17話
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「そうそう、こっちも聞きたいことがあったんだ。」
と、ドゥエス。
先ほどまでのおちゃらけた雰囲気を変え、真面目な口調になった。
「異界から来たって言ってたな。どうやって王都に…ゾディアック地区街に入れたんだ?異世界って言っても、あの地区に入る為に必要な通行証も持ってないみたいだし……」
「……それが、どうやら、この世界に来た際、この街の地下に繋がる水路に出たんだ。」
「水路?……それがゾディアック地区に通じてたってことか?」
「そうだ。」
そこまで答えたら、ドゥエスは考える素振りを見せた。
「ふむ……。――で?観光はできたのかい?」
「いいや、さきほどこの世界に来たところだったからな。そもそも観光に来たわけじゃない。こちらの事情で精霊に会えそうな方法を聞きまわっていたところだ」
まだ情報を聞き出せたのは、雑貨屋と娼館と、目の前の謎の男ぐらいだが…
「さっきも精霊王って言ってたな。冗談で言ってるわけじゃなさそうだな?」
「……さっきひとつ後悔したところだよ。換金して捌かれるところだったワケだしな」
ぷふっ!
ドゥエスは吹き出すと、
「ははは!そうらしいな!早くも『 オトナもコドモも使っちゃダメな単語ランキングTOP1』でも使ったのか?」
「『トップ1』かどうかは分からないが…」
「…………………………嘘だろ?まさか、リリスに『精霊に会いたい』って言ってたのか?……………それって、………………………………教会に入りたいっていう、隠語なんだよ」
「隠語……」
それで質問されたのか。
「その昔、身体欠損した男が精霊になったっていう『精霊王の伝説』にちなんで、自分の体売って金にするやつや、人身売買のバイヤーがその道使ってたんだ。最近じゃあ、使う者もいなくなったと思ったんだけどな。」
ほう…精霊王は欠損しているのか。
「―知らず知らずのうちに俺は、身体を売りかけてたって事か?さすがに冗談だと思っていたんだが?」
「そーだなぁ。オレも、最近ではほとんど聞かなくなってきたから……」
事実だと認めるのか。
「……大方流れてる先は分かってるし……」
小さく呟いた声を聴き逃さなかった。
まだ何か隠していそうだな。
「それにしても、まさか目の前にその迷子の子羊ちゃん☆がいたとは……ぷぷっ!ははは!」
吹き出してしばらく笑う紅毛の男。
こいつ…
「あんたは精霊教会の側のものじゃないのか? てっきり、あんたがあの娼館で人身売買の手伝いでもしているのかと思っていたんだが?」
『射手座のゆりかご亭』の女主人・リリスは、儀式のことを知っていたみたいだし?
そこの所を問い詰めたいところだが。
「……違ぇよ。―さっきはリリスの手前、『用心棒』なんて名乗ったが、オレは、そっちには手を出しちゃいないぜ。リリスとは昔馴染みで世話になってただけだ。」
ドゥエスはキッパリと否定した。
「むしろアイツらに用があるのはオレの方だ」
「……どういう事だ?」
「調べものしてたんだけど、どうも教会が何か隠してね怪しいからってことで鋭意調査中だったのさ。顔が割れてるから慎重に事を進めようとしてたんだけど」
ニッコリと訳ありな笑顔を向けてくるのやめてくれ。
「ーそこで、だ。今はなにか依頼受けてたりするか?異界の何でも屋さん?」
回りくどいことを言う。
「はぁ……安心してくれていい。今は何も依頼を受けていないぜ。タダと言う訳には行かないが」
路銀も稼ぎたいし……
「それなら、調べもの、手伝ってくれないか?報酬は、そうだな…―目的地までの道案内――でどうだ?」
「目的地、までというのは……まさか封印されたと言っていた、精霊王?」
「そ☆案内してやるよ。正確には、その近くまでの観光案内ってところでどうだい?」
パチンとウインク飛ばしてきた。
「観光案内とは……ものは言い様だな」
「ちなみに普段から『宵越しの金は持たない主義』だから、手持ちは期待しないでくれよ☆」
……
………………
早くも路銀の心配をすることになりそうだ。
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「……まぁ、……知らない民家に案内された時点で察したさ…」
「そうと決まればこのドゥエスおにーさんがいろいろ教えてあげるぜ☆名前で呼んでくれると嬉しいかな〜」
ぐうう……
お腹の音が響いた。
さすがに俺のじゃない……
「へへへ、そういえばお腹空いてたんだった」
『射手座のゆりかご亭』を出る時の口実かと思っていたが、まさか本当にお腹が空いていたのか…
まぁ、あの時に奢ると言った手前、ほっとく訳にも行かないな。
「美味しい食事を教えてくれるんじゃなかったのか?まさかここの民家の?」
「いやまさか!ここは少し情報整理に使わせてもらっただけさ。そうと決まれば、夜のゴハンを収穫しに出掛けようか!」
ドゥエスは勢いよく立ち上がると、ガッツポーズを天にかかげた。
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