ヤミヒコ、敬老精神に目覚める!?
リマジハの街
「……」
「どうした皆。元気が無いぞ」
「あんたの所為でしょうが!!お金全部無くなっちゃったじゃないどうしてくれんのよ!!」
「フッ」
「フッじゃないわよ!!!」
「ま……まあまあリッカさん落ち着いて……」
「そうだな……。冒険には予想外な事が付き物だ。ヤミヒコはよほどお腹が空いていたんだろう……。とりあえずギルドに向かおうか。依頼をバンバンこなせば金などすぐに稼げるさ」
「さ」
「あんた反省してんの!!!!??」
などと談笑している内に冒険者ギルドに到着した。
ギィ……
「いらっしゃい……」
「おや、シャルテ達かい。ん?なんだい見ない顔の子がいるね。新入りかい?」
「ギル婆。今日はパーティ登録をしに来た。頼めるか?」
「ほお。念願のパーティ登録かい。それは良いけどそこの男の子……妙な出で立ちだがまさか……」
「ああ。ヤミヒコはこの世界の者では無い。漂流者だ。まあさっき出会ったばかりなんだが、パーティの誘いを持ちかけたら快諾してくれた」
「ほう……漂流者ねえ……。お前たち、いい拾い物をしたかもね。これはあまり知られてない事だが、実は結構多いんだよ。今まで大きな功績を残した冒険者の中にはね。この世界の出身では無い者が」
「そうなんですか?」
「ああ。何故かはよく分からないが、非凡な才能、能力を持つ者が多いのさ。漂流者にはね」
「非凡な食いっぷりならさっき見せて貰ったけどね……全く……」
「それを聞いて俄然燃えてきた。ギル婆。登録を頼む」
「はいよ。じゃあそこのヤミヒコ。ちょっとこっちに来てもらえるかい」
「押忍」
「登録する前に聞いとくが、ヤミヒコ、あんたは漂流者で、見たところ子供だね。冒険者とは死と隣り合わせの危険な職業。いきなりそんなもんになっちまって良いのかい?国に保護して貰う事も出来るんだよ?」
「構わん。命など既に元の世界に置いてきたようなもの。今の俺には血を血で洗う戦いの世界こそ相応しい」
「な……なんかえらい覚悟がキマっとるね。じゃあ最後にもう一度確認だ。あんたを冒険者としてギルドに登録するよ。良いね」
「くどいぞギルバート!!!」
「あたしゃギル婆だよ!!!……ふぅ。漂流者には変わり者が多いがあんたもなかなかだね。じゃあこのペンでここに名前を書いとくれ」
キュキュ……キュッッッ
「よし。イジュウイン・ヤミヒコ。あんたは今この時より冒険者だ。見習いのね。頑張っとくれよ」
「次はパーティ登録だ。シャルテ、リッカ、ホーリ。あんた達三人はこのイジュウイン・ヤミヒコとパーティを組む事を誓うかい」
「誓う」
「誓います」
「……」
「リッカ」
「はいはい。誓うわよ。うう……」
「ヤミヒコ。あんたはこの三人とパーティを組む事を誓うかい」
「どうしよっかな……」
「おいヤミヒコ!?」
「ヤミヒコさん!組んでくれないんですか!?」
「組むよ。パーティを組む事を誓う。ノリで」
「よし。これで登録完了だ。ふふ。なんだか面白いパーティになりそうな予感がするねえ……」
「ホントに大丈夫なのコイツで……」
「じゃあ改めてあんた達に冒険者の説明をするよ。ヤミヒコにはクラス診断もしてやらないとならないね」
「ギルバートよ」
「なんだい?」
「ちょっと長くてダレてきたから続きは次話からで頼む」
「む……そうかい。じゃあちょっと休憩してからにするよ」
「もうなんなのよこのノリは……」
次回、明かされる冒険者のお仕事内容……
そしてヤミヒコの恐るべきクラスとは……!?