11話
pixivに掲載した鉛筆漫画と同じものです。
ドゥエスとカーヤが出会って数年後、人の往来の少ない森の奥に少女がいた。
どうやら道に迷っているようだ。
長い茶髪を後ろで束ねた10代の女の子だ。
魔法の道具をポーチに入れて、けもの道を進んでいく。
彼女はあるものを探して森の奥へ足を進める。
魔法使いの彼女はあるギルドの依頼を受けていた。
依頼内容は「レアな薬草の採取」
なんでも、先に依頼していた冒険者たちは誰ひとり戻ってこなかったとか。
そんないわく付きの依頼だった。
市場で高値で取引されるその素材を、割に合わない報酬金と天秤にかけ、他に売りに行っているのではないかーそんな噂話も出てきていた。
(まったく、困った冒険者もいたものね)
路銀が尽きかけていた正義感の強い彼女は、自分はそんな事しないとギルドから受注し、情報にあった森の中へ進んでいた。
しばらくけもの道を歩いていたところ、少し開けた泉に出た。
「少し休憩しようかしら」
【ねぇ、何処に向かっているの?】
少女の耳元に柔らかな女性の声が聴こえてきた。
「……ぇ?」
(今、声が聞こえたような……?)
近くで声がすれど、姿は見えず、慌てる彼女の耳にクスクスと笑う声が聞こえる。
【待ってて。今、姿を見せるから】
風が舞い、ざわざわと木々のざわめきと共に姿を現したのは髪の長い女の人だった。
薄い緑の髪を風に揺らめかせ、特徴的な黒目がちの神秘的な眼。
鳥の羽のような羽の耳、足元を隠すような長いワンピース姿をして地面より少し高いところを浮いている。
額には精霊の特徴である紋様が刻まれていた。
(……風の精霊?しかも等身大のひとの形をしているってことは、上級精霊でしょうか?)
「あ、……貴方は?」
優しい微笑みに見惚れていると
【私は風の精霊。アナタ、こんな森の中まで何をしに来たの?】
「あっ、あのっ!私、あるお仕事の依頼を受けて、魔法薬の材料、エキゾチックな葉を採りに来たんです。けど、道に迷ってしまって……」
【あら、そうだったの。でも残念だったわ。今はここでは採れないわ。もっとマナの濃い所なら別だけど】
「そう……それは困りましたわね。ある程度マナの高いところに行くには装備が心許ないし」
【見たところ魔法が使えるみたいだけど、あなた魔法使い?精霊使い?】
「魔法使いです。精霊とは契約してないです」
【そう】
ふむと考える風の精霊
「そうだわ!風の精霊さん!道を教えてくれません?それか、お金になりそうな依頼をくれない?代わりに何か私に出来るお手伝いはないかしら?」
【そうねぇ……私のお願いを聞いてくれるかしら?】
「お願い?」
【ええ、あくまで“ お願い ”よ。ムリにとは言わないのだけれど……】
「やる前から無理だなんて、とんでもないわ!このレニアにドーンとお任せなさいな!」
【それは頼もしいわね。私のお願いはこの森のさらに北に行ったところ、その奥に眠る、精霊王の封印を解いてもらいたいの。私たち精霊には出来ないのー】
「精霊王?それって“精霊王クレイブ”の伝説の??」
【そう。“その”クレイブ様よ】
「私が知ってるのは、古代都市イェカルダは精霊王クレイブの怒りに触れて亡び、魔の森になったという伝説ですね」
【その伝説には続きがあるわ。古代都市の周りにある魔の森には今もマナの気に溢れており、人が住んでるところは極わずか。そのかわり精霊や精霊の恩恵を受けたものが沢山いるから、賑やかではあるけれどね。あ、そうそうさっきアナタが言っていた薬草も、そこでなら見つかるかもしれないわね】
「魔の森に……!なら目的はそちらですわね!……でもその精霊王は何年か前に誰かに倒されたというウワサも聞きましたわ」
【少し語弊があるかもしれないけれど、あの方はそう簡単には死なはないわ。今では人に危害を加えるようなことはないもの】
「まぁ!?」
【5年前、ある男の手によって封印されてしまったの】
「……え、封印?」
【お陰で私たち精霊の力は弱体化しているし存在が危ぶまれる下級精霊もいて、困っているのよ】
「そんな!精霊が消えちゃうだなんて!?そんな酷いことをした方がいるんですか!?許せない!」
【あなた達人間が使う精霊術も、いずれは使えなくなるわ】
風の精霊が憂い伏せた目が物悲しくも美しいと思って少女は見つめていた。
「そんな悲しい顔しないで。精霊王の封印をとけば解決するんでしょう?私に任せてくれまか?」
【ーありがとう…ニンゲンさん…】
無垢で純粋な少女は風の精霊に誘われるまま、精霊王クレイブの封印の地へ向かった。
ありがとうございます
次回からエリー(仮)サイドで動き出します。
11/8の更新予定です




