26話
【違います!お姉様!!】
「!?」
「兄さん!?」
カーヤの悲鳴と誰かの声が聞こえたのと、カーヤの耳のイヤリングから光が放たれたのは同時だった。
その中から一人の女の姿が現れた。
カーヤの耳のイヤリングから出てきたのは、高めに結わえた茶髪を靡かせ、身体の一部を何かの鉱物に覆われた女だった。
こちらも精霊だろうか?
【あ…あなた…!!】
【お姉様、勘違いです!私は自分の意思でここにいるんです!】
【ウソをおっしゃい!心根の優しいアナタのコトだから、ソコの変な赤男に唆されたんだわ!】
「変な赤男って……」
確かに服以外は赤いな。紅に近い色だと思うが、似たようなもんだ。
「確かに兄さんは変だけど……」
「え、……ちょっと……カーヤ君?」
「地の精霊さんは自分の意思で此処に居るみたいだよ?」
「……―へ?…………カーヤ、地の精霊ちゃんのこと、知ってたの?」
ぽかんとするドゥエス。
「知っているも何も、このイヤリングの中にいるんだーって声はたまに聞こえてたよ?こうして本人を見るのは初めまして、だね?地の精霊のお姉さん?」
【こうして顔を見せるのは、はじめてだね。よろしくね、カーヤさん】
身体の一部を覆う鉱石の部分に、朝日が煌めく。
「ドゥエス、知り合いの精霊もいたのか?」
「地の精霊ちゃんは、オレがカーヤと会う少し前に、訳あって契約した女の子だ。精霊同士が姉妹なんだってのはどっかの文献で読んだような気がするけど……忘れちまった」
「ほう……なら、俺と会った時に会わせてくれなかったのは、何か理由でもあるのか?」
「王都内は、彼女が近付きたがらなかったから……その変わりこの村、カーヤの所にいてコソッと手助けしてもらおうと思ってたんだよ……」
「精霊が近づきたがらない?水の精霊が王都にいた事と何か関連があるのか?」
「精霊同士で、お互いテリトリーはあるみたいだけど、そういうことでもないみたい……どっかのお偉いさんが精霊のこと嫌いみたいでね。王都内のどっかに精霊避けの術がかけてあるって聞いたことがあるんだけど……詳細はオレもよく知らんや」
精霊を毛嫌いする偉い人……
珍しいものもいるようだな
「……精霊が姿を現すのは魔法使いか契約者や人間の魔力使って召喚したり、強いマナを持った人間だけだし、なんもないかなーって思ってたんだ。まさかカーヤがそれほどのマナ持ちとは思ってなかったなぁ」
「ま、うっかり、それに気づいた時には財布が空っぽになっちゃんたんだけどね♪」
てへっと舌を出してお茶目なポーズをとるドゥエス。
「本当にうっかりなのか、それは?先を急ぎすぎだろ?」
ドゥエスにとってカーヤという者は、それほど大事な存在らしいな。
「それにしても、こうして二人の精霊ちゃんを見てみると、なるほどなるほど…胸の形が似て……ー」
ばっこん!!
何処からか石つぶてがドゥエス目掛けて飛んできた。あまりに唐突だった為か、避けらず仰け反るドゥエス。
「いてて……」
さしものドゥエスもおでこに当たったらしく、血が一筋流れたようだ。
ドゥエスが血を流したのを見たのははじめてだな。
教主の魔術を受けても無傷だったのに。
どんだけ威力があったというのか?あの石つぶては……
「……だ、大丈夫か?」
「ありがとうエリー(仮)ちゃん、オレに優しいのは君だけだよ☆」
「……アタマを打っておかしくなったならもう一度ぶつけてもらえばいいだろう?」
「…………前言撤回。なんでオレばっかり不幸なのさ?」
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