22話
「……ここで潰しとくか?」
「それもいいな。ちょっと派手な花火打ち上げようか」
「花火?」
すっと、ドゥエスは隠れてた壁から立ち上がると、何やら唱え始めた。
【火球炎舞】
ボウ!
彼の周りにいくつかの火の玉が生じた。
「そぉれ!」
火の玉は合図と共に地下空間の至る所に散らばって行った。
「うわっ!」
ボン!
「なんだ!?」
ボボン!!
「火事だ!!?」
ボゥ!
あたりにいたローブ服の人々が慌てふためく。
飛んで行った火は、着弾すると爆発し、日の勢いを増した。
普通の火の魔法でも見せてくれるのかと思ったが、随分と手の込んだ魔術だな。
うっかりローブに火が移った人や、それを消化しょうとする人もいたが、火は縦横無尽に飛び跳ねていく。
「そっちはヨロシク☆逃がさないようにね!」
ドゥエスは逃げ惑う何人かの人を指差しした。
「わかった」
俺はこっちを相手してやろう。
わらわらと出口に向かっていく人がいたが、まずは背中を向けたヤツらに術をかける。
【闇茨籠】
途端、彼らの足元からツタが出現し、鳥かごのような形になる。
「うわあああ!」
「なんだこれどっから出た?!」
時限式なのでそのうち鳥かごが縮小して中身がプレスする仕組みだが、そんなのは見届ける必要もないだろう。
「何者だ!?」
「襲撃か?」
「っく!【水の盾】よ!」
俺に気づいた3人が防御のため、それぞれ水の盾を展開した。
投げナイフでは距離があるな……
【棘這糸】
微細な返しのついた紐の様なものが、それぞれ水の盾を展開した者に向かっていく。
水の盾にぶつかる直前、糸はぐにゃりと曲がり、迂回してそいつらの腕に突き刺さった。
「ぐぅっ!?」
よし!届いた!
糸はそのままそいつの中に潜り込んでいく。
「ぅヴぐっ!」
「ひいいぃ!?」
「痛い!」
【鳴雷】
バチンッ!!
「ギャ!」
「……!?」
「ぐっ!」
『黒いの』に放った時はあまり効果はなかったが、今度の相手は人間だ。
一撃で気絶したようだ。
今の3人を倒すと、向こうもあらかた片付いたらしく、ドゥエスが戻ってきた。
「随分えげつない術使うんだなァ」
「そうか?」
逃がすよりマシじゃないのか?
ドゥエスは手に何かを持っていた。
血まみれのシルバーのロザリオだ。
「それが必要だったのか?死者のロザリオなんて何に使うつもりだ?」
「ちょっと……ね。」
「どうするつもりかは知らないが、あまり趣味がいいとは言えないな」
「……フフッ、前に同じようなこと誰かに言われたな」
嘲笑じみた笑みを浮かべる。
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「くっ!侵入者か!こうなったら!?」
棚の影に隠れていたのか、ローブを着た男がポケットから笛を取り出し、笛を鳴らした。
ピイイイイーーーーー!
増援でも呼ぶつもりか?
雑魚が来たところで意味はないと思うが……
と、その時、
ゾゾゾゾゾゾ…!
その男の影から黒い霧状の何かが出てきた。その黒い霧は何かを形作っていく。
「グルルルルゥ……」
こいつは…
地上でも地下の部屋でも会った『黒いやつ』だ。
こいつらのペットだったか!
「丁度いい。さっき奪ったものを返してもらおうか」
掛かってくるかとナイフを構える。
しかし男は手に持った何かをそいつに渡した。
「これだけは、教主様へお渡ししろ!!」
ぐぉう!
人吠えすると、『黒いの』は奥の通路に向けて走り出した。
「ふん」
投げナイフが当たったローブ男は悲鳴を上げず、その場に倒れた。
「……道案内してくれるとはな」
「エリー(仮)ちゃん、今、悪役っぽい顔してるの気づいてる…?」
「気のせいだろ?教主ってとこに連れて行ってもらおうぜ」
「はいはい。行こうか」
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足早に進むドゥエスを小走りになりながら追いかける。
こういう時、足の長いやつは羨ましい。
「精霊ってのは、契約した人間に強力な力をくれんだよ。付き合い方さえ知っていれば、魔法使いには魅力的な仲間になるんだけど」
「……教主とやらは、ちゃんとした奴だと思うか?」
「さあな。奴らのいってた教主とやらが何のつもりで青い目玉なんてかき集めてんのか、知っておきたいところだけど……さっきも見ただろ?あんな奴らがいるところのトップなんだ、どーせろくでもないヤツだろ?」
だろうな。
「……出来れば話が通じる相手であってもらいたいものだ……」
いくらか暗い通路を走ったところで、集会所のような広さのある空間に出た。
室内はレンガ作りで、壁や至る所に水が張り巡らされている。
何かで見たことある雨水を貯めておく地下貯水槽のつくりに似ているだろうか?
そんなじめついた所の奥には、壁にレリーフが飾ってある。
その壁のレリーフに向かって佇む者がいた。
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