33 二人の聖剣使い
翔一はハイエルフ領を出て、宮殿前の草むらに隠れる。
やがてデリクがやってきた。
漆黒の衣装に刀と弓。
気のせいか、以前見た時より若い感じがする。
「おお翔一殿か」
「待っていたクマ」
物陰に隠れる二人。
「仔細は聞いておりますぞ。地下牢は正規の入り口が四つ。うち二つは中庭にあります。二つは宮殿内部。念のため覚えておいてください。それとは別に非正規の入り口は一つあるのを突き止めています。そこから侵入しましょう」
翔一は宮殿と地下の見取り図を見せてもらい、うなずいた。
行くのは二人だけ、隠密が得意ではないものが来たら致命的だからだ。
「フロール殿から預かってきました。通信機というらしいですな。耳の奥に取り付けろといわれましたが不思議なものだ」
小さなシールとネックレスを渡される。耳の奥に張り付け、ネックレスを掛ける。
「フロールさん、聞こえますクマ?」
「……ああ、聞こえる。眼鏡はクマ形態だとかけてられないだろう。だから、チップ内蔵の通信シールだ。音声だけで通信する。ネックレスが発信機になってるからセットで使え。ネックレスなくても百メートルくらいなら俺まで電波が届く。予備はないから大事にしろよ」
「わかったクマ、ありがとうフロールさん」
翔一は自分の隠密に自信があったが、それでもデリクの指示に従う。
宮殿門は翔一が普通に入っていく。衛兵たちは敬礼して通してくれた。深夜であろうと、皇帝から直接下賜された身分証は何ら問題なく通用する。
「クマ殿、皇帝陛下がお待ちですよ」
門の警備隊の隊長が声をかけてくれる。
「クマクマ」
心に痛みが走る。ユアンに会いたいがここはそうするわけにもいかないのだ。
デリクは謎の能力で翔一の影に入ると、一緒に侵入する。
中庭に入ってからは、デリクが先導した。
翔一は隠密精霊を張り、デリクの後を追う。彼は透明と消音の魔術、そして、何かの術で魔力まで消してしまった。翔一も霊視でしっかり確認しないと彼の存在に気が付かない。
時折、小声で指示してくれるので、追うことができた。
「翔一殿の隠密もなかなかですな」
デリクは褒めるが、彼には勝てないと翔一は思った。
とある像の後ろに入り口がある。
どうやら排気口のようでもあり、悪臭が漂っている。
二人は中腰になって進む。人間だと這っていく穴だろう。
気配を確認してから、行き止まりの壁をそっと動かす。扉は音もなく開いた。
宮殿の地下は地下牢として利用されているが、それは一部であり、下水とあまり使われていない古代の遺跡部分が混在している。ここで働いている人間でもあまり全体は網羅していないだろう。
デリクは先ほどの見取り図を開く。どうやってその図を作ったのか不思議だったが、今は問うている暇もない。
「今、ここにいます。これは上古人が作った遺跡の部分で、現在は使われていません」
地下は広く、監獄に利用されているのは東北部分である。
もちろん、帝国には犯罪者を収容する監獄は幾つもあるが、ここはそのようなはっきりした犯罪者のための牢獄ではなく、権力者やその他、あまり公にしたくない人物を収監し、尋問拷問などをする場所である。
だから、ここには裁判を経て罪を問われているものはいない。誰がいるのかも帝国の権力者以外知らないのだ。
「東北の一角でもかなり広いです。東の端は水牢になっています。ここから迂回して管理者の区画に侵入しましょう」
