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中編

簡潔に書くって難しい

国王シリウスは机に体を投げ出した

国王らしくない姿だが、突然の婚約破棄宣言から半年が過ぎている漸く馬鹿息子ユリウスの仕出かした事に対して終わりが見えて来たところだ

先程まで一緒にいた宰相も書類整理が一段落したところを呼ばれて一時的に席を外している

すぐに戻るだろうが、今一時だけでも許されるだろう


肩の力を抜いたことで、これまでの過程をシリウスはつい考えてしまう


元カプリコーン侯爵一家の三人は、他国の王家に連なる血筋の人物を蔑ろにしたの上に、冤罪で落としいれようとした罪により、全財産を没収の上、爵位剥奪、貴族としての身分さえ剥奪された上で平民となった

事の真相を貴族間の噂によって知った親戚筋は、国の大事に関わる事だけに誰一人として関わりたくないと見て見ぬ振りをした

ゆえに三人は一気に落ちぶれていき、すぐに一人、また一人とその命を失ったと報告が上がった


一応、王家からせめての情けと一人当たりに対して、平民としてなら一年は楽に暮らせる金銭を渡した

しかし、貴族時代の生活が忘れられずに、現実を受け入れたくないと元カプリコーン候爵は酒に溺れて、追放から一月も経たない内に川に浮かんでいた

死因は溺死

多量のアルコール摂取の形跡もあったことから事故扱いとなった


また、婦人は夫が死に金銭に底が見えはじめた時からアルコールにのめり込み、すぐに夫の後を追うように過剰なアルコール摂取による急死となっている


残された令嬢、ジェーンは似た境遇のユリウスと過ごすことにするが、すでに両親は他界し、働く以外には生活も出来ない


幼少期に平民として過ごしていたジェーンは割り切ったのか、切り替えたのか、持ち前の適応力を遺憾なく発揮させ働くことに成功する

しかし、一緒にいる人間が悪かった

世間知らずの元王子

王子の頃には頼りがいのある男に見えていたが、もう身分は王子ではない

王命を軽く見て自己判断でそれを破棄した上、ありもしない罪をメアリーに掛けたとしてユリウスは廃嫡となり、王族という身分を剥奪の上で城を追放し、平民に落とされるという重罰を与えられた


それでも、ユリウスは王子だったゆえに平民として働くなどプライドか許さなかった

働くのはジェーンだけ

それなのに独占欲は強いらしくユリウスは送り迎えだけは欠かさない

ジェーンは逃げ出すことも出来ず、一時として気が休まる暇などもなかった

そんなある日、借金取りが現れた

勿論お金を借りたのは死んでしまった母親とユリウス

母親に問いだ出すことはもう出来ないが、生前の様子から酒代だったのかもしれないとジェーンは思った

そして、ユリウスは借金した事を認めなかったが、詳しく話を聞けばそれはユリウスの都合の良い勘違いだった

ユリウスが貰ったと言うお金は対した額ではなかった

勿論、金貸しがただで「金銭」を渡すはずなどない

金貸しは言葉巧みにユリウスにこの金は施しではなく、期待しているための資金提供と勘違いさせ、更に白紙の紙にサインだけをさせた

あとは簡単だ

少額でも受け取った事実

そして、ユリウスのサインだけがある紙に膨大な金額を書けば、借りてもいない様な膨大な額の借用書が出来上がる

結果、膨大の借金となった

もはや平民が普通に働いて返せる様な金額ではなかった

借金の方にジェーンを連れてこうとする借金取りにユリウスは掴みかかり、連れていかせまいとするが何もしない堕落した生活をしていたせいで体が上手く動かず、借金取りに殴り飛ばされた

殴り飛ばされた際に後頭部を強打し打ち所まで悪く死亡となったと報告が上がっている

周りに甘やかされて育てられたゆえに、現状を受け入れられず自らを変える事なく、その身を虚しく散らすまでが早かった

「数ヶ月か、もった方かもしれない」

我が子だったこそ、これほどまでに愚かだとは考えていなかったのだ

だが発端となった事件を鑑みれば、そうなることが目に見えていたため、報告を聞いたときは「…そうか…」と言う事しか出来なかった

しかし、覚悟はしていても血を分けた息子だからこそ、少しばかり胸が傷んだ


ジェーンはまだ生きてはいる

結局、ジェーンは借金取りにより花街に売られたが、花街でも逞しくも自身に起きた出来事を悲劇の主人公として涙ながらに語って客を取っているらしい

だが、そこは花街、城の兵士も訪れる場所

騒動の事実を知る兵士も少なくない

そうなると、真実も第三者視点ですぐに広まった

簡単に口を滑らせた兵士にはそれなりの罰が与えられたが、既に話は広まった後なのだ

事実を聞いた店の女たちは客にも真実を教えそれがまた別の人へ、数珠繋ぎのごとく広まり、最近はそんなジェーンをより辱しめようと異常性のある客が割合を占めてきてるという


