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精霊通信録  作者: 襾犲 邑
来訪
13/108

13話



雑貨屋か魔法道具屋を探しがてら、精霊の情報を求めるとしよう。

夜なのでお店がやっているかわからないが……やっててくれるといいな。


換金できないと宿すら取れないかもしれないなと心配していたが、どうやら杞憂だったようだ。


大通りは夜でも賑わっているようで、夜店も出ていた。食事処もやっているらしい。

いくつかの角を曲がって、雑貨屋らしきお店の看板を見つけた。

そのお店は1階が店舗で2階が住居かと思われる造りをしていた。

『宝石、アクセサリー鑑定おまかせあれ』の張り紙がしてある。夜間営業とは。

これは丁度いいな。


カランカラン


「すみません」


「…いらっさいませー」


癖のある赤茶の髪と水色の目をした気怠そうな若い女性店員が奥から出てきた。

幼さの残る猫を思わせるつり目と猫耳が特徴的な女だ。

獣人だろうか?


「若いお客さんねー、どっから来たの?」

あんたも充分若いと思うが……?


「少し遠いところからな…。ワケあってお金が必要なんだが、換金できないか?」

「換金?いーよー?」


ポーチの中にあるものをいくつか取り出して、カウンターに並べていく。

この世界のモノではないが、どこにでもある宝石といくつかの金塊だ。


「うーん、ふつうの宝石類だねー。…ちょっとまっててー」

といってカウンターの後ろに下がっていった。


「ほい。このくらいー」

そうしていくらかの金貨と交換してもらった。


「ほかに用あるー?」

「ああ、情報を。精霊についての情報が欲しい」


「……精霊?王都内で精霊に詳しいのって言ったら、精霊教会に行くのが手っ取り早いんじゃないかな?」


「精霊教会?」


「教会なら四大精霊それぞれの『加護』や『祝福』をしてるから、冒険者ならそこに行くひとが多い思う」


「『祝福』……?」


「冒険者とかなら武器に精霊の力を付けたり、魔法使いならその力を上げることが出来るんだよ。キミは行ったことないの?」


便利そうだな。

「縁がなかったからな」


「そーなんだ。でも、精霊王クレイブを崇めてる西北地区には近づかない方がいいわよ?」


「何故だ?」

本命の情報が入ったと同時に、釘を刺されてしまった。


「怪我の手当てと病気の治療はしてくれるけど、報酬が高いから。それに、あの、古代都市イェカルダを滅ぼしたってゆー破壊神クレイブを崇めてんのよー?きっと怪しいことやってんのよ?」


グレイブというものが『精霊王』で『破壊神』とは……随分と暴力的な者なのだろうか?


「まぁ、夜は門は閉まってるから、諦める事ね。」



「そのようだな……そこに行けば精霊王に会えるのか?」


「は?!精霊王に会う?冗談でしょ?精霊に会いたいっての?あなたはそこまで切羽詰まってるようには見えないけど……?」


なんの事だろうか?


「精霊王に会う方法は知らないけど、精霊に会う方法なら教えてあげるわよ?ついでに知り合いに詳しい人がいるから、会ってみるといいかもね」


詳しそうな人がいるなら、当たってみようか。


「そいつを紹介してもらえるか?」


「い〜よ〜、ちょっと待っててね~紹介状を出したげる。」


最後にサインを綴ると、2つ折りにした紙を渡された。


「歓楽街にある『射手座のゆりかご亭』の主人に、コレ渡して『精霊に会いたい』って言えば後はなんとかしてくれるわよー」

いいながら何か紙にペンを走らせる。


「会えるかどうかは置いといて、ソイツも今の時間なら大体そこにいるしぃ。いい加減なヤツだけど、可愛い女の子には紳士的だから大丈夫だ思う〜。」

といいつつ上から爪先まで見てくる女店員。


男なんだがな……。

女装して潜入した方が手っ取り早いと云われているのだろうか?


「紹介状代も多めに貰ったことだしねぇ。ドレスとか必要なら、簡易なものだったら準備できるわよ?」


「……なに?」

紹介料を換金した分から出そうとした手が止まった。

必要経費分くらいしか渡した覚えは無い。

サバ読んでたのか?


「……少なく勘定してたのか?」

ごほんっ!


「ち、ちがっ……くはないけど!オマケ、してあげよーかな〜って思っただけよー」

慌てる店員。


ほほう?

自ら墓穴を掘ったようだな。

…どうしてくれようか?


「ちょぉ~っと!?悪かったってばー!怖い顔しないでよぉ〜!」

「怖い顔?気のせいじゃないか?」


気のせいだ。

敢えて言うなら元々の顔のせいだ。

にらんでいたかもしれないが、気のせいだ。


「じゃ、じゃあ!この御守りをつけたげる。アタシは精霊が見えないケド、悪意ある精霊から身を守ってくれる御守りなんだって!精霊見えるって人から貰ったから間違いないヨ!!」


といってカウンターの引き出しの中から、猫の形に削られた赤いチャームが付いた簪を取り出した。



「……遠慮しておこう」

「えー……売れなくて困ってたのにぃ~」

ひと様から貰ったもんじゃないのか?


「ここで人知れず謎の黒焦げ死体になるか、さっき取った分に合わせて多めに謝罪費を出すのとどっちがいい?オレとしては手っ取り早く前者をオススメするが?」


「ヒィ!!」

掌につくった魔力球を前にして、おびえる女店員。


「ど、どっちもヤダよ~。」

「よぉし、このまま燃やしてやろうか」




そして、雑貨屋の女店員から、謝礼金と称した追加の『両替え』をしてもらい、『蒼のゆりかご』へ向かうことにした。


店を出る間際、ついでにとかんざしも手渡された。



……使い道なんてないのにな。





*************************************




ありがとうございます。

次は11/22に更新出来たらいいなあと思ってます。




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