管理者区画には、件のハルベルトがいるはずである。いないとしても、リリーの行方が分かる何かが発見できるかもしれない。
そっと忍んでいく。所々幽霊が恨みがましくたっている。
関わり合いになると、悪霊化しそうなほど恨みを抱えているものもいる。翔一は極力無視することにした。
「水錬はできますか?」
翔一はうなずく、途中から水路を泳いでいく。
水中にも恨みがましい霊が大勢いた。無視して進む。
水牢区画にきた。
不思議と、悪臭もなく、清浄だった。
水を見ると意外と綺麗だ。幽霊もいない。
「おかしいですよ、浄化されたような雰囲気があるクマ」
「ええ、不思議ですね、ここから山の水を入れているとはいえ、牢屋ですからね。特有の陰湿さが……」
デリクは突然押し黙る。誰かが近寄って来たのだ。
ズルズル、嫌な音がする。
デリクは魔法のゴーグルをつける。暗視能力があるようだ。
翔一はわかっていた。この水牢地区を見張っているのは人獣の一種、蛇人間なのだ。
「僕がやりますクマ」
翔一は聖剣を抜いた。光を消す。
ゆっくり迫っていく。足元は水。歩きやすいとはいえない。
敵は下半身が蛇、上半身が鱗に覆われた人間のような姿。頭部はコブラのようである。割れた舌をシュルシュルと時折出す。敵は二匹いるようだ。腰に偃月刀を挿している。
「手前のをお願いします」
デリクはそういうと、弓を構えつつ影の中に消えて移動する。
翔一は物陰に隠れて敵が接近するのを待った。
暫くして、じっと見ていると、遠くの蛇人間が矢を六本も喰らっている。
しかし、それでも剣を抜いてデリクと対峙している。
彼らから音がしない。デリクが何らかの消音魔術を使ったのだろう。
目の前の蛇人間は背後で戦いが起きていることに気が付いていなかった。のんびり迫ってくる。
柱の後ろに潜む翔一にも全く気が付いていない。
「……!」
いつもは大声で叫ぶのだが、隠密作戦なので声は押し殺す。
翔一は龍昇剣第二段を使って、いきなり斬り上げた。
助走は一歩のみ。
斬り上げながらジャンプして、敵の脇を裂き、肩の上に乗って首を刎ねる。
先祖の侍から聞いたときにはできるはずがないと思ったが、反復練習を行った今、華麗に決まった。
蛇人間は何もできず水の中に斃れる。水に浮かぶ首。
元は人間だったと思われる半分爬虫類の不気味な顔だった。
翔一はデリクの援軍に行く。敵はライカンスロープ類の異様な頑強さで、デリクを追い詰めていた。
相手が人間なら瞬殺だっただろう。しかし、蛇人間は毒を吐き偃月刀を振り回して攻撃をする。デリクは飛び跳ねて回避している。
翔一は疾走すると、白虎一剣で一気に敵の間合いに飛び込む。
蛇人間は予想していたのか、薄ら笑いを浮かべて偃月刀で受けるが、聖剣と翔一の膂力、そして、白虎一剣一段の破壊力が彼の魔法の偃月刀を破壊して、顔面の半分を切り落とした。
蛇人間はショックでグラグラと揺れていたが、絶命する。
こいつも人間と爬虫類の間のような骸と化した。
「凄まじい剣術、凄まじい剣ですな」
デリクが大きく深呼吸する。消音の術は消したようだ。長時間は持たないのだ。
「少し音を立てました、急ぎましょうクマ」
うなずくデリク。しかし、
「う、うう」
微かだが、翔一の耳に若い女性の声が聞こえる。匂いを嗅ぐと女性らしい体臭がする。目の前の水牢に誰かいるようだ。
よく見るが、ボロ布の塊のようではっきりしない。霊視を使うと、凄まじいオーラだった。
「すごい人がいるクマ。助けましょう」
「しかし、今はそのようなことに……」