報告を定期的に聞いているシリウスは、ジェーンが理由でまた厄介事を作り出すのではないかと危機感を感じ、まだまだ監視が必要だと再認識した



考えを終えたシリウスはため息つきつつもまだ残っている書類に目を通すことにした

コトバンク子爵改め新カプリコーン侯爵の件の書類だ

ナイトスカイ王国の十二の候爵家は決して欠けることがあってはならないゆえに、それぞれの名は爵位とセットである

メアリーの父親である前カプリコーン候爵から爵位を剥奪し、ついでにメアリーの素性とともに母親であるリリー、祖母であるヴァイオレットのことを貴族に公表し、子爵を強引に候爵に上げてカプリコーンの名を受け継せた

本来、何かしらの報奨として段階的に爵位と名を上げる予定ではあったが、これを期に公表という形で、本来その血筋にあるべき地位に上げる事とした

その後処理の書類だ

現カプリコーン侯爵であるメアリーの叔父に当たるドランは、息子が三人もいる

長男は次期侯爵、シリウスの姪との婚約が決まり、王宮で宰相であるライブラ侯爵から父親とともに教育を受けながら仕事をしている


次男は長男のが爵位を受け継いだ際の補助と不慮の死の際には侯爵家を継ぐ必要がある為に今は指導を受けている


三男は侯爵家にいても爵位を継げない為に、分家扱いで元々持っていた子爵地位を継がせることにした

子爵家は研究職を歴代行っていたため、私設の研究所も与えることに決まっている


結果、直系がそれなりの地位を約束される形となり、三男もそれなりの処置が行われることになったのだから、プラント国側も納得の意を示し今回の件でナイトスカイ国に何も言うことは無く、これまでと変わらぬ援助を約束してくれた


だが、半年前からシリウスには誰にも言えない悩みが出来ていた

侯爵家の問題も軽く思える悩みの原因となる報告書


息子を断罪したその足でメアリーに謝罪に訪れた時に、シリウスはメアリーから思わぬ告白を受け動揺してしまった

親子程の歳離れたメアリーからまさか恋慕の情を寄せられているなど想像もしていなかった

だが、王族に対する妃候補を考えた中で一番有力なのもメアリーだったからだ

先の明るいメアリーの人生を親子程の歳の離れた自分と歩ませてはならない

だから、躊躇はした

受け入れるわけにはいかない、だが国を思えばメアリーを王妃にする事は間違いではない

王妃は優秀でなければならない

最初こそ「受け入れるわけにはいかない」と思ったが、メアリーの思いの強さにあてられ、結局シリウスも覚悟を決めたあの日

今後の事やユリウスの件でより良い話ができればと考えていたはずなのに…

夜が明けるまで、互いの歳の差も身分も全て忘れて語り過ごす


ただ「それだけ」で、触れるつもりなど無かった


だが、結果、朝には赤い花が咲いてしまっていた


何がいけなかったかと問えば色々思い当たる節はある

幸せそうに笑うメアリーが眩しかった

自分に頬を染める姿が可愛らしかった

気を利かせたメイド長が持ってきた紅茶にブランデーが入っていたのも理性の箍が緩くなったのもが一因だろう

チラチラと時計を見ては夜が明けるまでの時間を確認する度に憂いを隠せなくなっているメアリーが儚く、そして美しかった


妻である王妃を亡くして数年、その前から確かにそういうことはなかったが、あまりに情けない結果だ


拒むはずがないメアリーを、触れないと決めていたにも関わらず抱きしめた瞬間から

そもそも、一晩だけと、知恵を借りると言い訳をして、時間を共有したことが一番の要因だと反省しかない


それでもシリウスは忘れられない

みずみずしい唇は柔らかく、触れる肌は絹より滑らかで、体から香る匂いは花のように優しく、感じる体温は春の陽の様に暖かかったことを

数年は反応を鈍らせていた自身の分身が若かりし頃のように熱をもった

あの瞬間をシリウスは何度も思い出しては自己嫌悪に陥る


責める人間がそばにいて良かった

付き合いが長いだけあって公務以外では普段とは違い遠慮なく話す仲である宰相とメイド長

それでも二人は言葉にせずに視線だけでシリウスを責める

忘れられるはずもない、なかったことに出来るはずもないことだが、自分の愚かさに潰されえずにいるのはあの日、蔑みと呆れの混じった視線を送り事の顛末を知っている宰相とメイド長のおかげだ

