方が良いじゃないか?俺が彼に会ったのは昨夜だ。ドゥエスのことは大して知らないよ。」
「あらあら、寂しいなァ、エリー(仮)ちゃん。暗くてじめついた狭い『ヒミツの場所☆』でオレたち仲よくしてくれたじゃないの。いいコンビになれたと思ったのにぃ」
精霊教会の地下祭壇……でのことを言っているのだろうか?
勘違いされそうな単語をちょいちょい挟んでくるドゥエスを無視しているとカーヤが食いついてきた。
「そうだったんだ……何か悪いことしてたの?」
なぜそうなる?
「言っておくが、積極的に犯罪に加担した訳ではないからな、俺は。会って間もないからドゥエスの方はよく知らないが。……彼は、娼館で用心棒してたし」
「あ、ちょっと……それバラされると……」
当たり障りのない言い方をしておいたが、ドゥエスから抗議の声が上がったがこれを無視する。
「……ぇ?……そこんとこ詳しく知りたいな?ちゃんとお仕事してたのかな?女の人と遊ぶの口実にしてたのかな?」
ちょっぴり怒っているのだろうか?表情からは分かりにくいな。
「遊び人自称してるあたりホントのところ、何が目的だったかは分からなかったな……」
「えっとですねぇ、カーヤくん、そこは大人の事情とかその辺のがありましてですね……」
「僕に関係ないことならいいけど、精霊さんのこことがあるから、後でじっくり聞かせてもらうよ、兄さん?」
「……はぁい」
渋々頷くドゥエスだった。
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