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日ノ本の皇子と西果ての人魚  作者: 東雲 陽太
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はじまり

太陽は東から登り、西へと沈む。


ここは東の果て、世界で最も早く日が昇る国、日ノ本。四方を海に囲まれ、三日月の形をした島国であり、その広さは馬で駆けると端から端まで3ヶ月といった広さである。暮らしている民は瞳も髪も黒い。そして有史より朝日のように眩しい輝きを放つ瞳を持つ者が政を執り行っている。


都は碁盤の目のように整理されており、一様に朱塗りの屋根に白い壁で統一されていた。

ひときわ大きい区画が政の中心である、天願宮である。そこの最奥に、水盤を眺める一人の若者がいた。

仰々しい着物の裾を大きくはためかせ口元に手をやる。それが若者が熟孝するときの癖であった。


水盤の中には日の本の模型が沈められており、主だった都市部には簡単に街を表している直方体が置かれていた。

平時であれば波紋がない水面をたたえているが、西の彩州のあたりに断続的に小さな波が立っていた。


「ようやく落ち着いたと思えば次は西の雲行きが怪しいか。どうしたものか」


しばらくしてから、水盤を背にして、両手の指を合わせた。できた空洞に小さな光が現れる。「臨」と唱えると、若者の前に人の背丈ほどの美しい龍が現れる。鹿のように枝分かれした二本の角と全身を覆う鱗は白銀の輝きであり、瞳は朱であった。


「お呼びですか、耀王」


「済まないが、ひとつ頼まれごとがある、西の国の様子を探ってきてほしい。水盤に乱の火種ありと出ている」


「御意」

瞬きの間に龍の姿は消えた。主人の命を果たすために西の国へ向かったのであろう。

「ついでに天の気も見ておくか」

また一人になった耀王は、水盤の裏にある通路から中庭へと歩き出した。




水盤の波紋が西だけでなく東の端にも一時現れたが、それを見た者は誰もいなかった。


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