王である以前に一人の人として責める二人

詳しい内容はメイド長と宰相しか知らない

それ故に口止めは簡単だった

その代償に、二人からの視線が痛いが、それは自業自得なので甘んじて受け入れてもいる

今も、現在進行形でよくその視線を感じる

誰にも話す事の出来ない内容の為、視線だけだなのかも知れないが、宰相からは「良い大人が何を」と睨まれ、メイド長も「若い娘、しかも傷ついている女性に付け入り御無体な真似をするなど非道です」と背後に悪魔を背負っているのがのがひしひしと伝わる

辛くはあるが、自分を正当化せずにいられるのは二人のおかげだと本気で思う


一夜を過ごしてしまった日になってメアリーとシリウスは真相を知る宰相とメイド長と共に話し合いを行い、結果、その日の昼過ぎに離宮へと向かうことになった

極秘になってはいるが一夜を過ごしてしまったからには妊娠の可能性もあったことから、表向きは、名目上ユリウスのとの経緯ゆえに「しばらくは誰共関わらずに過ごせる場所が欲しい」というメアリーの希望があったとして、メアリーは湖のほとりにある王宮管理の離宮に移り住む筈だった


その際、離宮に侯爵邸の使用人を数人連れて行っても構わないかまとメアリーは聞いた為に、宰相とシリウスは少々考えたが、誰一人知らない場所に行く事になるのだから、少しでも気心が知れた使用人がいた方がメアリーの精神的負担が少なくなると結論を出し、了承した

そこまでは足取りを掴めている

だが、その後の侯爵邸から離宮に向かったはずのメアリーの消息は途絶えた

離れていても広くないナイトスカイ王国

王都から湖のほとりにある離宮までは、二日とかからないはずの道のりだった筈なのに、シリウスの元にメアリーが離宮に着いたという報告は十日が経っても来なかった


メアリーは忽然と姿を消してしまった、その報告書だ


流石に焦りを覚えたシリウスは捜索を命じたが、捜索の結果は離宮に行くまでの途中で、空の侯爵家の馬車だけが見つかった

すぐに、新たな捜索命令を下し、今はシリウスがすぐに動かせるだけの兵の全てを使っている


唯一の手掛かりになりうるものは馬車だけだが、争った痕跡もなく馬も繋がっていない以上手掛かりにもなりえない


プラント王国以外の他国がナイトスカイ王国に付け入る隙を見せるわけにはいかない以上、出来る限りの極秘捜索する為には、これ以上人員を割けないことは口惜しいが、もう国中の町村だけでなく、森林内も探すところはない


プラント王国の王子も捜索に一緒にあたっていたが、一月後には流石に国に帰っていった

その際に「国を上げての捜索の熱の入れようは信に値する、この事件が故意とは思っていない」と言葉をもらったが、シリウスはメアリーの捜索を諦めるつもりは無かった

国際的には問題が無くとも、シリウスはメアリーの無事を確かめるために今も奮闘する中、先日送られてきた一枚の手紙


神殿の印章がおされている封書の中に短い文面がある手紙


何度読み返しても同じ文面


【花粉を得た花は大地にかえる

そこに花の意志はない


花はただ大地で慈しむ

己の宝を守るために】


神託ならぬ星託

今まで外れたことがないナイトスカイ王国の国教の神殿で聞くことができるもの


今回メアリーの手掛かりが掴めない為に、藁をも掴む気持ちで神殿に使者を送り星託を頼んでみたのだが、それに対する答えとばかりに送りられた封書の中にある星託の意味がわからない


星託には2種類あり限定的な単語と抽象的な内容

限定的な単語は日時と端的な単語のみ

抽象的な内容は詞の様なもので、後になり事を当て考えればあってはいるが、抽象的ゆえに結びつくまでが難題なのだ


『花がメアリーだとして、大地とは?どこを指すのか

己は?メアリーであっているのか?だとすると花はメアリーでないのか

花粉とは?宝とは?』


シリウスは星託の手紙を手にしながら反対の手で頭を抱えた


せめて、今、メアリー自身が心穏やかに、幸せでいることをただ祈った








**************************


シリウスが星託を手に入れた頃、メアリーは閉じこもっていた

自らの意志を持って一室に閉じこもっていた




遡ること、半年と少し前、王宮管理の離宮に着く直前の村と村の間の山道で、メアリーを乗せた馬車の前に待ち構えるようにして止まっている四頭力の豪華な馬車

道を塞ぐ様にに止まっている豪華な馬車がいた為に、メアリーを乗せた馬車は突然止まった

何事かと思いつつ、御者に名を呼ばれてメアリーが小窓から外を覗くとそこには自分たちが乗る馬車より格上の馬車がそこにある

目の前の豪華な馬車に乗る人物は明らかに自分の身分より上であろう

出立前の国王シリウスと宰相の言葉では、メアリーはまだ侯爵令嬢という肩書きではあるが、目の前の豪華な馬車など公爵以上でなければ用意することは難しいと、メアリーは判断した

