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精霊通信録  作者: 襾犲 邑
紅炎王
105/108

104最終話



それから数日後、

レニアは黒氏からみっちりお叱りを受けたようで、宿舎の部屋に引きこもっている。


「新しい転移用の鍵と端末と、念のためこちらのガイド本と……いや…こんなものはいらないか」


ppp……


俺は、新たな統治者になったドゥエスに必要そうなものを準備していた。

そんな中、黒氏から呼びだしがあり、広めのカフェスペースに向かった。

俺の仕事部屋の入る建物内には、会議室のようなものはいくつかあるが、あそこの椅子はどうにも落ち着かなくて腰にくるものがある。

黒氏もそれをわかっているのか、雑談を兼ねた打ち合わせに便利だからとカフェスペースに招集してくる。


「待たせたわねエリー(仮)ちゃん、エリー(仮)ちゃん専用刻印付きの『御守り』が出来たわよ」


先に来ていた黒氏はそういって無造作に手に持っていたそれを渡してきた。


「これは、リストバンド?」


それは白地のリストバンドに金の刺繍がしてある。

何か編みこまれているというより、ただのラインのようにも見えるこの刺繍はなにが編みこまれているのか、よくわからない。


「そう。精霊の力を受けても、今の魔族体のエリー(仮)ちゃんが受けるダメージを軽減してくれるわ。完璧に守ってくれるわけじゃないけれど、気休めぐらいにはなるはずよ」


やはり、俺が精霊王の力を受けた際の『やらかし』は、黒氏に視られていたか。

「ま、精霊王が消えた以上、そんな奴らとドンパチすることがあるとは思えないが」


「ほかの精霊は生きていたじゃない」


「そういえば、そうだな」


「もしその精霊達と喧嘩することになったら、いずれ必要になるわ。いいから黙ってつけておきなさい」


「はいはい」


言われるがまま両手首に嵌めておく。

「とくに何も起きないみたいだな」

何の変哲もないリストバンドのようだ。


「あら?おかしいわね。もう少し反動があるかと思ったんだけど……」

ほう、反動が出る予定だったのか。


「へえ~、精霊王の素材で何をするのかと思っていたら、そんな器用なことが出来るんだ」


「!?」

ん、いまの声は?

聞き覚えのある軽薄そうな声の主の方を向けば、入口近くに赤い長髪をなびかせた高身長の男、ドゥエスの姿があった。


「ドゥエス!どうやってここに?」


「やっほーエリー(仮)ちゃん☆来ちゃった」


手首のリストバンドをまじまじと見ながら、ご機嫌で近づいてくる。

髪も服も今まで通りの軽装だ。


いくら魔術師として秀でていても、自らを形作る世界から異なる世界へ渡る……なんてことは簡単にできるモノじゃない。

黒氏は世界の狭間の一部同士をつなげる術を知っているし、俺も空間を移動することが出来る。

その特性でもって世界を渡っていたのだが、それでもこちら側の装置の座標、空間を渡る魔術を知らないと飛びようがない、はずだ。

ひょっとして、レニアが落としたという鍵を手に入れたとでもいうのか。


「異界のものがこちらに来るなんて……」


黒氏が警戒しているが、少しの興味もあるようだ。

「え、あ~なんていうかね~、なんとなくで来れちゃった★」


「こ、来れちゃったって……」


「あなた、特殊な装備でも付けているの」


「特に何も……しいて言うなら、頑丈な肉体かな、綺麗なお姉さん★」


云って黒氏にウインクを飛ばした。

来ている服も前に別れた時とあまり変わっていないように見える。

「…………」


「ありゃ、無視?」


「コイツは黒氏、ドゥエスと同じ魔術師だよ」

警戒して黙り込んでしまった黒氏に代わって俺が紹介してやる。


「えっ!?魔術師?そうなの?」


「……ええ、よろしくね、『紅拳の魔術師』さん?」


「なんっ!?なんでそれをっ!!!あんなので呼ばれたくなはいんだけどっ!!」


「黒氏は千里眼だから、何でも知ってるんだ」

昔、黒氏のその異界を覗けるその眼を『ストーカー』や『監視カメラ』に例えたらガチで怒られた。

ドゥエスはというと、よっぽど恥ずかしい単語だったのか、珍しく赤面してしゃがみ込んでしまった。


「あとで説明に行くつもりだったが、ドゥエスから来てくれたなら話は早いな。こっちにいる統治者の説明と契約関係と二つ名の制定をしたいんだが時間はあるか?」


「ううう……時間なら、いくらでも。ていうか、すぐに戻るのにちょっと抵抗があるから、チョットのあいだ、こっちで匿ってもらいたいんだよね」


なにがあったんだ?


「その二つ名じゃないほうがいいなら統治者としての二つ名はどんなのがいいの?」


「……もうちっと女子受けしそうなのがいいですぅ……」


黒氏はうーんと顎に手をかけると、しばらく考え、

「髪が赤というより紅色……だし、炎を使うみたいだし、『紅炎王』なんてのはどうかしら」


「『紅炎王』か……それなんか良さそう」


その場でガッツポーズするドゥエスに黒氏は呆れたと呟いて自室に戻っていった。


「二つ名決めてくれてありがとう!黒氏さん!ところで、エリー(仮)ちゃん、お金貸してくんない?」




何言ってんだコイツ


「貸さねぇよ。しばらくはバイトしてから帰るこったな」







閲覧ありがとうございます。

次の投稿は未定です。

外伝を載せるか別のお話にするかで決まったら投稿したいとおもいます

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