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日ノ本の皇子と西果ての人魚  作者: 東雲 陽太
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邂逅

明らかに困惑した周りの人々に私も戸惑った。

しかし、私だって置かれている状況がわからない。許してほしい。

神社の神主さんが着るような服を着た子供に、天子に会えと言われてしまったから、どこに行けば会えるか聞くしかない。


私は田舎のしがない女子高生であった。しかしあるときいじめられっ子に鞄を川に放り投げられ、財布だけでも回収しようと腰まで水に浸かりながら、鞄を探した。幸い時節は夏。水浴びだと思って探していると、流れが速いところで足を取られ、そのまま流され意識を失った。


目が覚めると海の上だった。船の上とかではなく、海面に立っていた。夢だろうかと思ったが、潮風の感覚が嫌に現実的だった。訳のわからない状況に体が強張った。大声を出したり、その場から動いたら、沈んでしまいそうで、私は首だけを左右に動かした。

首を正面に戻すと子供がいた。浮いていた。


「天子に会ってほしい。まずはあちらの村まで歩いて会い方を尋ねろ。水の加護でしばらく沈まない」

「テンシ?」


私は溺れて死んだのではないのか。これは流行りの異世界転生なのか。テンシ?天使なら浮いてる君のことなのでは。


「なんだ、意外と驚かないな」

「驚いていますよ」

状況が飲み込めなくて、瞬時に言葉が出ないだけだ。


「あと、すみません、この服とかは、なんですか」

私の服はセーラー服からなぜか袖なしの白いワンピースになっていた。しかも髪は金髪だ。


「水の加護を受けやすくする姿だ」

「ミズノカゴ」

「水の加護は、水が介在することなら大体うまく思い通りになる。訓練次第だから頑張れ。それでは俺はこれで去る」

瞬きした後には子供は消えていた。


「結構遠いなぁ」

何もわからないが、もう一度溺れるのは嫌なので、少年がしばらくと言っていた水の加護が消えてしまって沈まないうちに、私は漁村に向かって大海原を歩き始めた。



あと一息で砂浜というところで、出した右足が沈んだ。驚いてもがきながらなんとか辿り着く。しばらくむせていると、わらわらと人が集まってきた。


村人は日本人の風貌だが、私の金髪が珍しいのか、若干遠巻きに見ている。

何はともあれ、聞かないわけには、何も進まなそうだ。

「あの、テンシに会いたいのですが!」


少し声を張って、尋ねると騒めきがさらに大きくなった。

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