馬車の装飾もだが、繋がれている馬は稀少種として有名な月毛色の馬

四頭の毛並みは離れていても分かるほど輝いており、気品も感じる

一方、メアリーの馬車は毛並みこそしっかりと手入れされてはいるが、栗毛の馬

極一般的な馬だ



メアリーは従者であり御者をしているバルに道端に馬車を寄せるように指示を出す

開けた場所ならいざ知らず、人気のない山道

普通に考えて怪しい

外にいるバルに様子を見に行かせる事も考えたが、今、分かることだけでも自分より身分の上の人が使う馬車だと言うこと

下手に動かして無礼打ちなどにあわせたくない

取り敢えず、自分たちも足を止めて様子をうかがうことにした

だが、目の前の馬車は動かなかった


メアリーの希望で同乗していた侍女のアナが落ち着かない雰囲気を醸し出すまで時間はかからない

同じく同乗している侯爵邸の私兵だった騎士のディランも眉間にシワを寄せはじめているが、何もしていない相手に剣は抜くわけにはいかないのでどうするべきか思案している様だ

外にいるバルの様子はわからないが似た様なモノだと簡単に推測するが、先に行動することは貴族社会では上の立場からである

バルには気の毒だが、黙って相手が動くことをメアリーは待った


ことが動いたのは半時程たった頃だった

豪華な馬車の周りには気がつけば鎧を身につけた人間が集まって来ていた

バルが声をかけなければ気がつかないほど静かに

そのうち鎧をつけた人たちは整列をし、内一人がメアリーのいる馬車に歩み寄って来る

出ていこうとするディランをメアリーは片手で制する

まだ、何もされていない

しかし、このままでもいけない

メアリーは意を決するとバルに外に出る合図を送る

程なくしてバルに開けられた扉からディランがまず外に出てからメアリーも身を現し、バルの手を取って外に出る

そして、アナも続く

もう、その戦士はすぐ目の前まで歩み寄っていた


そして、メアリーの前まで来ると、ディランが構え終わる前に膝をついて頭を垂れた


「お迎えに上がりました。メアリー様」

「…私は確かにメアリーと言いますが、そちらは?離宮からの使いで間違いないのかしら?」

「いえ、残念ながら私はナイトスカイの者ではありませんが、メアリー様に危害を加えるつもりは一切ありません」


ナイトスカイの者ではないと言う言葉にディランは腰の剣に手をかけるが、危害を加えないと言われたタイミングでメアリーは片手を上げてディランを止めた


「……では、どちらの方でいらっしゃるかお教え頂いてもよろしいかしら?」

「私はプラントの騎士になります。メアリー様にプラントにお越し頂きたく参上いたしました」

「…他国の令嬢であるわたくしどのようなご用事なのかお教えいただけますか?また、この事はナイトスカイの国王陛下もご存知なのかしら?」

「全てはプラントに着き次第説明があると聞き及んでおります。私はメアリー様をプラントまでお連れするのが王命、細部まで把握はしておりません。どうか、ご理解頂きたく思います」