「悪いオーラではないクマ」
翔一は牢の鍵が掛かっているのを確認する。
「鍵は管理区域でしょう。鍵開けしますよ」
デリクはそういうと針金のような器具で一瞬で開けてしまった。
中に入ると、女性が鎖につながれている。翔一はボロ布をどける。
「大丈夫、今助けるクマ」
彼女の腕枷は外れないように、溶かした鉄を叩いて潰し、それで固定した枷だった。手首が火傷と擦れで酷く爛れている。
翔一は酷い扱いに腹を立てつつ、聖剣で枷を叩き割る。
すぐに、治癒精霊を呼んで彼女の手首を包んだ。
「ああ、ありがとう」
安堵したような声。
「あ、あなたはミレーヌ。聖剣所持者」
「デリクさんだね、久しぶりだ」
デリクがかなり驚いた顔。デリクはその女、ミレーヌと顔見知りのようだ。
「ミレーヌ?」
「ガルディアの英雄ですよ。最近はガルディア王の元を離れて、一人で魔物たちと戦っていると」
「そんなすごいものじゃないよ……僕はこの街に悪の首魁がいると思って来たんだけど……この体たらくだよ。ところでそちらの毛むくじゃらの方は人間じゃないね」
「彼は翔一殿。立派な人物だ、私が保証します」
「人ではないようだけど……」
ミレーヌは立ち上がろうとするが。痛みを我慢しているようだ。
「しっかり治療しないと。歩けるクマ?」
「ええ、大丈夫」
といいながら、ふらふらと立つ。ほとんど裸だった。美しい裸体には、あまり傷はない。
「傷が残らない拷問をされたようですね」
デリクがつぶやく。
「治療より、聖剣を回収しないと」
「誰に奪われたかわかりますか、どこにあるか」
「たぶん、近くにあるよ。上に」
「宮殿の中か……とにかく管理区域に行きましょう」
デリクが少し困った顔をする。
デリクを先頭に翔一ミレーヌと並んで進んで行く。
扉があるので開けると、明るい部屋だった。誰もいない。しかし、
「あの女の拷問、またやりてぇな」
「やっぱり、綺麗な女はたまらんぜ」
などと下卑た連中がやってくる。獄吏だろう。
物陰から翔一は睡眠精霊を飛ばし、片方に張り付かせる。
デリクが吹き矢で一人を眠らせた。
「おい、どうし……た」
睡眠精霊の方が時間はかかったようだ。
二人の獄吏は倒れた。
「けがはどんな感じかわかるクマ?」
「関節を痛めつけられたよ。あとは……」
ミレーヌはいい淀む。
「治療していてください。私は二人を尋問します」
デリクは何らかの魔術結界を作り、その中でナイフを使って二人に拷問を始めた。手早くてかなり荒っぽい。血が飛び散る。
翔一は彼らが自業自得なのはわかっていたが、目をそらす。
「痛いの治まるクマ」
無痛精霊を呼び、痛そうな関節に張り付かせる。更に、治癒精霊を呼び、内出血している場所などを重点的に治療する。
「本当だ、楽になったよ。ありがとう。君は子熊だね。フフフ」
翔一は精霊ポケットを見て、服を探すが碌なものがない。雪山で使ったコートがあったので渡した。
「ハーフコートかな。ありがとうあったかいよ」
かなり大きめにつくったので、彼女でも着られるようだった。
少し血を浴びたデリクが戻ってくる。
「ハルベルトはすぐ近くにいるようです。気を付けて、奴を捕らえたら尋問しましょう」
翔一は魔法の小剣をミレーヌに渡す。
「ありがとう、君、さっきからどこからものを出しているんだい?」
「精霊ポケットクマ」
「精霊ポケット?」
「精霊界に収納スペースがあるクマ」
「そんなところに収納できるものなの?」
