第2円 移動販売車
どうも一週間ぶりの更新です。
「ん……ここは……」
ハルトは慣れ親しんだ車の中で目が覚めた。
(あーなんだ……夢だったのかぁ)
安心からかため息をつくと倒してあったイスを起こし運転席から外を見た。
(ん?どこだここ……)
車の中から見た景色は赤いレンガ作りの建物が並ぶ裏路地のような場所だった。
ハルトは車を降り、裏路地のような場所から通りと思われる場所までよたよたと歩いた。
(…………は?)
思わずそう思ってしまったハルトだがその反応は当然だった。
なぜなら裏路地を抜けたそこには多数のお店が立ち並び、とても日本人には見えない人々が活気づいている市場のような場所だったからだ。
「いらっしゃーーーい。どうだい!安くしとくよー」
「うちの酒買ってきなー!後悔させないよー!!」
そんな声があたりに響いていて朝の中下ろし市場に来てる錯覚さえ起こすほど人々の声で溢れていた。
ハルトは唖然としていると昨日の夢かと思っていた出来事を思い出した。
「嘘でしょ……僕異世界に転生しちゃったのーーーー!!」
ハルトがいきなり大声で叫んだことによって近くにいた人々がハルトに注目した。
「どうしたんだい兄ちゃん。急に大声出して」
「そうよ。びっくりしたわ……どうしたの道に迷ったのかしら?」
「衛兵さん呼んだ方がいいかもしれないな」
「おい誰かー呼んできてくれー」
「いえいえいえ!結構です!心配してもらいありがとうございます!大丈夫ですから!それでは!!」
ハルトは心配してくれた人々にお礼を言うと大急ぎで車のある場所へと戻ると中に入り、状況を整理した。
「ここは異世界で……僕は死んでしまって……女神様に転生してもらって……何故か移動販売車の中にいて……日本じゃないのに言葉は通じてる……」
独り言のようにブツブツと呟きながら1つずつ理解をしようとする。
しかし考えれば考えるほどありえない展開にハルトの頭は爆発寸前である。
そんな時、車の助手席に手紙のようなものがあることに気づく。
ハルトは手紙を開けると中に書かれていた内容を読んだ。
『ハルトさん。あなたはこの世界で億万長者にならなければいけません。億万長者になることが出来れば元いた世界に帰ることができます。』
(億万長者って……そんなの無理だろ……)
『あなたが億万長者になるために私はあなたの武器となる移動販売車をちょっと改造して一緒に転生させました』
(へぇー無機物って転生できるんだ……てか生では無いよなもともと生きてないんだし……)
『この世界では貨幣は存在しません。その代わりに思念バンクと呼ばれる脳内通貨が存在します。簡単に説明すると体内内蔵の電子マネーみたいなものです。単位はPと表示されます』
(えっそれってどうやって使うんだろう……血とかかな……)
『思念バンクはお金を得ることをすると自動的に更新されます。使う時は同意の上で体のどこかを触れ合うことによって金銭の移動をします。一般的には握手などです』
(なるほど……)
『この世界には依頼を受けるギルドや懸賞金がかかっている魔物の討伐などPを得る手段が豊富です』
(やっぱり冒険者とかギルドとかあるんだなぁ)
『ステータスという能力の確認方法があります。ステータスと念じると確認することができます』
(ほうほうステータス!)
ハルト サトウ(男)19才 人間
Lv.1
HP 100
SP 100
TP 50
MP 50
魔法 なし
術技 なし
装備 移動販売車
スキル 鑑定、収納
ユニークスキル 異世界発注
祝福 改良の祝福、改造の祝福
呪い なし
(商売に特化すぎだろ……)
移動販売車
〈装備〉冷蔵機能付き棚、???
鑑定
様々なものの情報を知ることが出来る。(レベルによって性能が上がる)
収納
レベル×1㎥のものを収納出来る。
異世界発注
移動販売車に備え付けのタブレットによって大手コンビニチェーン店の商品を発注できる。(もちろん仕入れ値がかかる)
改良の祝福
移動販売車などを改良するためのアイテムを買うことが出来る。(タブレットで操作可能)
また設置や修繕も自分で出来るようになる。
改造の祝福
移動販売車などを改造するためのアイテムを買うことが出来る。(タブレットで操作可能)
(移動販売車を改良や改造して商品のアイテム数を増やしながらお金を稼げってことか……)
(面白い!やってやろうじゃないか!)
ハルトはそう思うと愛しいあの人のことを思い出しながら絶対元の世界に帰ってやると誓ったのだった。
移動販売車をチート化して、億万長者を目指す物語です。