同行を断れば誘拐する様に聞こえた


「何故プラント王国なのかしら?」


メアリーの手は震えた

しかし、それに気付かれてはいけないと必死にそれを押さえて目の前の男を見る


「そのことはメアリー様自身がご存知と伺っております」


メアリーは唇を噛む

理由など一つしか思いつかない


『自分たちにはプラント王国の血が流れている

だから、ナイトスカイ王国、プラント王国の両方に恥じる生き方をしてはいけない』



母親の最後の言葉だった


母親の葬式が終わってしばらく、シリウスへの恋心に浮かれている所に父親が再婚相手とその娘を連れてきた

部屋に閉じ籠るようになったメアリーはふと母親の言葉を思いだし、どういうことか調べてみることにする

屋敷の図書には膨大の本があった為、大国プラント王国の事は少し調べればわかった

内政、歴史、産業内容の次に王室の系譜が一番手に入りやすかった

そこに書かれたヴァイオレトの文字

そして生まれた年と日付

全てが祖母のヴァイオレトと一致した

亡くなっていること以外


メアリーがまだ幼い頃、祖母がよくメアリーに話してくれた物語は恋愛逃避行話だった

その物語が祖母ヴァイオレトの話したの昔話であったと、母親であるリリーが死ぬ前に残しとくれた最後の言葉ををふまえて照らし合わせる

当時は何も物的証拠がないからこそ可能性だけと言い聞かせてきたものが確証に変わっていく

自分がプラント王国の王族の血を継いでいるとそこで初めて本当の意味で理解した


可能性を知った時、メアリーは考えた

母親の葬儀の際に一目惚れをしてしまった国王シリウス

プラント王国の力を借りることが出来れば造作もないだろう

それだけ多方面に影響を持つ国だ

だが、それは力によるモノ

共にいる理由を作れど、それまでだ

何より、メアリーは知っていた

シリウスが王妃を愛しているということを

そこに入り込むことなどすれば心を通わせるどころか、離れる一途となる

メアリーが出した結論は、沈黙

可能性は可能性

確実ではない

不確かなものに縋ることはしない

誰にも言わない

だから、もし万が一にこの可能性が真実でもこちらから何もしないのだからそちらも不干渉であってほしいと祈っていた








しかし、それは目の前に終わりを告げていた


沈黙は肯定

とっさに返す言葉が見つからなかったことで起こってしまった沈黙


「わたくしに拒否する事はは叶わない。そう言われるのですね」


メアリーの目の前の騎士はただ頭を垂れたまま何も言わず、動かなかった



メアリーは奥歯を噛み締め顔を歪ませる

ここで拒否を示すのは簡単だ

だが、戦力は明らか

こちらには騎士一人だ

メアリーは頭を必死に動かし、最悪を想定した上で、今の最善を選ぶ


「抵抗はいたしません、従います。ですが、条件がございます」

「国王よりなんでも要求には応えるように言われております」


一つ目の問題が解決する言葉にメアリーから少しだけ力が抜ける

最後まで気を抜く気はないが、ここを躓けば成り立たない最善

メアリーは自分を奮い立たせてからしっかりと前を見据えてから口を動かした


「ここにいるわたくしの従者、侍女、騎士、この三人は共にプラント王国に伺います。」

「侍女やメイドはこちらですでに用意がございますが?」

「ここにいる三人は私の信を置いているものです。それ以外に仕えてもらうつもりはございません。叶わぬというならお帰りください」


メアリーは譲らないと目の前の騎士を睨みつける

騎士は少しの沈黙の後にそれを了承とした

メアリーは安堵した

ここでもし、三人と別れた場合、命の保障はメアリーにしかない

アナとディランは夫婦だ

数年前にやっと結婚をし、子宝にまだ恵まれてこそいなかったが、母親のリリーが生きていた頃からの付き合いだ

バルもまた、メアリーの側に仕えて数年の経歴を持つ若者だ

リリーの死後、孤児院慰問を行った際に知り合った少し年上のしっかりした青年だった

しばらくして、屋敷で見かけるようになったときは驚いたものだ

面倒見がよく、仕事熱心なバルをジェーンも欲しがったが、本人の希望が強く基本は御者をしながら時々メアリー付きの従者でいた数少ない顔だ

侯爵邸には三人の他に乳母のベラと乳兄弟のオリバーというメアリーの味方がいるが、ベラが歳のためこれを期に暇とし、オリバーは予てからの夢である国の騎士団に志願しにいってしまったので、この場にはいないが数少ないメアリーが心から信頼できる人々だ

最悪だけはなんとしても避けたい


「三人ともごめんなさい、何も言わずに勝手に方針を固めてしまって」


メアリーは騎士が一端離れたのを見て三人に小さく頭を下げる


「いえ、お気になさらないで下さい。私達はお嬢様に付いていくだけなのですから」

「そうです。私にもっと力があればよかったのでしょうが、あの人数は流石に足止めすら出来る自信がありませんでしたし」

「僕が違う道を選んでいたらこんなことにはならなかったですし」

「ありがとう。私もこれからどうなるかわからないわ。思うところがあると思うけど、私のわかるところは少しずつ話すようにするから。でも、今は聞かないでちょうだい、私も混乱してるの。落ち着いたら話すわ。プラント王国までは早くても十日はかかるし、着くまでにはちゃんと話すわ」