「し! ……静かに。進みましょう」
デリクの指示で、暗い通路を進んで行く。
途中、また二人の獄吏と遭遇したが、ミレーヌが飛び出すと小剣の柄で殴り、一瞬で気絶させてしまう。
今度は翔一が目を丸くした。
「すごい早いクマー」
「聖剣の主様ですから。当然ですよ」
ニヤリとデリク。
かなり綺麗な執務室のような場所に出る。人はいなかった。
主の服と思しき豪華なコートや机などがある。翔一は匂いを嗅いで覚えた。
(香水。……微かに死人のにおい?……)
「これは凄いな、奴らの秘密活動の指令書などが……」
デリクは嬉しそうに机の上や引き出しから情報を探っている。
「直前までいたと思うクマ、たぶんこっちに行ったクマ」
翔一が指す方向には扉がある。主のつける香水の匂いがする。
「そちらは公式には使われていない区画ですが……何かに使っているのでしょうか」
「行ってみよう」
ミレーヌが促す。彼女は敵の靴や服など装備を着こんでいる。コートは帰してもらった、さすがに雪山用なので嵩張りすぎるのだ。
翔一は先頭で通路に入った。
その瞬間、背中を刺される。
「う、ぐ!」
天井から手が伸びて翔一を刺したのだ。聖剣を突き上げる、が、そいつは天井を這うと、するすると移動する。
赤い目が光る。
「こいつ、吸血鬼!」
デリクが矢を放つが、途中でぼとぼと落ちる。
「勝負だ! ハルベルト!」
ミレーヌは叫ぶと、小剣で天井の男の短剣と打ち合いを始める。互いに異常な速度だった。
翔一の背中の傷はすぐに治っていく。
短剣には毒があり、毒は毛玉お守りが吸収した。しかし、禍が大きすぎて刺し傷は止めきれなかったのだ。
「ほう、クマ公、傷がすぐに治るのか。人獣か?」
ハルベルトが目ざとく気が付く。
ぎょっとするミレーヌ。
「僕は悪党じゃないクマ。正義のために戦っている! リリーをどこにやった!」
「リリー、ああ、あの娘か。あの娘はフフフ」
「龍昇剣!」
壁を蹴って天井の敵に肉薄する。
ひらりと躱すハルベルト。
「なかなかの剣術だな。しかし、まだ練が甘い」
ミレーヌが狭い中を斬りかかってくる。さすがに狭すぎる、ハルベルトは逃げきれなくなって通路の奥の部屋に退避した。
そこはかなり広い空間だった。
床に魔法陣が描かれ、中央に血液の流れた跡がある。
翔一は、聖と邪、両方を感じた。
「なんだここは」
ミレーヌがつぶやく。彼女も同じように感じたのだろう。
「ここは神聖であり、邪悪でもある儀式の間です。ここでローヴィエの秘儀が行われました。フフフフフ」
背後から声が聞こえる。翔一は思いっきり陰に剣を突立てた。しかし、
「ハハハ、思い切りはいいですが、残念、外れです」
ハルベルトの声が逆の方角から聞こえる。
何もない空間を突いて、体が泳ぎそうになる。
ひょいとミレーヌが支えてくれる。
「声に惑わされては駄目だよ、ハルベルトは確実にここにいる」
広い場所、三人は背中を守るように立った。
(デリクさんとミレーヌさんは吸血鬼に対抗する武器がない。僕がどうにかしないと)
焦る翔一。
「う、ぐふ」
デリクが斬られた。黒い液が飛び散る。
毒の短剣だ、毒は常に新しく補充されるので、魔法の毒短剣だと思われる。
翔一は慌てて治癒と解毒の精霊を送る。
デリクは安定したが戦えなくなった。
「フフフ、このまま三人ともなぶり殺しにしてあげますよ」
更に翔一は二度斬られる。そのたびに精霊をつけて治すが、
(このままではだめだ。精霊も無限に出せない!)