三人はメアリーの言葉に頷き、荷台にあった荷物を三人は用意されていた馬車に詰め替える

荷物の乗せ代えが終わるとメアリーに続いて三人は馬車に乗り込んだ

座りなれない柔らかい座面に落ち着かない気持ちを抑え、馬車の窓から外を見つめるメアリーの考えがまとまるのをまった


数日かかる道中、プラント王国に到着するまでの間に、メアリーは出生と血筋、それらの関係でプラント王国に呼ばれたのではないかと推測を三人に話した

メアリー自身、どこから話し何処まで話すか考えが纏まらず言葉に詰まることもあったが、最終的に必要なこととほとんど話した

本来一時間もかけずに話せる内容は二日かけて話すことになった


プラント王国に到着後、すぐに王宮に向かうことにになり三人はメアリーから離された

メアリーのみが謁見の間に通される

理由など語られるまでもなく理解する

メアリーは意志を強く持つ為に胸元で手を握り合わせ、もう会うことが叶わぬだろう想い人の姿を思い出す


『大丈夫

あの時間だけは、あの瞬間だけは、国王陛下は私だけのシリウス陛下だった

あの瞬間の思い出さえあれば私は…強くなれるわ…

大丈夫、大丈夫よ

……すぐに帰ります。シリウス国王陛下』


重い扉が開かれその先にはプラント国の国王、バイオが座っている姿が遠くに小さく見えた

同時に国王までの間に並ぶ重鎮と思わしき人々からざわついた声が漏れる

メアリーは誘導されるままにバイオ国王の前まで進み淑女の礼を取る

王妃教育をしっかりと受けてきた綺麗なカーテシーにバイオ国王は「ほう」と感嘆の声を小さくあげた

蔑まれて過ごしてきたと報告で聞いてはいたが高度の教育は十分に受けていたと知った


周りのざわつきをバイオ国王が片手を上げて制するとすぐに静寂が戻る


「ナイトスカイ王国、カプリコーン侯爵が長子メアリー・カプリコーンにございます」


公衆の面前で令嬢らしからぬ扱いをされたが、それでも自分は一国の侯爵令嬢とメアリーはいう

プラント王国程であれば婚約破棄の一件くらいは情報として上がっていてもおかしくない

今回連れてこられた事が自分の出自、血筋が関係しているならナイトスカイ国は悪くない、ナイトスカイ国王は最善を尽くしてきたと伝えることがメアリーには最も重要な使命と考えていた




「良く来た。従姉妹の娘、今日よりそなたは我が娘とする。プラントの姫として国に尽くしてくれ」

「大変、恐縮なお言葉とはおもいますが、理由を理解しかねます。まず、理解せねば返答も難しく思います。お許し下さい」


メアリーはカーテシーを構えたまま微動だにせずにバイオ国王の申し出を断った為に、周りにいた重鎮達はまたざわつき出した


「静まれ!」

「まずそなたも取り敢えず姿勢を楽にするが良い。話を戻すが、そなたの言うことも道理だ。だが、理由は己がよく理解してあると私は思うのだが?」

「感謝致します。重ねてプラント王国国王陛下の英察、そして寛大な心にも感謝致します」

「よい、それでどうなのだ?」


メアリーは姿勢を戻し、ピンと背筋をはる

俯いてはいけない

そう叱咤してメアリーは凛としてバイオ国王の顔を見据えてから気付かれないように深呼吸をしてから言葉を紡いだ


「プラント王国国王陛下のご推察通り、仮説は考えて持っております。しかし、仮に正解だとしても私はナイトスカイを愛しています。ナイトスカイに生まれ、そこで育ち、今の私がある。ゆえにナイトスカイに愛着のあることは当然の事だと思います。ここプラント王国が祖母の母国だとしても、私はナイトスカイの、シリウス国王陛下を敬愛、尊敬し、忠誠を誓いました。」

「それで?」

「加えて申し上げます。祖母ヴァイオレト、母リリーはプラント王国の国王陛下にとって近親者であったと思います。しかし、私は母方の祖父、父、父方の祖父母とナイトスカイの血の方が多いのです。祖母が王家の出身であったとしても孫の私ではプラント王国の王家の者になり国に仕えるに値しないと愚考いたします」


メアリーは尤もな理由を並べた

無理矢理連れて来られた祖母ヴァイオレットの祖国

このような形でなければ喜ぶ事もあっただろう

しかし、有無を言わせない形での拉致と言える行動によって連れて来られた国

印象は下がっている

嫌悪を抱かないだけでも感謝してほしいくらいだ


「そなたの言い分は正しい。実際、あちらに残した従兄弟やその子供らに関して何もしないのに、そなたにだけこの話を持ち出すのは不平等というものだ」


「でしたら」とメアリーは言いかけてやめた

バイオ国王の鋭い視線はメアリーの心情など関係ないとはっきり言っている


「だが息子の報告によれば、そなたはあちらの従兄弟や子達とは違ってプラントの血が濃いようだ。その容姿は残された肖像の伯母上の生き写しといって良い」

「姿など、歳とともに変わります」

「もう成人と変わり無いそなたがどのように変わるというのだ?それに、伯母上はそなたと変わらぬ歳から社交には出ていない。そなたがどのような変化をしようと比べるものなどおらんが?」


メアリーは奥歯をギリリと鳴らした

視線を逸らさないだけで精一杯で返す言葉が震える


「それが事実であっても、数十年前の祖母と比べられるなど、おかしな話と思います。ナイトスカイの血の方が濃い私をプラント王国の王族に招くなどこの場にいらっしゃるプラント王国の重鎮方は良く思われないと思います」


どうか賛同してくれと周りに視線を移してメアリーはハッとした

少なくとも不満を持つ視線は一つも見られなかった


蔑みも哀れみも無い、羨望と期待


ナゼとメアリーは周囲を見渡す

そこにはバイオ国王の言っていることに不満を抱く者はいなかった


()()()()。そなたがどのようにヴァイオレット伯母上の事を聞いていたのかは知らぬ、が、プラントであれば伯母上に生き写しのそなたは確実に受け入れられる。伯母上は緑に愛されし娘、その能力は受け継がれていなくとも、象徴には十分役割を果たせよう」


呼び捨てにされたことでもう娘という扱いにされていることに不快感が全身を突き抜けていく

プラント王国に連れて来られた時点でメアリーに逃げ道など無いことを思い知らされた

情に訴えれば、正当な理由をいえばという考えは甘い事だった

無駄だとわかっていても最後まで抵抗したい、今すぐ逃げ出したいとそんな気持ちが湧き起こる

だが、メアリーはドレスをにぎりしめて再びバイオ国王に顔を向ける


「緑に愛されし娘というものがどういうものか恥ずかしながら存じ上げませんが、私の人権など、心情など必要ないとそうおっしゃるのですね」

「意志は尊重しよう。だが、プラント国で王族として生きること。これは譲れぬ」

「答える前にお聞かせください。このように私をナイトスカイから連れてきたことをどうされるおつもりですか?まさか、誘拐、拉致と言われても仕方のないやり方で連れてきておいて国家間の亀裂が生まれないとお思いですか?それとも大国の地位を持って圧を掛けるのですか?」


メアリーは反撃できる言葉を探しながら一番最初に思いつく事をバイオ国王に言う

状況を第三者が見てもよく表現しても強引な招待だ

拒否の難しい状況で招かれたのだから誘拐とも拉致とも言える

それを大国の地位を使って黙らせることは出来るかもしれないが、それは国の印象を悪くする


「言いたいことは理解しておる。だが、ナイトスカイに行っている息子からの連絡には少々良い情報があってな、そなた、大変良くない仕打ちを受けていたらしいな、余の従姉妹の忘れ形見だからこそ保護する。そなたもそれを受けれいたというのは名目の上でも不自然ではあるまい」

「その問題につきましては、私とナイトスカイのシリウス国王陛下との対話によって解決しておりますので名目の上でも成り立ちません。それに、私はナイトスカイで悪いことばかりではありませんでした。確かに楽しいばかりではなかったとはいえ、それでも、シリウス国王陛下にも今は亡き王妃殿下にもお心は砕いて頂いてもいました。一人の令嬢に過ぎない私にはすぎた待遇だったと思っております」


内情は筒抜け

メアリーは奥歯を噛み締めて反撃する


「それに私が保護を拒否したと話せば危ういのはプラント王国になるのではないですか?」

「一理ある。しかし、諸外国の重鎮や民の多くは国王の余の言と、一国の令嬢であったそなたの言、そのどちらが信じられるかがわからぬ頭ではあるまい」


当事者といえど、世界的立場が違う

どちらの方が発言力があるかわからないメアリーではない

メアリーが否定しても焼け石に水

小さな種は生まれても、それ以上に大きな存在に消されることは簡単に想像できる


「従兄弟はまだナイトスカイには居るゆえ輸出は今まで以上に優遇することも考えていたが、どうすることがよいと考える?()()()()?」


完全に脅してきた

噛み締めすぎた奥歯が痛む

いつの間にか握り拳を作っていた両手も手袋をしているというのに爪が食い込んでいるんじゃないかと思うほどに痛く感じる

だが、その痛みがメアリーを冷静にさせた


「プラント国国王陛下の拝命、誠に恐縮ではありますが、未熟な私では受け入れるために時間が必要です。私にしばらくの時間を」


出来ることは数が少ない


「許そう。衛兵、メアリーを部屋に案内せよ。」

「……受け入れる準備が出来ましたら必ず謁見を申し出ます。それまでお待ちいただけますでしょうか?そして、その答えが出るまでもナイトスカイには変わらぬ関係を約束していただきたく思います」

「うむ、許そう。長くないことを祈っておる」


最後のあがきとなる時間稼ぎ

もう詰んでいる状況を理解できない訳ではない

だが、だからといって簡単に受け入れたくもない


「私の身の回りは私と共にプラント国に入国した三人にだけにします事をお許し下さい」

「ならぬ、すでに護衛、侍女等の側仕えを用意しておる」

「では今日、一日だけでも四人で過ごさせてください」

「…妥協点としてはまぁいいだろう。許そう」

「深く多大なる慈悲に深い感謝をいたします。私はこれで失礼させて頂きます」


用意された部屋に案内されてすぐに三人はやってきた

三人からはメアリーの身を心配しているのが見て取れたが、気を許せる存在がいると思うと安心し力が抜ける様であったけど、メアリーに残された時間は僅かしかない以上、一秒でも無駄にすることはできない