ミレーヌは間一髪、剣で受けている。しかし、いずれやられるだろう。
(匂い、死体の……)
翔一はひらめいた。
「剛刃素戔嗚で、ハルベルト、貴様を屠る!」
翔一は剣を最大の野太刀に変えると、右上段に奥義の構えを取る。
「素戔嗚? ハハハ、子供だましだな。居場所わからぬ俺をどうやって斬る?」
「おまえには、今まで殺してきた怨霊たちがしがみついている。その者たちが僕に居場所を教える」
「貴様、幽霊が見えるのか」
微かに動揺した声が聞こえる。
「お前のような極悪人は、お前が惨殺してきた恨み深い者たちにより、死後、即座に地獄に送られるんだ」
「嘘をいうな! 貴様に俺の居場所が見えるはずがない!」
翔一は対消滅精霊を目の前の空間にぶつける。
ズバッと何かが消えた。そう、翔一たちを取り囲むように、この広間の幻影が張り巡らされていたのだ。目の前にスクリーンで映像を見せられていた。そのような状況だった。
対消滅精霊は魔力消去専門の精霊である。幻影を消滅させると消えた。
「剛刃素戔嗚!」
精霊界から呼び起こされる稲妻の力。
目の前にハルベルトはいた。毒の短剣をかざし、血走った目で翔一を睨みながら。
「え?」
次の瞬間、翔一はハルベルトの背後にいた。
聖剣は吸血鬼を真っ二つに斬った。
「そ、そんな、この俺が……一撃で」
毒の短剣の刃が折れて、床に当たって跳ねる。
崩れて塵となっていく吸血鬼。霧にもならない。
吸血鬼の実力にもよるが、聖剣で斬られた吸血鬼の大半は不死性を発揮する間もなく消滅していく。
「すごいね、クマ君。その剣も、その剣術も」
ミレーヌが褒める。
「しかし、敵を尋問できなくなりましたな」
「倒せただけでも凄いことだよ。デリクさん」
「それはそうですが、私はちょっと動けそうにありません」
「やはり、宰相テオドールから聞くしかないクマ。宮殿に案内してもらえますか?」
ふう、と大きく呼吸し。翔一はデリクに肩を貸す。
「それは構いませんが、足手まといなのが残念です」
三人はこっそり宮殿に向かって上っていく。
暗い通路を進む。
「クマ君、その剣は……」
「聖剣『フェルシラ』クマ」
「聖剣って……君は人獣なのだろう。あいつがいっていただけじゃなくて、何となくわかるよ」
「ゴル・サナス様が聖痕のおかげで混沌の汚染の無い人獣になったといっていたクマ」
「ほう、あの大祈祷師とお知り合いとは流石ですな。精霊術が得意なはずだ」
デリクが褒める。
「二人とも聞いてほしいクマ。宰相テオドールは呪詛のマナを持つ呪詛王で魔王だと聞いたクマ」
二人とも驚きの表情。顔を見合わせる。
「グロウギル公爵が白状してから、こうなったクマ」
翔一はあの不気味な人面芋虫の小瓶を見せる。
「キーキー、出してくれ」
惨めな叫びを上げ続けるグロウギル。
「何という、おぞましさ。確かに、呪詛王その人でなければここまで邪悪な呪詛はできませんよ。それにしても、あいつが生きていたとは……」
デリクは首を振る。彼は呪詛王と何か因縁があるらしい。
「ところでマナって何ですクマ?」
「事情通なのか無知なのか。フフ。クマ君」
ミレーヌは翔一の背中をモフる。
「マナというのは魔力の精髄のようなものです。例えば、討魔のマナなら、魔を討つための特別な魔力を発揮できます。マナは非常に強力な力で、歴史的世界的な英雄は何らかのマナを持っていることが多いですね」
デリクが説明する。年の功で事情通なのだ。
「呪詛のマナなら、呪詛が凄く上手いクマですか」
「そうなります。邪悪なマナを持って世界を乱すものを魔王と呼びます。まあ、概ねですが」
「彼の呪詛王という称号はどこから来たんです?」
ミレーヌも問う。
「確か、魔神信徒内の尊称だったと思います。我らがそう呼んでやる必要はありませんね。我らからすれば、奴は魔王で十分です」
「彼が魔王なら……」
ミレーヌは何か覚悟を決める。
三人は暗い通路を静かに進んだ。