メアリーは一度力が抜けた体に気合を入れてから、バルにしっかりと鍵を閉めさせる

そして、扉の前に大きめの家具を置くように命令した


「三人ともよく聞いて、向かって右がアナの、側仕えの部屋、左が護衛の、ディランの部屋よ。バルはディランと一緒に部屋を使ってちょうだい」


三人はとりあえず首を縦にふる

メアリーは謁見の間からこの部屋までの間に説明された部屋の配置を思い出しながら三人に説明を始めた

いきなり家具の配置を変えさせられたことは驚いたが、メアリーに対する信用から深くは追求しない

意味はわからなくとも理由もなくメアリーは命令などしないことだけは確証をもっていられる


「いきなり、なんの説明もなく動いてくれてありがとう。今から状況を簡潔にだけど説明するわ。プラント王国は私の血筋と今は亡きお祖母様の生き写しの様な姿からプラント国の象徴として政治の、国営の材料にしたいのよ」

「そんな!」


アナが声をあげる

その声は悲痛だった


その話がもっと早くであればどれほどに喜ばしいことだっただろう

少なくとも、あの侯爵家の中に生きるよりずっとよかったはずなのだ

だが、その侯爵家から漸く離れ穏やかな時間を送ろうとするメアリーを再び茨の中に突き落とすような所業に思えて仕方がない

アナの目には涙が貯まった


「大丈夫よ、アナ。私はナイトスカイの人間です。これからもそうです。だから、私はこのままおとなしく従う気はないの。少しでも長く抵抗していたいから三人には協力してほしいの。お願い出来るかしら?」


三人は力強く頷く

大切な主であるメアリーの意志に反することなど許容出来るはずがない

侯爵家にいる間を知るからこそ幸せになって欲しいと思うからこそプラント王国の思惑は許せなかった






今いる場所は王城の一室

王城ゆえに警備は厳重

メアリーの作戦はシンプルに籠城だった

プラント王国は他国との亀裂の危険を犯してまでメアリーを手に入れたい

つまり差し迫った命の危機が少ないからこその作戦

城の構造、警備の配置や時間

城から、国から脱出するためには手に入れるべき情報は多い

その情報を三人が集めてくれるまでの時間稼ぎとして


三人の協力の下、メアリーは部屋にプラント国の人間が入れないように徹底した

廊下に面している扉は衣装棚と本棚で固定し、ベランダもカーテンを閉めた上に使わなくとも不自由しないだろう家具を積み上げた

隣接する部屋からは入れない様に扉には必ず鍵をつけた

三人が入るときは合図を決めノックを三回、側にプラント国の人間がいるときは二回と示し合わせ、更に、その日毎に合言葉も決めたて絶対に三人以外がメアリーに会うことがないように徹底した

帰国した王子やバイオ国王の側近等が出てくる様に説得に訪れたが、無理に開けようとすれば自分にある利用価値がある事を利用して「自害」という方法で脅した

もちろん、三人を人質に取られたこともあるが、同じ手段で対応すると折れるのはプラント国側

よほど緑に愛されし娘が欲しいらしい

ただの偽物でも、そう見えるなら十分に価値を生むほどに

プラント王国側は機嫌を伺うようになったり、苛立ちをあからさまに見せることもあったが、メアリーは一切動じなかった


そんな中、メアリーにとってのうれいし誤算もある

メアリーの予定では食事は自分たちで調達するしかないと思っていた

だが、飢え死にされては困るのだろう

時々、眠り薬が入っていたこともあるが、食事は常に用意された

アナとバルが交互に持ってきて毒味までしてくれるので、メアリー自身には被害はない

毒味であっても眠り薬程度しか盛られないのでなんとも言えないが、当初、持ってきていた数少ない宝石を売って食費にすることを考えていたので、浮いた分で他に必要なものも揃えられるのは大きなうれいし誤算だ

すでに、一番身軽なバルがメアリーが身につけていた装飾品を売ってお金にし下町で洋服を調達している

このような状態でドレスを着てられない


もちろんこちらの動きに気がついたプラント側もバルの動きを制限しようとしたが、元々孤児であり身軽であることを加え、国は違えど下町に慣れているバル1人なら見つからないように城から抜け出し、そして人目を忍んでメアリーの元に戻るのもバル1人ならそう難しいことではなかった


それから、一番重要なプラント王国の王城から脱出する手立てとプラント王国から逃亡する手段の確立が出来ないまま二ヶ月の時が過ぎ、メアリーは体調を崩す

何をしても体が重く、ストレスからか吐き気が止まらない

やっと口にしたスープも戻してしまう

アナは医師に見てもらうべきだというが、メアリーは頑なにそれを拒んだ

しばらくして、メアリーの体調は落ち着いたがアナの心配は尽きない日々が続いた






そして、プラント王国に連れて来られて八ヶ月が過ぎた

思わぬ事態により、少し作戦の変更をする必要出来たが最低限の情報収集と動き出す時の為の手段の確立を目指しながら



メアリーは幸せそうに微笑みを浮かべ長椅子に身を委ねてバルコニーに面したガラス戸から僅かに入る陽の光で日光浴をしていた

終わりきれなかった

でも頑張る

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